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『ロボジー』五十嵐信次郎×吉高由里子 50歳差なんて何のそのの通じ合う“熱さ”

cinemacafe.net1月10日(火)19時31分
ミッキー・カーチス改め五十嵐信次郎が「70過ぎると毎朝起きたとき『あぁ、今日も生きてた!』って感じだよ」と言うと、すかさず50歳年下の吉高由里子が突っ込む。「そんな人が息を吹きかけるとスカートがめくれる携帯のゲームを『すごいだろ?』って見せてきますか(笑)」。映画『ロボジー』を通じ、半世紀分もの年の差を越えて同志として強く結びついた2人。共通するのは枠や常識にとらわれることのない“規格外”の匂いだ。過激に讃え合う(?)2人が映画について、互いについて、人生の機微について…語り合う!



元々、矢口史靖監督(『ウォーターボーイズ』、『スウィングガールズ』)のファンだったという五十嵐さん。展示会を前に大破したロボットの身代わりとしてロボットの中に入ることになった偏屈ジジイ・鈴木を演じるにあたり、自慢の長髪をバッサリと切り落としヒゲも剃り、さらには改名までして「過去を全部かなぐり捨てて新人のつもりで」この役に挑んだ。

「矢口映画に出られるなら何してもいいやって気持ちだったよ。台本を最初に読んだときは自分であれこれ考えたりもしたけど、撮影初日に全てのイメージが監督の頭の中にあって、それが分かってからはこの監督に従っていれば間違いないと思って、とにかく監督に言われた通りにやったね」。



カリスマ的ロックンローラーからクソジジイへの“変身”は外見のみにあらず! 時に頸動脈を圧迫されて蒼白になりながら総重量30キロのロボットの外装を身に着け、さらにはお尻までさらけ出すなど文字通り体を張った演技で矢口監督のあらゆる要求に応え続けた。

「あんなの台本には書いてないよ! 本番直前になって監督がチョコチョコっと近づいてきて『お尻出してもらっていいですか?』って(笑)。あの目で言われたらなぁ…。何考えてるのか分からない目でジッとこっちを観察してて…まるで監督がロボットそっくりだよ。これまで演じてきた役とも自分とも違うリアルな73歳の“カッコ悪さ”っていうまるっきり新しい一面を監督に引き出してもらえたね。俳優やるときはスイッチが切り替わるみたいに人格が変わって、演じる役柄の人格になるんだけど、それがちょっと快感だったりするんだよ(笑)」。



五十嵐さんの話に頷きつつ「キレイなお尻でよかったですよねー」となぜか安堵の(?)笑みを浮かべる吉高さん。中に人が入っていることなどつゆ知らず、二足歩行ロボット“ニュー潮風”に恋する理系のオタク女子大生・葉子を演じたが、吉高さんにとっても矢口監督作品への出演は初めてのこと。臆することなくその唯一無二の存在感を見せつけているが、女優の魅力を最大限に引き出す“矢口マジック”の秘密を吉高さんはこう説明する。

「何考えているか分からないし、目が合ってるのかも分からないんです(笑)。本当に不思議な方です。『こうしてくれ』というのを最初は言わずに、まずは好きにやらせてくれるんですよ。実際には頭の中にどういうアングルでどんな動きにするというプランがあるし、必ず絵コンテを描いている方なので(構図は)あらかじめ決まってるんですが、それを絶対に役者には見せないで泳がせてくれる。説明の仕方も印象的で『これ』とはっきりと言わずに比喩でたとえながら、柔らかいベールに包んでイメージを伝えてくれるんです」。



ちなみに吉高さん自身、葉子のようなオタク気質や好きなことにのめり込んでいく性質はというと…?

「ありますね。最近だと宇宙が好きになってDVDを集めたり10本立ての教材を買ったり。そういう熱は急ですね。(熱が)下がるとき? もうパタッと『はい、どーした?』って勢いで(笑)。いままでも日本の歴史が知りたくなったり、昔の地図にハマってそれを見ながら散歩したり…(熱が冷めても)愛は変わらないんですけどね(苦笑)」。



そんな吉高さんに五十嵐さんは「多分、男に対しても一緒だな。徹底的に追及して急にパタッとスイッチ切るんだろ?」とニヤリ。だが、この23歳が現場で見せた“女優魂”には、これまで数々の大女優と共演してきた五十嵐さんも心底感服したようだ。

「とにかくこんな女優いない。女優ってのはどんな役をやっても、どこかしら『私は女優よ』ってところがあるものだけど、この人はそんなものをぶち抜いてる。生まれっぱなしって感じだね。これからすごいことになるよ」。確信に満ちた表情で五十嵐さんは吉高さんのさらなる飛躍を予言、いや断言する。



それにしても改めて驚かされるのは御年73にして一向に衰えることのない五十嵐さんのバイタリティだ。歳を重ねるということについて「もうあまり楽しくはないね。70くらいまでは『おれも大人になってきたぜ』と感じてたけど…」とは本人の弁。どうやら“大人”になってまだわずか3年ほどという認識のようだ…。

「老いに加速がかかってきたのは感じるけどね。18歳から20歳まではたった2年なのに5年くらいあるような気がするじゃない? でも還暦(60歳)から古希(70歳)までなんて2年くらいに感じるんだよ。でもまあ、死ぬまで生きるつもりだからね(笑)。好き勝手やって、気になることに手を出して、失敗してもダメで元々だから何でもやってやろうって気があるかどうかだよ。全てのものに対して興味津々、『明日はどんな面白いことがあるんだろう』って感じでいるよ」。



「永遠の思春期」とでも言うべきか…なんだか吉高さんにも当てはまりそうな言葉だ。50もの年を隔てつつも同じ熱さを共有する規格外の2人の出会いは、今後、何をもたらすのか——? 楽しみに待ちたい。



(photo/text:Naoki Kurozu)

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