真矢ミキ 「ハゲ揶揄」「若くなくては意味ない」風潮に疑問

1月11日(木)16時0分 NEWSポストセブン

「経験はかっこいい色気」と語る真矢ミキ

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 女優として活躍するかたわら、TBS系情報番組『ビビット』のMCも担当している真矢ミキ。現在53才の彼女が、「年齢」についての考えを明かす。


 * * *

「ごめんね、おばさんで」。40代の友人と食事をしていたときのこと。若いウェイターさんと談笑していた友人はふと我に返ったのか、照れ隠しなのか、こう言った。


 なぜ謝る? 彼女は他のことには誰より自信を持っている才女。初めて聞いた弱音だった。だから私、「ごめんね、魅力的で」みたいなジョークなのか本気なのかわからない表現に変えてみたらと提案してみたが、何とも心にひっかかった夜だった。


 おばさんへの否定ではない。勿論、私の年齢はおばさんだ。ただ表現が楽しくない。みんなでこんな会話しだしたら、今に「ごめんね、おばさんで」「ごめんな、じじいで」「ばばあですみません!」みたいな言葉が飛び交う毎日になる。謝る度に、謝られる度に、美しい景色さえも濁りそうだ。誰もhappyじゃない。


 従って、昨年異常に耳にした“ハゲ〜”もしかり。現に子供たちは大人が使ってるから良いのだとこぞって“ハゲ〜”と笑って発していた。と言うことは、おじさんで禿げている人は、「ごめんなおじさんで…」と謝ったうえに「ハゲ〜」と言われて生活をするのか? …モラルのない社会だ。それでなくても日本の社会は女性の年齢に敏感であり、若くなくては意味がない…みたいな傾向も強いのに。若くない時間の方が人生の大半を占めている中、何でみんなしてネガティヴな思考で生きなくちゃいけないの? これまた楽しくない。


 若さに走る日本の年齢に対する考え方は、年々海外と差がついてきていると聞いた事がある。たとえばフランスでは、歳を重ねれば重ねるほど女性が魅力的に映るそうで(そろそろフランス行くか〜)、フランス男性は自己確立した女性と対等に歩んでいきたいと思うのだそう。


 友よ、歳で「ごめんなさい…」なんて言ってる場合じゃない。年齢といえば、黒柳徹子さんが伝説のオペラ歌手、マリア・カラスを演じた舞台『マスター・クラス』が今でも印象深い。


 徹子さん演じるカラスは当時50代。若い学生に講堂や劇場の舞台上で歌を教え、舞台下の客席にいる生徒には、その個人レッスンを公開授業として見せている。


 カラスがマンツーマンで熱心に教え注意していると、その若い学生が、「何を言っているのかまったくわかりません!」とその場を飛び出してしまう。


 ここで普通だと、黙って傷つくか、感情的に言い返しそうだが、カラス(徹子さん)は、一瞬、深呼吸するように間をおいて、冷静に客席にいる他の生徒に向かって「私、傷つきました。大変傷つきました」と静かに語るのだった。その一言だけ言って何事もなかったかのように又、静かに「次の方どうぞ」と学生との授業を再開する。


 この舞台を観劇した当時30歳になりたての私は、大人の女性のぐっと顎で感情を受け止めた、静かな凄みを見た気がした。



 それは、ため息がでるほど素敵だった。若い人とわかりあえない悲哀ではなく、品性を見たのだ。


『ビビット』で月一で私が担当させて頂いている、前向きWOMANというコーナーで、これまで麻実れいさん、高橋真梨子さん、コシノジュンコさん、芳村真理さん、八千草薫さん、瀬戸内寂聴さんというそうそうたる方々と対談させて頂いた。そこで感じたことは、先輩たちはとにかく自然体で美しく個性的に存在しているということ。あるがままという凄みだった。年齢を重ねた人間力だ。何の防御もせず媚びもせず、サービス精神にあふれ、人をhappyにする為に仕事をなさっている。そして、今の時代を受け入れる柔軟さも持ち合わせていた。


 寂聴さんは20代の女性をご自分のスタッフに選ばれて、本音で90代と20代で意見を言い合い楽しまれていたし、芳村真理さんは「スマホ使ってるわよ。だけどずっとスマホばかり見ている世の中は良くないわ」とおっしゃっていた。柔軟とはいえ、社会の流れに何もかも迎合はしないかっこよさだ。


 勿論どなたも“私は歳だから”“おばさんだから”なんておっしゃらない。むしろ年齢分の経験を、自信に変えている。


 ご自分の意見と言葉をしっかり持っている。60代、70代、80代、90代の輝く女性たちに会うと、年齢を重ねることがいかに素敵なことかと感じる。


 経験とは、かっこいい色気だ。


「いくつですか?」なんてどうでもいい質問だと日本の社会が気づくのはいつなのだろう。年齢を重ねた女性が、冬でも扇子を持ち歩いたり、老眼鏡や補整下着がなぜ必要なのか、その理由が私もだんだん自然とわかってきた。


 とはいえ、年齢という枠にとらわれる必要はないと思っている。私、1月でひとつ齢を重ねる。されど人生はここからが面白い…はず。


撮影/渡辺達生


※女性セブン2018年1月18・25日号

NEWSポストセブン

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