声優・上坂すみれ、『マジンガーZ』を語る! 〜機械獣の造形美からリサの別世界線まで〜

1月12日(金)19時15分 アニメイトタイムズ

いよいよ公開される『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』。テレビ版の10年後を描いた本作に、物語の鍵をにぎる重要なキャタクターとして登場するのが、声優・上坂すみれさん演じる「リサ」。リサは、謎の巨大遺跡インフィニティから出現した人型アンドロイド。構成パーツの91パーセントが整体パーツであり、物語のキーマンともいえるかなりミステリアスなキャラクターともいえます。

そんなリサを演じる上坂すみれさんに、今回取材時間をいただき、「アフレコのこと」や「演じてみての感想」などを質問しつつも、無茶を承知で「原作マンガのこと」や「機械獣の魅力」なども伺ってきました。

どの返答も、「さすが、上坂さん!」とも言えるものばかり。「マジンガーZ × 上坂すみれワールド」をぜひお楽しみください。※本文中のCV表記は、すべて『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』のものになります。


上坂すみれ、『マジンガーZ』を語る
——なかなか上坂さんぐらいの世代(平成一桁生まれ)で、かつ女性の方だと『マジンガーZ』(1972年)を知っているのは正直わりとレアなケースだと思いますので、通常なら今回演じられた役の話などからうかがうのですが……。『装甲騎兵ボトムズ』(1983年)(註1)などに強い興味を持たれている上坂さんなら、もしかして『マジンガーZ』もある程度はご存知だったりしますか?

上坂:はい(キッパリ)。私が知っていたのは漫画のほうでなんですけど、高校生ぐらいのときにたまたま見かけた文庫サイズのコミックスを購入して、原作は読んでいました。

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(註1)『装甲騎兵ボトムズ』:『機動戦士ガンダム』(1979)ブームの中で放送された、サンライズ制作のリアルロボット系アニメ。ミリタリー色の強いロボット「スコープドック」や、ストイックで男臭い主人公、戦争をリアルに描いたストーリーなど、独特な世界観に今でも熱狂的なファンが多い。

——『マジンガーZ』に興味を持つ女子高生というのも、かなり珍しい気がするんですけど?

上坂:もともとは(漫画版の)『デビルマン』(1972)(註2)から入ったんですけど、当時は「この永井豪さんという人は、すごいタッチの絵を描くなぁ……」って圧倒されてしまいまして。それで他の作品も読んでみたいと思っていたところに「そういえば『マジンガーZ』って聞いたことある」みたいな感じで(漫画版『マジンガーZ』に)出会ったのがきっかけでしたね。

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(註2)『デビルマン』:『マジンガーZ』と並ぶ永井豪先生の代表作。コミック版は、終盤にかけて衝撃的な展開を迎え、その展開がトラウマになっている人も数多い。今冬、コミック版が最後まで初アニメ化された『DEVILMAN crybaby』がNetflixにて配信されることも話題に。——特に魅力的に感じられたのはどういったところでしょうか?

上坂:まずは気持ちいいくらい勧善懲悪といいますか……。Dr.ヘル(CV:石塚運昇)(註3)もきっちり悪者ですし、(主人公の兜)甲児くんも多少の無理を通してでも正義を遂行するじゃないですか(笑)。

『デビルマン』に比べれば少しお気楽なところもあるように見えるんですけど、それでも漫画のほうだと鉄十字の兵士を刺し殺したり。でも、最初は正義と悪というだけではなくて、甲児くんがマジンガーを制御できなくて首都高を破壊しちゃったりもしてましたけど。

そもそもマジンガーを生み出した兜十蔵博士(註4)が……もう「ヤバい」としか言い様がない人なんですよね(笑)。マジンガーは「神にも悪魔にもなれる」と言われていますけど、漫画の兜博士はかなり悪魔寄りとしか思えなくて。そこは『デビルマン』にも通じるところなんですけど、マジンガー自体がビジュアル的にも黒と赤でちょっと悪者っぽくも見えますし、兜博士は本当のところはどうしたかったのか気になりますね(笑)。

