【インタビュー】映画『記憶屋 あなたを忘れない』芳根京子「山田さんが『タメ口でいいよ』と言ってくださったおかげで、幼なじみらしい距離感が出せました」

1月16日(木)12時0分 エンタメOVO

芳根京子

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 NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」(16〜17)の主演で注目を集めて以来、『居眠り磐音』(19)や、現在放送中の「コタキ兄弟と四苦八苦」など、多彩な活躍が続く芳根京子。1月17日(金)から全国ロードショーとなる映画『記憶屋 あなたを忘れない』で彼女が演じたのは、山田涼介演じる主人公・遼一の幼なじみ・真希だ。2人は、失われた遼一の恋人・杏子(蓮佛美沙子)の記憶を巡って、「人の記憶を消すことができる」とうわさされる“記憶屋”を探すこととなる。はつらつとした演技で物語を盛り上げた芳根に、撮影の舞台裏を聞いた。



−明るい真希のキャラクターが印象的でした。役作りはどのように?

 最初に台本を読んで私がイメージしていた真希は、実際に仕上がった真希より、もうちょっと落ち着いた女性だったんです。でも、(平川雄一朗)監督から「もっと明るく、もっと楽しく、もっとテンション高く」と言われて。だから、監督の思う真希と私の思う真希が一致するまでは、様子をうかがいながらいろいろと試行錯誤をしました。そうしたらある日、「今のいい!」と言われたんです。そのきっかけが何だったのか、自分でも分からないんですけど…。そこからは「行き過ぎていたら、止めてください」とお願いして、どんどんテンション高くやるようにしていきました。でも結局、止められたことは一度もなかったです。

−真希と遼一が物語の中心となりますが、遼一役の山田さんと共演した感想は?

 初めて会うまでは、年齢も経験も山田さんの方が上なので、山田さんとはどういう距離感でいたらいいんだろう…と思っていたんです。でも、本読みのときに山田さんが「幼なじみだから、タメ口でいいよ」と言ってくださって。ちょっと意外でした。優しい方だというのはイメージ通りでしたけど、もうちょっと堅い方なのかな…と思っていたので。でも、山田さんの方からそう言ってくださったおかげで、幼なじみらしい距離感を出すことができました。

−2人の幼なじみらしい雰囲気が良く出ていたと思います。

 私も兄がいるせいか、いわゆる「女の子扱い」みたいなものに慣れていないんです。だから、「ちょっと雑に扱ってもらうぐらいがちょうどいいです」みたいな話もしたような気がします(笑)。おかげで、程よい距離感でやらせてもらえました。でも、それも「真希と遼ちゃん」というフィルターがあったおかげです。撮影が終わって、改めてテレビでアイドルとして活躍する山田さんを見たら、「やっぱり、別次元の方だな…」と思いました(笑)。

−真希と遼一のシーンで気に入っているところは?

 2人とも広島出身という設定なので、会話が広島弁になるところがすごくいいな…と。それだけで、ずっとそばにいて、お互いにかけがえのない大切な存在だという関係性が見えてきますから。

−芳根さんのせりふは全て広島弁でしたが、苦労はありませんでしたか。

 難しかったですけど、楽しかったです。私は東京出身で方言がないので、方言を使えるのがうれしくて。今までもいろいろな方言をやらせてもらいましたが、音楽をやっていたので、音で覚えることができるんです。おかげで、方言を使う場合はいつも、大変さより楽しい気持ちの方が大きいです。

−山田さんは芳根さんの印象について「同じシーンで何度も泣けるのがすごい」と語っていますね。

 私はそんなに器用じゃなくて、泣けないときは本当に泣けません。それでも同じところで何度も泣いたのは、同じところで何度も心を揺さぶられたからなんです。ということは、私がすごいわけではなく、心を揺さぶってくれる相手の方がすごいんですよね。だから、妥協せず何回もやらせてくれた監督はもちろん、ずっと付き合ってくださった山田さんにも本当に感謝しています。私自身は、自分の感情をそのまま出してしまって、ちゃんとコントロールできないことがあるので、それが今の自分の課題です。

−劇中、記憶屋の存在を巡って「つらい記憶も消しちゃいけない」と主張する遼一と、「本当のつらさは当事者じゃないと分からない」という真希の会話があります。作品のテーマに直結するやり取りですが、芳根さんはその点を、どんなふうに考えますか。

 私は、どちらかというと遼一寄りかもしれません。嫌な記憶は誰にでもあると思いますが、それを消すんじゃなくて、いい記憶に塗り変えられたらいいな…と日々思っています。もちろん、「嫌な記憶は消した方がいい」という真希の気持ちも分かります。でも、その記憶があってこその今…と考えると、それを前向きにできるといいな…と。

−芳根さん自身が、そういうつらい記憶を前向きに変えていくために心掛けていることは?

 例えば去年、舞台をやらせてもらったとき、せりふを全部忘れて本番に…という夢を見たんです。幸いそれは夢でしたが、すごく怖い記憶で…。でも、夢で経験したから、そういうことはこれから起きないんだろうな…と。つまり、記憶があるからこそ、自分でそうならないようにすることができるわけです。その夢を見た後、私は台本をもう1回読み、枕の下に置いて寝ましたから(笑)。心配症になってしまったけれど、その分、みんなに安心してもらえる…と思えば、夢でそれを経験できたのはラッキーだったな…と。

−嫌な夢を見ていなければ、そこまで入念な準備はしなかったかもしれませんね。

 記憶を消したいと思えない理由は、そこにあります。記憶があるから問題が起きることを防ぐことができたり、前に進むことができたり…。そういうふうに、プラスに変えていけたらいいな…と。あのときは本当に、夜中に飛び起きて、眠れなくなりましたから。おかげで次の日、死んだような顔のまま稽古に行って、皆さんから「どうしたの、その顔?」と心配されました(笑)。でも、それで済んでよかったと思っています。

(取材・文・写真/井上健一)

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