話題の韓国映画「パラサイト」ポン・ジュノ監督が語る「ぶっ飛んだ話を思いつく方法」

1月12日(日)11時0分 文春オンライン

 ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が韓国映画として初めてカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞した。アメリカでもLA映画批評家協会賞をはじめ多くの映画賞に輝き、アカデミー賞候補も確実と目されている。今や大きく生活が変わったのではないだろうか。


「いいえ、全然。確かに日本やアメリカでの宣伝活動は忙しいけれど、それ以外の時間は、次の作品の構想を練っています。今までと変わらない毎日ですよ」



ポン・ジュノ監督


『パラサイト』は、長男が家庭教師の職を得たことをきっかけに、貧しいギテク(ソン・ガンホ)一家が、IT企業社長の家に入り込むことから始まる。カンヌではポン・ジュノ自身が「ネタバレをしないでほしい」と声明を出すほど、次から次へと想像を絶する展開に圧倒される傑作だ。どうしたら、こんなぶっ飛んだ話を思いつくのだろう。


「僕は机の前で『さあ、書くぞ』というタイプではないんです。カフェでコーヒーを飲んだり、散歩をしながら思いついたことや、目にしたことを書いておく。実はこの間、“地下に暮らす家族”という言葉が、4年前のノートに書いてあったのを見つけたんです。前作『オクジャ』(17)を撮る直前だったので、しばらく放っておいたんですね。家庭教師という設定は、僕の実際の経験から。学生時代に家庭教師をしていた家が部屋がいくつもある豪邸で。でもすぐにクビになっちゃったんです。数学がうまく教えられなくて(笑)。そうしたいくつものアイデアを元に脚本家と一緒に話を組み立てていきました」


 社長の豪邸と半地下にあるギテク家は対照的だ。


「実はあの家は2つともセットなんです。豪邸の方は、プロの建築家にあんな構造はあり得ないと言われましたよ(笑)。美術監督と綿密に打ち合わせして、完成した3Dの設計図をもとに絵コンテを描きました」



 本作で特に印象的なのは、階段を転げ落ちるシーンだ。今年、韓国映画100年を代表する10本に選ばれた初期の代表作『殺人の追憶』(03)にも同様のシーンがある。


「そう、僕の映画には人が転げ落ちるシーンが必ず入っています。ちょっとネタバレになっちゃいますね(笑)。列車の中で展開する『スノーピアサー』(13)でも、終盤には人が転落します。どうして落下が好きなのか、自分ではわからないけれども『パラサイト』では、その上下の移動を意識的に使っています。もうひとつ、意識したのが匂いです。見えないけれど、匂いというのは人の心理に与える影響が大きいし、社会格差を象徴するものでもあるんです。僕にとっては面白い映画を撮ることが第一。社会告発が目的ではありませんが、リアルに描きたいんです」


 是枝裕和監督をはじめ、日本の映画人との親交も深い。日韓関係は微妙な情勢だが、悲観はしていないと言う。


「どちらの国にも常識的な人たちはいますから。遠くない将来、良い状態になると思っています」



BONG Joon ho/1969年、韓国・大邱生まれ。実際の連続殺人事件を元にした『殺人の追憶』(03)、『グエムル−漢江の怪物−』(06)、『母なる証明』(09)など、作品を発表するたびに興行、批評両面で成功を収めている。




INFORMATION


映画『パラサイト 半地下の家族』​

http://www.parasite-mv.jp/




(石津 文子/週刊文春 2020年1月16日号)

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