『ボトムズ』のリメイクは!? また、最新作は作られるのか!? 高橋監督自らが、その疑問に答える!−−『装甲騎兵ボトムズ 戦場の哲学者』発売記念・高橋良輔監督のサイン会&トークショウレポート

1月14日(土)14時30分 アニメイトタイムズ

2016年12月7日、芳林堂書店 高田馬場店にて、書籍『装甲騎兵ボトムズ 戦場の哲学者』の発売を記念し、高橋良輔監督のサイン会&トークショウが行われました。

『装甲騎兵ボトムズ 戦場の哲学者』は、『装甲騎兵ボトムズ』シリーズ(※1)最新作として、2017年11月12日に発売されたムック本。TVシリーズの監督を務める高橋良輔さん(※2)による書き下ろしの短編小説を筆頭に、メカデザインを手がける大河原邦男さん(※3)による新たなAT、戦闘シーンの絵コンテなど見所が満載で、小説というくくりに収まらない、『ボトムズ』シリーズ最新作と呼ぶにふさわしい豪華な作りとなっている作品です。(※1) TVアニメ『装甲騎兵ボトムズ』(1983年)を皮切りにスタートしたアニメーション作品群。TVシリーズの人気を受けて、OVA『ザ・ラストレッドショルダー』(1985年)、『赫奕たる異端』(1994年)、『ペールゼン・ファイルズ』(2007年)など、いくつもの続編が制作された。従来のロボットアニメには存在しなかった、ハードボイルドなストーリーとミリタリー色の強い世界観が強く支持された。

(※2)アニメーション監督、脚本・脚本家、プロデューサー。『ゼロテスター』(1973年)で監督デビューして以降、『装甲騎兵ボトムズ』(1983年)を筆頭に、『太陽の牙ダグラム』(1981年)、『蒼き流星SPTレイズナー』(1985年)、『ガサラキ』(1998年)など代表作多数。徹底したリアリティ維持しつつ、従来のロボットアニメにはないギミックをいくつも生み出し、後のアニメーションに多大な影響を及ぼした。現在は大阪芸術大学でキャラクター造形学科教授も勤めている。

(※3)日本を代表するメカデザイナー。『装甲騎兵ボトムズ』の他、『機動戦士ガンダム』シリーズ、『科学忍者戦隊ガッチャマン』、『ヤッターマン』などのメカデザインを手がけた。中でも『ボトムズ』でもっとも多く主人公が搭乗したAT「スコープドッグ」は、氏を代表する作品の1つとして知られている。 
高橋監督とってのヒロインは、フィアナではなかった!
まずトークショウに登壇した高橋監督は「女性が少ないので緊張せず話せますね」と、来場者がコアな男性ファンの割合が高いことに触れて笑いを誘いつつ、『機甲猟兵メロウリンク』(※4)が大好きだというMCが、メロウと本作の主人公であるフィローに通じる部分を感じたと感想を述べると、「メロウリンクが大人になったらフィローになるかもしれない」と、高橋監督自身も意図していない内に、両者のキャラクター性が似ていたことに気づくという一幕も。

なお本作は主人公のフィローがアルコール中毒というユニークな特徴をもっているが、高橋監督自身もお酒は大の好物ではあるものの、一人の時はなるべく飲まないように心がけているのだとか。ただし会場では思わずアルコールに関連したトークが盛り上がったあまり、MCから「できればボトムズの話を……」というツッコミも入れられていました。トークの最中には、客席に向かって度々話題が向けられていたこともあり、ここでやや予定を早めて、質疑応答のコーナーが一度行われることに。

客席からは高橋監督が手がけた別作品である『蒼き流星SPTレイズナー』や、次回予告を担当した『ヤング・ブラックジャック』に至るまで、実に幅広い質問が寄せられていたのですが、中でも興味を集めたのは、『ボトムズ』のメインヒロインであるフィアナに関する話題です。フィアナのキャラクターの方向性や要望を決めたのは高橋監督に違いないのですが、どちらかというとフィアナにはキャラクターデザインの塩山紀生さん(※5)の趣味が強く反映されており、高橋監督の好みのタイプとはやや違っているのだとか。高橋監督としては、フィアナのような完璧な美人女性よりも、親しみを抱きやすい女性の方が好みなのだそうで、『ボトムズ』でいうと、もう一人のメイン女性キャラクターであるココナが、一番のお気に入りであると語られていました。(※4) 1988-1989年にかけてOVAで展開されていた、『装甲騎兵ボトムズ』シリーズの外伝。主人公がATなどのロボットに搭乗せず、生身でロボットと戦闘を行うという斬新なコンセプトの異色作。後に『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』も手がけた神田武幸氏が監督を務めており、高橋良輔監督は、原作・シリーズ構成という形で関わっている。

