ケント氏「憲法によって危険に」櫻井氏「日本は商人の集合体」

1月16日(火)7時0分 NEWSポストセブン

米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏

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 戦後70年以上、政治家たちは「国防」を正面から議論してこなかった。左翼陣営は議論すら許さなかった。そのツケが回ってきたようだ。国難を前に日本は無防備だ。ジャーナリストの櫻井よしこ氏と米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏、国を憂う二人が、日本人の覚醒を期待して国防について論じた。


櫻井:日本には「平和」を唱えていれば平和がもたらされるとか、憲法9条が国を守ってくれると考えている人たちがいて、憲法改正や国防論議が進まない現実があります。しかし、そんな幻想も2018年には崩壊するのではないでしょうか。


 北朝鮮の危機がかつてなく高まり、中国の習近平国家主席はすべてを中華民族の影響下に置くという目標を掲げて膨張を続けています。そうした中で米国は内向きになっている。まさに国難というべき国際情勢下で、日本も目覚めざるを得なくなると思います。


ケント:9条があるから日本の平和が守られているというのは大嘘で、根拠も因果関係も何もない。むしろ憲法によって危険に晒されていると思ったほうがいい。


櫻井:どの国の軍隊も憲法も平和を求めているのですから、戦争憲法などというものは存在しません。日本国憲法だけが平和憲法だ、日本だけが平和国家だというのはあまりにも傲慢です。


ケント:日本で言われる「平和主義」は不戦主義です。戦うこと自体を否定していますから、これでは攻撃されても何も抵抗できない。平和主義とは違います。ここまで国防について考えない国は、世界で日本だけです。現実を見ようとしない「お花畑の住民」もいいところです。だから近隣諸国は日本をナメきっている。


櫻井:本当にそうですね。国民の生命と財産、国土を守ることが国家の第一の義務であるにもかかわらず、日本はそれを米国に頼ってきました。トランプ批判ばかりが報じられますが「自国防衛に責任を持て」というのは当たり前の話です。


ケント:はい。日本人はトランプ大統領の発言を勘違いしていますね。「在日米軍の費用をもっと出せ」というのは言葉通りではなく、「いちいち米国を頼らずに自分で守れ」という意味。 尖閣諸島の防衛についてトランプ大統領は「We stand behind Japan」と言いました。日本が戦うなら「behind(後ろ)」から支援するよというのが米国の本音です。


櫻井:日本が動かなければ米国は動かない。これも当然のことですね。野党は「日米安保のせいで戦争に巻き込まれる」と批判してきましたが、今は逆に、米国が日米同盟を理由に中国との戦争に引きずり込まれることを警戒しています。


ケント:そう、まったく逆なんですよ。じゃあ米国は尖閣諸島を守るのか守らないのか。守るかもしれません。でもそれは米国の国益のためです。尖閣諸島防衛が米国の国益にかなうと判断すれば、その時は戦う。


櫻井:そもそもなぜ米国人の血を流してまで米国が日本を守る義務があるのかという根本を、日本人は理解しなければいけませんね。お互いの国益が合致して初めて日米安保は有効に機能するんです。


 ところが日本は自国の防衛力の整備・強化すら、「米国に言われたから防衛費を増やした」とか、“渋々従っている”形をとってきました。でもそのようなことはもう通じません。


ケント:今後、日本は国益を主張すればいいだけだと思います。ところが、僕がそう言うと「日本では国益を主張するのは『美徳』ではない」という人がいる。いつから外交が美徳の話になったのでしょう。


櫻井:おかしな話ですね。日本人が国益について世界の基準と比べて的外れな反応をしてしまうのは、戦後、日本が国というものを考えてこなかったからだと思います。


ケント:それは占領下で行われた洗脳政策、WGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)の結果です。戦争への罪悪感を日本人に植え付けるために行われました。 日本を弱い国のままにしておくことを目的としており、同じ理由で米国が行った制裁措置のメインマストが憲法9条ですよ。ところが朝鮮戦争が勃発して、米国は日本を強い同盟国にする必要に迫られた。


 米国は憲法9条が間違いだったということをすでに1950年代に認めています。今も憲法9条を早く改正して、日本のことは日本でなんとかしてくれというのが本音でしょう。


櫻井:ところが日本は国防を米国に頼りきり、経済のことしか考えてきませんでした。吉田茂氏が首相になった時、腹心の辰巳栄一元陸軍中将が憲法を改正して軍隊を持つべきだと進言しましたが、吉田首相は耳を貸さなかった。しかし、首相を辞めた後に辰巳の助言が正しかった、自分が間違っていたと振りかえっているんです。


ケント:首相でいる間に気づいて欲しかったですね。


櫻井:本当にそう。以降、日本は経済にだけ注力してきましたが、これは国家ではなく商人の集合体です。誰も国を考えない。国際社会で日本の国益を守る先頭に立たなければならない外務省も国益より省益を優先する。事なかれ主義が蔓延して、自分の任期中に問題が起きなければいい、となってしまった。


ケント:そうすれば定年退職して、天下りができる。


櫻井:国益を考えないということは、日本が戦後、まともな国でなかったという証拠なんです。


●さくらい・よしこ/新潟県長岡市出身。ハワイ州立大学卒業。元日本テレビ「きょうの出来事」キャスター。1995年、『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』で大宅賞受賞。執筆・講演活動を続ける一方、インターネット放送「言論テレビ」を運営中。


●ケント・ギルバート/1952年アイダホ州生まれ。1971年初来日。カリフォルニア州弁護士。1983年にテレビ番組「世界まるごとHOWマッチ」にレギュラー出演し人気に。近著に『中韓がむさぼり続ける「反日」という名の毒饅頭』、近日刊行予定に『日本人だけが知らない世界から尊敬される日本人』がある。


※SAPIO2018年1・2月号

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