そういうベースがありながら、それが正義を執行する「ネイティブ・ダーク・ヒーロー」とでも言うべき存在であるのも、マジンガーに惹かれるところです。(註3)Dr.ヘル:狂気の科学者。古代ミケーネ人の遺産ロボット(機械獣)を手に入れ、世界制服のために、ジャパニウムと光子力エネルギーを手に入れるため光子力研究所を狙う。『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』でも、謎の復活をとげ、マジンガーZへ挑んでくる。(註4)兜十蔵博士:兜甲児の祖父。ジャパニウムと光子力エネルギーの発見者であり、その技術を利用しマジンガーZを開発した。穏やかな人物像のテレビアニメ(1972年)版とは異なり、漫画版ではマッドサイエンティスト的に描かれる。マジンガーZを託した後の死に際のセリフは「わっはっははは 兜甲児 世界はおまえのものじゃぞ!」と、上坂さんの言うとおりかなりヤバめな発言。 
——たしかにアニメでは勧善懲悪的な部分が大きいですけど、それだけではないのが永井豪作品らしいところではありますね。

上坂:もし機械獣に襲われているところにマジンガーがやって来たら、私なら「もっと悪い奴が来た!」って思うかもしれないですもん(笑)。

(漫画版の)甲児くんは正義の味方として優等生ではぜんぜんなくて、やってることは完全に暴れん坊の不良ですからね。

所変われば「全員悪人」だったかもしれない、そういう紙一重な感じもいいなと思います。 
Dr.ヘルの天職は、海洋堂の造形師?
——敵の機械獣も強烈なインパクトを放っているとは思いますが、ああいうテイストを上坂さんはどう受け取られているのでしょう?上坂:私はガラダさん(註5)が特に好きなんですけど、「ロボット」というよりは「妖怪」に近いようなシルエットも、ブリキでできていそうな、錆びちゃいそうな感じもステキに感じます。最近の作品でよく見る「シュッとしたデザインのロボット」に目が慣れていると、逆に新鮮なものに映るのかもしれません。

最初に漫画を読んだときは、そういう「昭和なデザイン」の機械獣にもすごく魅力を感じまして、Dr.ヘルはたいへん「いいご趣味」をお持ちだなぁと(笑)。

この造形のセンスを活かして海洋堂とかで働いていれば、きっと違う形で世界征服できたんじゃないかって思うんですけどね。(註5)ガラダさん:機械獣の「ガラダK9」のことで、上坂さんがたっぷり愛情を込めた呼称。ガラダK9は、骸骨顔におさげの髪風の釜が付いている特徴的な風貌。『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』にももちろん登場。

一同:(笑)。——いわゆる「異形への愛」が炸裂しまくってるのも『マジンガーZ』の魅力ですけど、その象徴とも言えるあしゅら男爵(CV:宮迫博之&朴璐美)やブロッケン伯爵(CV:藤原啓治)については?

上坂:あしゅらとブロッケンはアニメでもそのままでしたし、本当にスゴいと思います。見た目もスゴいんですけど、あんな二人がDr.ヘルの意のままに使われている姿には、どこか会社で言うところの中間管理職的な悲哀が感じられて……。

一同:(笑)。上坂:世界征服とか命じられてるわりにはそれほど部下も多くないですし、しょっちゅうDr.ヘルには呼び出されるし、ちょっとあのふたりにのしかかる責任が大きすぎなんじゃないかと思うんですけど。そういう意味でもあしゅらとブロッケンは気になってしょうがない存在です。

Dr.ヘルに対しては、尊敬しつつも、ちょっと引いてるようにも思えたりして(笑)。 
オリジナルキャラクター「リサ」を演じて
——では、今回の『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』で演じられたリサ役についてお聞きしますが、まずは原作をお読みになっていた上坂さんとしては、オファーを受けたときのお気持ちは?上坂:実はオーディションを受けてからリサ役に決まるまで、けっこう長い時間が空いていましたので、「あれはダメだったのかなぁ」と諦めかけていたところにお話をいただきまして、すごく驚きました。