(※5)アニメーター、イラストレーター。TVアニメ『装甲騎兵ボトムズ』では、キャラクターデザインと作画監督を勤めた。『太陽の牙ダグラム』『機甲界ガリアン』でも同様の役職を任されており、高橋良輔監督からの信頼も厚い。 
『ボトムズ』はスタッフにも愛されている
その後には本作の担当編集であるSBクリエイティブの佐藤氏も登壇。佐藤氏によると、サンライズ(※6)から新しいオリジナルの『ボトムズ』を作らないかという相談を寄せられたのがきっかけで今回の企画はスタートしたのですが、当時の高橋監督は多忙を極めていたこともあり、書籍化が実現するまでは実に足掛け2年もの時間を擁したのだとか。それだけ長い時間をかけて作ってくる内に、高橋監督にとっても本作のキャラクターやメカニックに愛着が沸いていたようで、大河原さんが提出したATのデザインに対して何度も細かい修正依頼を行ったとのこと。編集者の立場である佐藤氏としては、そのやり取りが気が気ではなかったという苦労話を明かし、会場の爆笑を誘っていました。

また本作では、『ボトムズ』シリーズの中でも屈指の人気を誇る敵側のATである“ブラッドサッカー”が登場しているのですが、これを登場させるかどうかについてもひと悶着があった様子。高橋監督としては、一度出したATを再登場させることへのためらいはあまりないそうなのですが、高橋監督の周囲にはATへのこだわりをもつスタッフが非常に多く、その反対を受けていたとのこと。最終的にはブラッドサッカーは登場することになったわけですが、ATの設定面などに関して、そうした強いこだわりを持つ面々の助言によって、高橋監督の方が気づかされるということも少なくないそうで、いかに『ボトムズ』という作品が、制作スタッフの間でも愛されているかが伝わってくるエピソードとなっていました。(※6)『装甲騎兵ボトムズ』を制作したアニメスタジオ。多数の高橋良輔監督作品のほか、『機動戦士ガンダム』シリーズや『コードギアス』シリーズなど、人気ロボットアニメを数多く生み出してきた。 
リメイクは? 新作は? 監督自らが語る『ボトムズ』の未来
その後には再び質疑応答のコーナーに戻り『ボトムズ』ファンなら誰もが気になる、核心をつく質問がいくつも飛び出すことに。

 その中の1つが、「近年では現在の技術で過去の名作を作り直す“リブート”が行われているが、『ボトムズ』でも高橋監督の手でTVシリーズを作り直す予定はないか」という質問。高橋監督は、実際にスタッフの間でもそれが何度も議題として上がっていることを認めた上で、「TVシリーズを作り直すなら、オリジナルから変えなくてはいけない部分が必ず出てくるが、改変によってオリジナルが好きだった人をがっかりさせてしまう。絵は古くても、当時だからこそ作ることができた魅力というのもあります。後で考えが変わる可能性はありますが、現状は自分自身の手で作り直すということは考えていません」と、はっきりとその可能性を否定します。ただしこれは高橋監督自身の手では、という意味合いで、もし他の監督の手で初代『ボトムズ』が生まれ変わるという可能性があるなら、それには反対しない立場であることも同時に明言していました。

そしてファンがもっとも気になっているであろう、現在の最新作にあたるOVA『幻影編』に続く、次なるアニメーション作品の予定に関しても質問が及ぶと、実際に高橋監督自身が、その実現に向け様々な働きかけを行っていることを明かし、「『赫奕たる異端』(※7)を作っちゃった以上はしょうがないので、責任はとります!」と、TVシリーズから続く、キリコ・キュービィー(※7)の物語を描ききることを約束。多くのファンが待ち望んでいた力強い言葉に、客席からこの日一番の拍手喝采が沸き起こっていました。(※7)『装甲騎兵ボトムズ 赫奕たる異端』。1994年-1995年にかけてリリースされた、TVシリーズの続編にあたるOVA。コールドスリープについていたキリコとフィアナが目覚め、マーティアル教会を巡る陰謀に巻き込まれていく。それまでのOVAでは前日譚やTVシリーズの合間的なエピソードが描かれるのに留められていたが、初めてTVシリーズのその後が明らかになったことや衝撃的なラストシーンが大きな反響を呼んだ。

(※8)『装甲騎兵ボトムズ』シリーズを象徴するキャラクターであり、数多くの作品で主人公を務める。“異能生存体”とよばれる、絶対に殺すことができない異能の力をもつ存在で、TVシリーズの後は恋人であるフィアナと共にコールドスリープ状態で眠りについていた。だが『赫奕たる異端』で目覚めたことで、『ボトムズ』ワールドに新たなキリコの物語が刻まれていくことになった。 
最後には、ファンの方々との交流も!
そんな大盛り上がりとなったトークショウのあとに行われたのが、ファンお待ちかねの高橋監督のサイン会。憧れの存在である高橋監督を目の前に、来場したファンの誰もが心から感激している様子で、「一生の宝物にします!」という嬉しそうな声が何度も上がっていたほど。いかに『ボトムズ』という作品を愛しているかを語る熱いファンの方々に対して、高橋監督が本当に丁寧に言葉を返している姿も印象的でした。また、実は今回のイベントが行われる直前には、アニメイトタイムズとして高橋良輔監督にインタビューをさせていただくという、大変貴重な機会もいただいております!そちらの模様も別記事として掲載しますので、是非ともご一読下さい。

※インタビューは後日公開です。

[取材・文・写真/米澤崇史]

アニメイトタイムズ

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