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好きなゲームはAAAタイトルorモバイル!? 実は地殻変動の真っ只中にあるゲーム業界

おたぽる1月8日(金)11時0分
画像:『スプラトゥーン』公式サイトより。
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『スプラトゥーン』公式サイトより。

 スマホの急速な普及と共に全世界でブームのモバイルゲームに加え、来年からは本格的なVRゲームの数々も登場し、何やらバラ色の未来が広がっているかに見えるゲーム業界だが、実は地殻変動の真っ只中にあり先行きの見通しは不透明であるというのだが……。


■“AAAタイトル”が総売り上げ本数を減らしている!?

「BBC」の記事によれば、イギリスのコンピュータゲーム産業は現在、これまでに体験したことのない新たな次元の苦境に直面しているという。一体どういうことなのだろうか。

 市場調査会社「Gfk」の最新の資料によれば、イギリスのゲーム専門ショップの総売上げは残念ながら前年比マイナス13.5%と、ここしばらく続いている縮小傾向に歯止めがかかっていない状況ということだ。ちなみに今やゲーム専用機向けソフトの60%はオンラインでダウンロード購入されているという。

 ということはハードの不振が原因なのかと思いきや、イギリス国内でのPS4とXbox Oneのリリース後2年間の販売台数は計370万台で、前モデル(PS3、Xbox 360)の発売後2年間の売り上げである計240万台を大きく上回っている。予想に反し、実は専用機のハードはよく売れているのだ。しかしながらご他聞に漏れずハードの利益率は極めて低く、いくら売れてもメーカーにはあまり収益をもたらさない。やはりソフトがこれまでのようには売れていないのだ。

 ここには複雑な事情が横たわっており、ゲーム専用機のコアとなるラインナップである『Call of Duty』や『アサシンクリード』、『Fallout』などの“AAAタイトル”のシリーズはいずれも極めて満足度の高い優れたゲームであるため、各1本あたりの総プレイ時間が大幅に延びていることが考えられるという。つまり年間に購入するゲームの本数が、コアなゲームユーザーであったとしてもかなり減ってきているのだ。ユーザーを没頭させる優れた“大作”ゲームが、皮肉にもゲーム専用機ソフトの売り上げの低迷の要因のひとつになっていると指摘されたのである。また開発費がそれなりにかかっている大作ゲームだけに比較的高価であることもまた、総売り上げ本数を下げている要因と言われているようだ。

 PS4やXbox Oneは昨年くらいまで、話題の新作ソフトとハードをバンドルさせた数量限定の同梱版をいくつかリリースしているが、同梱版を購入したユーザーの決して少なくない数が、未だに他のソフトをプレイしていないという実態も浮き彫りになっている。

 しかしながらクリエイターの奮闘とファンの支持でここまで見事に育まれてきたAAAタイトルのクオリティを落としていいはずがない。仮にそんなことをすればファンは一挙に離れていくだろう。そこで鍵を握るのはやはりスマホやタブレットで楽しむモバイルゲームへの展開である。

 世界的にモバイルゲーム市場の拡大が目覚しいが、イギリスのゲーム情報メディア「MCV」によれば、英国内でもモバイルゲームを含めたゲームの市場規模は前年比13%増を記録しているということだ。ゲーム全体で見ればまだまだ明るい見通しが立ち、イギリスのゲーム振興非営利組織「UKIE」代表のジョー・ツイスト氏もモバイルを含めたマルチプラットホーム化が今後のゲーム産業のキーであることを示唆している。しかしそれでもツイスト氏は、ゲーム業界にとって小売店での実物販売は、今後もゲームビジネスの要であることに変わりはないことを強調している。はたして2016年のゲーム業界はどんな動きを見せるのか注目だ。

■今年はモバイルゲームへの本格的な移行が進む

 ゲーム専用機ソフトの低迷とモバイルゲームの躍進は、グローバル化が進んだ市場経済のもとにおいて、日本においてもまた例外ではない。むしろゲーム専用機の一時代を築いた日本だからこそ、そのコントラストはいっそう鮮明に意識されるのかもしれない。

『ファミ通ゲーム白書2015』によれば、14年の国内ゲーム市場規模(ハード・ソフト合計、オンライン含む)は過去最高の1兆1925億円(前年比4%増)になったとされているが、その内訳をみればやはりゲーム専用機はハード&ソフト合計で前年比マイナス11%の4039億円に落ち込み、一方でスマホ&タブレット向けゲームアプリは13%増の7886億円に拡大しており、その差が着実に開きつつあることがあらためて確認されることになった。日本でもやはり今後のゲーム業界の鍵を握るのはモバイルなのだ。

 15年12月21日の「GamesIndustry」の記事では、3DS用ソフトが極端に良く売れている日本のゲーム市場の特殊性にも着目しつつ、やはり16年は日本のゲーム業界でもモバイルへの本格的な移行が進むのではないかと推察している。その中でも、15年に『メタルギアソリッド』シリーズの新作をあきらめてまでもドラスティックにモバイルに舵を切ったコナミと、DeNAとの業務提携でモバイルへの進出を発表しながらもまだまだゲーム専用機に固執する任天堂を対照的な例としてとり上げて、日本のゲーム市場を分析している。

 時代の流れは確実にモバイルへと流れているものの、Wii U専用ソフトの『スプラトゥーン』や『スーパーマリオメーカー』の売れ行きが好調で、今年2月には日本未発売だった廉価版携帯ゲーム機「ニンテンドー2DS」を発売、さらにはもうすぐ計画の詳細が明らかになるといわれている次期主力ゲーム専用機「NX」も控えており、任天堂はまだまだゲーム専用機が主役である経営戦略を打ち出している。

 記事では16年も日本国内では依然として任天堂の影響力が強いとしていながらも、日本のゲームクリエーターたちが本格的に舞台をモバイルに移しはじめる年になるのではないかと示唆している。ゲームユーザーが求めるものは何よりもまず感動的なゲーム体験であるが、時折こうして業界動向を追ってみるのも興味深いものだ。
(文/仲田しんじ)


【参考】
・BBC
http://www.bbc.com/news/technology-35168809

・GamesIndustry
http://www.gamesindustry.biz/articles/2015-12-21-japans-console-market-lost-in-transition

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