シニアの同窓会 行かない派は「昔振り返るだけ」

1月18日(水)16時0分 NEWSポストセブン

シニア同窓会が盛況の一方「行かない」という意見も(写真/アフロ)

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 近頃、とくにシニア世代の間で需要が高まっているという同窓会。同窓会の幹事を代行している『笑屋』の取締役・八木誠さんによると、東日本大震災の翌年あたりから徐々に同窓会熱が高まり始めているとのこと。また、旅行サイト『ゆこゆこ』が行ったアンケート結果によると、1年以内に同窓会に参加した」と答えた人は50代が24.8%であるのに比べ、70代以上は62.2%だったという。


 しかし、一方で同窓会に参加しない人も多い。美容家の佐伯チズさん(73才)もその1人だった。


「私の出身の滋賀県では、『初老会』といって、男性の厄年の42才を節目に、同級生で神社に集まる同窓会があるんです。正直、当時は仕事や趣味に夢中だったから興味がなかったけれど、その時はすでに亡くなっていた主人が生きていた頃に招待状が来ていて、『行って来たら?』と言われたことが頭に残っていたから出席を決めたんです」


 雪の降るお正月に開催された『初老会』は、とにかくみんなしゃべり通しだったという。


「みんな、ごはんを食べるよりしゃべることが多いわけ。『結婚はいつしたの?』『子供は?』とかまるで身辺調査みたいに聞かれるんです。かと思えば、『息子が○○学校へ行って』『あのダンナはお偉いさんになったのよ』とか近況報告に絡めて見栄を張り始める。面倒になって会の途中で『主人が亡くなったあとだし、そんなん話をしている暇がないからちょっと帰るわね』って言って帰ってから、60才になるまでほとんど参加しませんでした」


 20年弱の時を経て60才で“復帰”したきっかけは、定年退職して本を出版した時に開いたパーティーに同級生が来てくれたことだった。


「久しぶりに出た同窓会で、すごく素敵な出会いがあったんです。小学校の頃に仲がよかった女友達2人と再会して、『三ババ会』というのを結成したんです。話すことは『あなたやせすぎじゃない?』とか『ドッジボールやったとき、ちいちゃん、男の子泣かせてたわよねえ』とかたわいもないことなんだけれど、すごく楽しい。再会してから旅行に行ったりもするほど仲のいい『心の友』になったけれど、同窓会がなければ連絡を取ってみようとすら思わなかったと思います」


 意地の張り合いから降りて、徐々に肩の荷を下ろす60代。女優の吉沢京子(62才)は言う。


「もはや、同窓会恋愛というのもないですね(笑い)。当時好きだった人は、残念ながら来ないんです。でも、それでよかったのかもしれない。今は当時の話を思い出したり、介護している人の話を聞いて、ああそうか、ひとりで悩まなくてもいいんだって思います。積極的に話さなくても、ただ聞くだけで、みんな同じだとわかって楽になります。恋愛とは違うけれど、思わぬ出会いもあるんですよ。昔はいじわるだと思っていた子が、実は仲よくなりたいと思っていたとわかったりとか、意外な人が舞台に興味を持ってくれていたりとか」


 赤ちゃんに還るという“還暦”に、人生の大きなターニングポイントを迎える人も多い。定年退職して自分は“終わった人”と開き直って楽しむ人もいれば受け入れられない人もいて、一方で再就職して現役続行の人もいる。いまだ自分の身に起こる老いを受け入れきれず「行けない」「行きたくない」という人もいる。


 ある60代の男性は「私も、一度も同窓会に行っていないし、行きたいとも思わない」と言う。


「第一、学校にいい思い出がないし、行ったって昔を振り返るだけでしょ。同窓会で昔を懐かしむって、未来の方を向いていないというか、老人になったなあという感じがするんですよ」


 親の介護が深刻化するのもこの頃。そんな時、昔を知っているという事実は、シビアな現実にも土足で踏みこんでもいいという“通行手形”になる。


「年賀状に紛れて、小学校の同窓会の招待状が届きました。最近、頻繁に開かれるんですよ。でも私には義理の母と実の母両方の介護があるし、会費も気になります。夕方早めのスタートで、夜遅くまで続く。1次会のホテルで1万円。2次会のバーで5000円。3次会のカラオケで3000円。共働きなら出せるかもしれないけれど、専業主婦だと厳しいです」(60才女性)


 同級生という一見近く思える存在だからこそ、「老人ホームに入れたら?」などと気軽なアドバイスをされて複雑な思いを抱く人もいる。


 あの頃に共有した思い出は一緒でも、今の生活状況は違う。老後破産や下流老人という言葉をとても聞き流せない日常を送る人にとって同窓会は迷惑千万以外の何ものでもない。とくに還暦など節目の同窓会は記念品をつけようと幹事が張り切り、予算がかさみがちになる。前出・『笑屋』の調査では、還暦同窓会の予算は1人8000〜3万円だという。


 作家・伊集院静さん(66才)は『週刊文春』の連載「悩むが花」で、同窓会への参加を悩む女性から「先生は同窓会に行っていますか?」と質問が寄せられた際、「行かないナ」とばっさり。


「何の為に同窓会するのか、わしはさっぱりわからんナ。毎日、忙しくて、何かを懐かしんどる発想が湧かんのだろうナ」


 前出『笑屋』の八木さんが言う。


「同窓会と聞いて『あら、行こうかしら』『服を買わなきゃ』とモチベーションが上がる女性に対し、男性は『おれ、そういうのはいいや』となりがちです。実際の参加者も年代を問わず女性のほうが多いし、幹事も女性が多い。2014年に男女比の統計をとったところ、女性54%、男性46%でした」


※女性セブン2017年1月26日号

NEWSポストセブン

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