「紅白超え」の活況を見せる日曜20時 “放送なし”のジレンマ

1月13日(日)16時0分 NEWSポストセブン

『イッテQ』は騒動からのイメージ回復を狙うが…

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 テレビ離れが進むなかで、業界で注目を集める放送枠がある。それは「日曜20時」だ。この枠に放送されている3番組が高い視聴率を記録しているのだ。各局ともつかんだ視聴者を放さないために毎週放送するのかと思いきや、そうでもないようで…。テレビ局サイドのさまざまな事情についてコラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。


 * * *

 先週1月6日の同じ時間帯に放送された『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)が視聴率16.0%、『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)が同15.4%、『いだてん〜東京オリムピック噺〜』が同15.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、そろって15%を超えました。


 録画機器やネット視聴が普及してリアルタイムでテレビ番組を見る人が減り、「視聴率は2桁で成功」と言われる中、同時間帯の3番組が15%を超えるのはひさびさの快挙。それだけ多くの人々が日曜の夜にリアルタイムでテレビ番組を見ていたことになり、3番組合計46.9%は昨年大みそかに放送された『第69回NHK紅白歌合戦』の41.5%を大きく上回ります。


『イッテQ』『ポツンと』『いだてん』が、『紅白歌合戦』のような「年に一度の生放送番組」ではなく「通年放送の収録番組」であること、「1つの番組が盛り上がるより、同じ時間帯に人気番組がひしめき合うほうが影響力は大きい」ことを踏まえると、テレビ業界にとって大きなことと言えます。


 しかし、翌週の13日に放送されるのは『いだてん』のみで『イッテQ』『ポツンと』の放送はありません。通常21時から放送されている『行列のできる法律相談所SP』(日本テレビ系)と、2時間ドラマの『おかしな刑事SP』(テレビ朝日系)を前倒し放送するようです。


「なぜ1月早々に人気番組を休むの?」という疑問。引いては「せっかく盛り上がっているのに勢いをそぐような番組編成はもったいない」と感じる人も多いではないでしょうか。そこに各局の事情やジレンマが見え隠れしているのです。


◆騒動からのイメージ回復が必要な『イッテQ』



 6日の放送がそろって15%を超えるかどうかは別にして、「三つ巴で盛り上がるであろう」ことはある程度予想されていました。『イッテQ』は昨年11月の「祭り企画やらせ」騒動後も視聴率16〜17%台をキープし、『ポツンと』も昨年10月のレギュラー化からすべての放送で2桁視聴率を記録。『いだてん』は、「宮藤官九郎さんなど『あまちゃん』(NHK)のスタッフが再集結した大河ドラマ」として早くから注目を集めていました。


 なかでも、騒動からのイメージ回復を狙う『イッテQ』は、イモトアヤコさん&出川哲朗さんというWエースを投入した新年1回目に続く、今週の放送が勝負どころのはず。今も昔も「鉄は熱いうちに打て」がビジネス上のセオリーであり、好機を逃してしまう感があります。


 13日に『イッテQ』『ポツンと』の放送がないのは、番組編成上の戦略によるものでしょう。もともとテレビ番組表は、マーケティングや予算などを踏まえながら、さまざまなジャンルの番組をパズルのように組み合わせたもの。1つの番組ではなく、「どんな番組表なら自局の番組を見続けてもらえるか」を熟慮した上で、13日の番組表から『イッテQ』『ポツンと』を外したのです。


 実際のところ、2時間ドラマの『おかしな刑事』が通常の21時からではなく、1時間前倒しされるのは、22時10分から『サッカーAFCアジアカップ2019 日本vsオマーン』を放送したいから。また、『行列のできる法律相談所SP』もこの日は大物の明石家さんまさんがMCを務めるため、『イッテQ』を休んででも前倒ししようということでしょう。


 ただ、今後はおそらく両番組ともに、できるだけ20時台の通常放送を重視していくはず。その理由は6日の結果を見て、「日曜20時なら、特番ではなくレギュラー放送で十分戦える」ことがわかったからであり、視聴習慣をより強固なものにしたいからです。


◆隔週2時間ではなく毎週1時間で放送できるか



 YouTubeやニコニコ動画などの動画共有サービス、Amazonプライム・ビデオやネットフリックスなどの動画配信サービス、AbemaTVなどのネットテレビと、エンタメコンテンツのライバルは増える一方であり、テレビ視聴時間が減る一因となっています。


 本来ならこれらのライバルに対抗すべく各局が、「本当に面白い番組を在宅率の高い時間帯に、毎週きっちりレギュラー放送しよう」と足並みをそろえたいところですが、現段階ではなかなかそうもいきません。各局に横のつながりは薄く、「自局の事情や視聴率を優先させて、イレギュラーな特番を放送する」という番組編成を繰り返しています。


 前述したように、日曜20時に3番組がそろうことで、ひさびさに視聴者が「どれを見ようかな?」といい意味で迷うことができる、正真正銘のゴールデンタイムとなりました。近年、視聴率確保や制作費削減などの事情から、“毎週1時間のレギュラー番組”を“隔週2時間の特番”として放送するケースが多く、「放送日時がわからない」「楽しみにしていたのに放送がなかった」「長すぎて見づらい」などの不満が少なくありませんでした。


 今、『イッテQ』『ポツンと』に求められているのは、「日曜20時の番組を楽しみに待つ人々に、一週たりとも休むことなく届ける」こと。『いだてん』も含めた3番組が視聴者の信頼をつかむことができれば、他の時間帯への関心も高まるのではないでしょうか。


 他局では、不定期放送で視聴習慣を定着させられないTBSの『消えた天才』と、フジテレビが今冬にスタートする『でんじろうのTHE実験』も含め、各局が熱のこもった番組を毎週日曜夜に提供できるのか? 今年は日曜20時のテレビ番組から目が離せそうにありません。



【木村隆志】

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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