地獄の始まり… 人はなぜアルコール依存症に陥るのか

1月18日(金)7時0分 NEWSポストセブン

危険飲酒量の1日の目安

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「アルコール依存症は、お酒を飲めば誰でもなり得る薬物依存症の1つです。今は問題がなくても、お酒を毎日飲み続けていれば、どんな人でもなる可能性があるんです」


 そう話すのは、アルコール依存症の専門医で、『さくらの木クリニック秋葉原』院長の倉持穣さんだ。


 酒は百薬の長ともいわれ、少量であればリラックス効果も期待されるが、多量に飲酒すると、コントロールが効かなくなる。ビールや日本酒などの酒類に含まれる純アルコール量は女性の場合、1日10gが適正。ビールならジョッキ1杯(350ml)程度が目安だ。


 しかし、男性は60g以上、女性は40g以上で多量飲酒。つまり、アルコール依存症になるリスクが高まる。お酒の種類ごと「危険飲酒量の1日の目安」は、ビールがジョッキ3杯、日本酒が3合、ワインがグラス3〜4杯(580ml程度)、缶チューハイが350mlで3缶、焼酎がロックで3〜4杯(300ml程度)だ。


◆やめたくてもやめられないアルコール依存


 アルコールは多量に飲み続けると、シンナーもしくは大麻などの違法薬物よりも精神的依存が高く、危険度が高い。


 常にお酒がないと落ち着かなくなり、やめようと思ってもやめられなくなる。それがアルコール依存症の大きな特徴だ。


「アルコール依存症は別名『飲酒コントロール障害』といい、実は、毎日飲んでいる人だけではありません。飲まない時は平気でいられるのに、一度飲むと飲みすぎてしまい、懲りずに失敗を繰り返す人もアルコール依存症なのです」(倉持さん・以下同)


“懲りずに失敗する”とは、二日酔いで仕事に行けなくなる、意識をなくすほど飲んでしまう、どこででも寝てしまうなど、周囲に迷惑をかけるような状態に陥ることだ。


「飲む量をコントロールできなくなると、飲酒に対する脳内のブレーキが効かなくなります。ブレーキは一度壊れたら修復できないので、どんどん暴走していくのです」


 そのため、常に酒がないと落ち着かない状態となり、精神的に依存してしまう。一度、陥ってしまうと蟻地獄のように抜け出すのは困難だ。


 アルコール依存症患者を支援する自助グループ『全日本断酒連盟』の理事で、自身も長年、アルコール依存症で苦しんだ経験のある宮田由美子さんは、次のように語る。


「22才で銀行に就職。電話交換手をやっていた頃から、毎日、ビールなどを2ダース近く飲んでいました。この頃、電話交換手は、1時間おきに休憩があったのですが、そのたびに二日酔いで寝ている状態でした。周りからは酒臭いと言われていたようですが、そんなことは気にもせず、家に帰るとすぐに飲んでいました」(宮田さん)


 何か大きなストレスがあったわけではない。ただ、毎日、酒を飲む習慣があっただけだと宮田さんは言う。



「アルコール依存症になっていた間に、結婚、出産、離婚を経験しました。やめろと言われてもお酒をやめることができず、親や親戚からも見放されて、どんどん孤立していくから余計に飲んでしまう。子供がいるにもかかわらず、お酒のことばかり考えてしまう毎日。お酒をやめたくて入院もしましたが、退院するとすぐに飲んでしまって…」(宮田さん)


 同連盟の事務局長を務める大槻元さんも、依存症の危険性を次のように訴える。


「みなさん、飲酒するのを人間関係のストレスなどのせいにするけれど、要は、お酒を飲む習慣があるからアルコール依存症になるんです。私も最初は普通に飲んでいたのが、次第に量が増え、気がつけば依存症になっていたのです」(大槻さん)


 アルコール依存症になると、内科疾患、精神疾患、経済的問題など、さまざまな問題が生じる。例えば、肝炎などの内科的な疾患を患い、死に至ることもある。また、認知症のような症状が現れるのは、アルコールによって脳が萎縮するため、記憶を司る海馬が麻痺して意識障害を起こすためだ。


 そして、多量飲酒は、こんな弊害も。酒のトラブルから強制わいせつ容疑で書類送検されたTOKIOの元メンバー山口達也や、飲酒運転で逮捕された元モーニング娘。の吉澤ひとみのように、社会的問題に発展するケースも多い。


※女性セブン2019年1月31日号

NEWSポストセブン

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