検診や検査、医師たちの間で釣り堀と揶揄され意味ないものも

1月14日(月)7時0分 NEWSポストセブン

人間ドックや検診の専門病院では他院のアルバイトや専門外の医師による診察が多いという(写真/PIXTA)

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 平成最後のお正月を、どう迎えただろうか。帰省先でおせちを囲み、親戚一同が顔を揃えての宴席、という人も多いだろう。そんな中、突き出たお腹を撫でながら口火を切ったのは、お屠蘇ですっかり顔を赤くした本家のおじさん。


「参ったよ、メタボ検診に引っかかっちゃってさ〜」


 それを聞くやいなや、あちこちから声が上がる。


「いや〜、オレも尿酸値が高かったから数の子はちょっと控えなきゃな」「血圧が高めって言われちゃったから、好物の田作りをがまんしてるの」「検診でコレステロールが引っかかったから、ビールじゃなくてウーロン茶にするわ」…。


 今年も日本各地で繰り広げられたはずの“不健康自慢”は、ある程度の年齢を重ねた人なら“鉄板ネタ”ともいえる。


 だが一方で、一見他愛のないこんな会話を聞き、ハッとした人も少なくないはずだ。若い有名人が相次いで病気で他界したこともあり、積極的に健康診断を受けようという機運が高まっているが、長い間受診していない女性も少なからずいるからだ。


 特に女性は、専業主婦やパートで働く場合が多く、職場の集団検診など半ば強制的に受診を促される機会があまりない。そのため、女性の受診率は高いとはいえないのが現実なのだ。


 実際の受診率にも、それが表れている。企業の健康保険や国民健康保険で実施を義務付けられている「特定健診」。


 40才から74才の人が受診するこの検診の受診率は、全体で50.1%(2015年、厚生労働省調べ。以下同)だが、女性のそれは45.3%にとどまるという結果が出ている。特に50〜54才は差が大きく、男性は63.3%が受診しているところ、女性は過半数割れの48.1%しか受けていない。


 とはいえ、検診・検査はやたらに受ければいいというものではない。賢く受けなければ意味がないどころか、かえって体に悪影響を与えることさえあると、多くの専門家が警鐘を鳴らしている。


 医療ジャーナリストの村上和巳さんは、こう話す。


「検診・検査を受ける医療機関によっては、病気とまではいえない状態なのに“異常”と指摘され、要らぬ不安をあおられたりすることもあります。また、本来ならば必要ない精密検査や投薬を受けることになって高額な医療費がかかったりすることも、ままあること。つまり、間違った方法で検診・検査を受けると、本来の目的である病気の予防・早期発見ができないどころか、健康や時間、お金まで失いかねないのです」(村上さん)


 悪質な医療機関では、何も知らない素人の不安をあおり、“商売”に結び付けるところもあるという。医師たちの間では「釣り堀」とさえ揶揄される検診・検査の世界には多くの“罠”が隠されている。


 それらを飛び越え、賢く正しく検診・検査を受けるためには、何を知っておくべきなのだろうか。



 インターネットで「検診」、「人間ドック」などと検索すると、専門クリニックのウエブページが次々とヒットする。どれもゴージャスでスタイリッシュな内装をアピールしており、快適に検診・検査が受けられそうに思える。さっそく申し込みたくなるが、もう少し熟慮を重ねた方がいいようだ。


 ある内科勤務医が耳打ちする。


「実は、人間ドックや検診の専門病院で診察を担当する医師は、他院のアルバイトや専門外の医師が多い。正直いって、こういったところで名医を期待するのは見当違いです」


 まさに、この言葉が表面化したような事件が昨年起きている。東京・杉並区の肺がん検診を受けていた40代女性のがんが2014年、2015年と複数年にわたり見逃され、2018年6月に死亡する、という痛ましい事件が起きたのだ。


 せっかく毎年受けていたにもかかわらず、肺がんの進行が防げなかったことになる。検診を受託していた同区の「河北健診クリニック」は、区の実施要領に反し、専門医ではない医師だけで画像判定をしていたことを明らかにした。


 この件を受け、2014年から同区の肺がん検診を受診した計9424人のレントゲン画像をもう一度確認することになった。放射線科専門医が再読影すると、そのうち44人が「要精密検査」となったというから、決して“わずかなミス”とはいえないだろう。


「もちろん『見逃し』もあるが、可能性としては生活習慣病を中心に『過剰診断』の方が起こりやすいと思います。たとえば、臨床の第一線にいる医師であれば、『このくらいの高血圧であれば、生活習慣の改善を指導しますから、経過観察しましょう』という判断になるところを、検診専門の医師だと『基準値以上なので降圧剤を出しましょう』となってしまう」(村上さん)


 ふだんから患者と接していれば、どういった指導をすれば何mmHgくらい改善するか、ということを経験的に知っている。だが、そうでない場合は“杓子定規”になりがちだというわけだ。さらに、その“定規”の基礎となる「基準値」ですら絶対的なものではないという。赤坂山王クリニック院長の梅田悦生医師が説明する。


「検診の結果通知に記載されている基準値は、実は医療機関が委託している検査会社ごとに異なるのです。試薬や検査機器が違うことからズレが生じるので、このあたりは意外に曖昧なんです」(梅田さん)


 つまり、基準値からわずかに外れたくらいでは“即、病気”とはならないのだ。


 このように本来、どこで受けても同じはずの検診でも、医師の力量や医療機関によっても差が出てくるのだ。


※女性セブン2019年1月17・24日号

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