それと同時に、リサは今回の作品のためのオリジナルキャラクターということで、ビジュアルも最近のアニメ作品のキャラクターのようですし、「彼女がどんな形で物語に絡んでいくんだろう……?」と、台本をいただくまでは少し不安なところもありましたね。

それが物語で非常に重要なポジションであり、そんな役をいただけたことをたいへん光栄に思いました。

——最初の段階ではリサについて、どの程度の情報を聞いていたのでしょうか?

上坂:本当に漠然となんですが、アンドロイドで甲児のサポート役で、さらに「インフィニティ」の起動キーでもあるということは聞いていました。

そういう設定ですので、もしかしたらDr.ヘルのほうに行ってしまうんじゃないかなって心配してたんですよ。髪の色も、ちょっとヘル寄りですし(笑)。——原作をご存知であればなおさら、「ローレライの歌」のエピソードでドナウα1(アニメ版ではラインX1)(註6)の起動キーとして機械獣と合体してしまったローレライのような運命を想像したのでは?

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(註6)ドナウα1:コミックス3巻に収録し、アニメ『真マジンガー 衝撃! Z編』 第13話「初恋?美少女ローレライ!」にも登場。兜甲児の弟、シローのひと目惚れした美少女「ローレライ」は、実はロボットで機械獣「ドナウα1」の起動キーだった。死に際の父の願い「打倒、マジンガーZ」を叶えるため、ローレライは機械獣と融合してしまう。そして、マジンガーZと戦うものの最後は撃破される。シローは、ドナウα1の残骸の脇でマジンガーに「なんでてめぇは、負けねんだよーっ」と悲痛の叫びを投げつける。


上坂:ありましたね、そんな話も。ものすごいショッキングな結末でしたけど、ああなる可能性も十分にあったんですよね(笑)。

まぁ、幸いそうはならずに、心があるゆえに甲児と行動を共にするほうで意義深いキャラクターを演じることができましたが。——ちなみに、もしローレライのようなポジションだったとしたらどうでした?

上坂:そうじゃなくて本当によかったです!

一同:(笑)。

上坂:どこかにそんな平行世界もあるのかも……。まぁ、ある意味では永井豪先生の血を濃く受け継ぐ立場のような気もしますし、そう思えばそれはそれで、悲しみにくれながらマジンガーと戦うのも演じてみたかったかもしれないですけどね(笑)。 
みんな「守るべきもの」があるが、変わってないのは……ぐらい
——通常の質問に戻りますが(笑)、収録現場はどんな雰囲気でしたか?

上坂:私は収録2日目からの参加で「あとは“リサ待ち”だからねー」なんて言われていたんですけど、ベテランの方たちがすでにいい空気を作っていてくださったのも、リサを演じるうえですごく助けになりました。——今作はオリジナルのアニメ版を踏襲しつつ、それぞれのキャラクターの10年後が描かれていますが、その中でリサを演じてみていかがだったでしょう?

上坂:収録のときに思ったことなんですけど、甲児役の森久保(祥太郎)さんをはじめ、今回は45年前のオリジナルとは違うキャストのみなさんが演じておられるにも関わらず、雰囲気はまさに当時の甲児くんや(弓)さやかさん(CV:茅野愛衣)、(兜)シローくん(CV:花江夏樹)がそのまま成長したように私には聞こえたんですね。その中にあって、リサだけはベースになるものがないキャラクターだったんですが、私が「こう演じよう」と考えたことよりは、甲児やさやかさんたちとの掛け合いの中で、みなさんの力に助けられて完成した部分が大きかったように思います。

私個人としては、リサはアンドロイドだけれど「人間以上に人間らしい」ことが特徴だということで、感情表現は意識的に強調していましたが、それでもリサ自身も知らないことに戸惑いを感じるようなくだりは他のキャラクターとの関係があってできた演技です。——特にリサは、成長した甲児と関わりが大きいですからね。

