「遺伝子上の母になりたい」2人の女性描く『Eggs 選ばれたい私たち』予告編
2021年1月16日(土)12時0分 シネマカフェ
子どものいない夫婦に卵子を提供するエッグドナーに志願した独身主義者の純子。そのドナー登録説明会で、偶然、従姉妹の葵に再会し、彼女がレズビアンであることを知る。恋人に家を追い出された葵は、純子の家に転がり込み、2人の共同生活が始まった。
もしエッグドナーに選ばれれば、ハワイやマレーシアなどの海外で卵子を摘出し、謝礼金がもらえる。選ぶのは、子どもを希望する夫婦。そして、エッグドナーには30歳までという年齢制限がある。わずか数か月で30歳を迎える純子は、それでもドナー登録をすることに決めた。純子と葵は、どちらが選ばれるかという期待と不安を感じながらも、いつしか「遺伝子上の母になりたい」という同じ目的に向かい、“選ばれる”ために、新たな生活を始めようとする——。
この度、解禁された予告編には、エッグドナーの説明を受ける純子の姿、そして葵と2人がエッグドナーの説明会で出会うシーンが描かれる。その後、どちらがエッグドナーに選ばれるのか、そんな期待と不安を胸に共同生活を送る様子が描かれている。
冒頭に映し出される、映画パーソナリティの伊藤さとりの「人に、仕事に、誰だって選ばれたい。反逆児のように突飛な発想で社会を見つめ、誰もが気付かされる自分の問題に寄り添う70分。これは女の問題だけではなかった」に加えて、「NPO法人 卵子提供登録支援団体」岸本佐智子氏のコメント「決して特別ではない彼女たち。未来の自分が見えなくても、希望を持って自分らしく生きていこうとする姿に胸が熱くなりました」というコメントも映像中盤に採用されている。
監督は、オムニバス映画『SEASONS OF WOMAN』が昨年公開になるなど、いま活躍目覚ましい川崎僚。これが初長編となる本作では、自身の経験や体験を織り交ぜなら、結婚や出産を希望していない30歳目前の女性、そしてレズビアンの女性という2人を通して、社会から求められる女性像と実像のずれに悩みながらも、それでも「母になりたい」と願う彼女たちを等身大に描いてみせた。
本作は、2018年タリン・ブラックナイツ映画祭で日本映画唯一のコンペティション作品に選出。同年の招待上映作品『万引き家族』とともに、日本の社会問題を扱った話題作となった。第三者が提供した精子や卵子を使った生殖補助医療で生まれた子どもの親子関係を定める、民法の特例に関する法案が提出されるなど、本作でも描かれているエッグドナーの法整備はまだ始まったばかりだ。
『Eggs 選ばれたい私たち』は2月26日(金)よりテアトル新宿ほか全国にて順次公開。