上坂:昔の甲児くんなら、またDr.ヘルが攻めてきても、要約すれば「やっつけてやる! マジーンゴー!! 以上!」で終わりなんでしょうけど。

一同:(笑)。

上坂:今回は研究職になっているということで対応も大人になってますからね。

他にもおなじみのキャラクターがどう変化しているかも見どころかと思います。みんな「守るべきもの」ができていて、なにも変わってないのはDr.ヘルぐらいなので……。

まぁ、彼も演説や交渉のスキルは昔よりもアップしているのかもしれませんけど(笑)。上坂さんからのみなさんへのメッセージ
——それでは最後に、作品全体とリサについて、上坂さんの視点でそれぞれ推しポイントのアピールをお願いします。

上坂:作品の見どころとして推したいのは、なんといっても現代の技術であらためて描かれたマジンガーと機械獣の戦闘ですね!

「必殺技大放出」みたいな感じで、とにかく必殺技はすべて出てきますし、機械獣の群れを単体でなぎ倒していくような強さこそがマジンガーの魅力だと思いますので、その痛快さは若い世代の人にも感じていただきたいポイントです。

あとは先ほども少しお話しましたが、少しずつ成長したキャラクターの姿と、それでも変わっていない部分といいますか……たとえば甲児のヘルメットは昔のままのデザインだったり、そういうところは昔の『マジンガーZ』が好きだったファンの方にも安心して見ていただけると思います。私個人としては、ラーメン屋を経営するボス(CV:高木渉)の姿にすごく魅力を感じましたね。すごく「いい大人」になっていて。そしてリサとしては、大人になった甲児が再び戦う決心をすることにどう関わるのか、そんな甲児とさやかの間でどんな役割を果すのかといったところも楽しみにしていただきたいのですが、ピンポイント的にはリサのセーラー服姿の描写にも注目していただきたいです。

そこにものすごい情熱を感じたので、きっとお好きな方がおられたのではないでしょうか。

一同:(笑)。

——ですね。ありがとうございました。[取材・文:大黒秀一 写真:相澤宏諒]

 
作品情報 『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』<声優>
http://www.animatetimes.com/tag/details.php?id=4160 (石丸博也)、松島みのり

<スタッフ>
原作:永井豪
監督:志水淳児
脚本:小沢高広(うめ)
メカニックデザイン:柳瀬敬之
キャラクターデザイン:飯島弘也
美術監督:氏家誠(GREEN) 
CGディレクター:中沢大樹、井野元英二(オレンジ)
助監督:なかの★陽、川崎弘二
音楽:渡辺俊幸
オープニングテーマ「マジンガーZ」水木一郎 
エンディングテーマ「The Last Letter」吉川晃司(ワーナーミュージック・ジャパン)

制作:東映アニメーション
配給:東映

<ストーリー>
あれから10年—。新たな運命が人類を待ち受ける。それは神にも悪魔にもなれるー

かつて悪の科学者Dr.ヘル率いる地下帝国によって滅亡の危機に瀕した人類は、兜甲児が操るスーパーロボット・マジンガーZや光子力研究所の仲間の手によって、悪の野望を阻止し、平和を取り戻した。
あれから10年−。パイロットを離れ、祖父や父のように科学者の道を歩み始めた兜甲児は富士山の地中深く埋まった超巨大構造物と謎の生命反応に遭遇する−。そして、時を同じくして現れる機械獣や宿敵Dr.ヘル。新たな出会い、新たな脅威、そして新たな運命が人類を待ち受ける。かつてのヒーロー・兜甲児の下す未来への決断とは。
再び人類の未来を託されたマジンガーZと人々の激闘を描く、壮大なアクション巨編!



>>http://www.mazinger-z.jp/ (公式サイト)
>>http://www.animatetimes.com/tag/details.php?id=4105 (上映中・新作アニメ映画一覧)

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