注目ワード韓国・日本 貯金・老後 上白石萌音・陸王 iPhone 8・発売 地球・突入 2017秋・髪型

BIGLOBEトップBIGLOBEニュース

緊急追悼連載! 高倉健 「背中の残響」(17)あえて“言わない”を貫く

アサ芸プラス1月19日(月)9時9分

「考え直してください!」

 急を聞きつけ、東映の重役が北海道まで飛んできた。安藤が旭川から札幌に向かうのに時間がかかったため、東京からの便が先に着いたのだ。それでも安藤の答えは変わらない。

「男がいったんケツをまくったんだ。はい、そうですかとはいかない。そのまま東京へ帰ったよ」

 前代未聞の逃走劇に、石井監督は頭を抱えた。ラストシーンは高倉と安藤が馬を並走させ、吹雪の中を大平原の彼方へ去っていくというものだった。

 撮影できなかった部分がどうなったのか、安藤は完成作を劇場で観て驚いた。

「そのシーンがない代わりに、俺の吹き替えを使って、東北の街で撃たれて死ぬシーンになっていたよ」

 監督による“意趣返し”とも取れなくもないが、では、主演の高倉はどうだったか? 安藤は身を乗り出して強調した。

「このことについて、健さんは何も言わなかった。俺に面と向かって言うことはないにしても『こんなことがあったんだ』と、誰かに恨みがましいことを口にしても不思議じゃない。いや、むしろそれが人情というものだろう」

 東映だけでなく、日本の映画界を代表するドル箱スターである。前年には「網走番外地 大雪原の対決」が年度別興行成績の1位に輝いている。それでも高倉は、共演者の非常事態を責めなかった。

「誰かに話していれば『健さんがこんなことを言っていた』と俺の耳に入るが、そんなことは一度もなかった。言いたいこともあっただろうに、男らしいね」

 この件で安藤と高倉の仲がこじれることはなく、以降も多くの任侠作品で共演している。また石井監督にも含むところはなく、再び「現代任侠史」(73年、東映)で組んだ。

 安藤はまた、菅原文太を東映に移籍させた立役者でもある。2大スターとの邂逅は、同時に映画界における「盟主争い」も見つめたことになる。

「10年以上にわたって東映を引っ張ってきた健さんの任侠路線が次第に下火になっていって、それに取って替わるように『仁義なき戦い』(73年、東映)という実録路線が大ヒットして菅原文太が出てくる。これが時代の〈潮目〉というやつで、これに抗うことはできない」

 実録ブームの渦中にある76年に高倉は東映を退社し、フリーとして生きる決意をする。映画産業も下降線をたどっており、決して洋々たる未来ではなかったはずだ。

 それでも、と安藤は言う。

「潮目が変わり“引き潮”になって東映を退社するわけだけど、フリーになって辛抱し、やがて『八甲田山』(77年、東宝)や『幸福の黄色いハンカチ』(77年、松竹)でみごと、再び“上げ潮”に乗ってみせた」

 再浮上はいかにしてなしえたのか──、

「健さんは、役者であることに命懸けで生きてきたんだろう。四十余年前、クルマの中から通りすがりに見ただけだけど、あのとき健さんが発していたオーラは、たぶん、その覚悟と決意が発散していたのではなかったかと今は思うんだ」
copyright(c)TOKUMA SHOTEN@All Rights Reserved

google+で共有する

はてなブックマークで保存する

Pocketで保存する

Evernoteで保存する

関連ワード
追悼のまとめ写真 高倉健のまとめ写真 東京のまとめ写真 東映のまとめ写真

最新トピックス

芸能トピックス

芸能写真ニュース

旬なニュースを配信中 フォローしてね!

注目ワード

話題の投稿画像

ページ設定

「追悼」「高倉健」「東京」「東映」の関連トピックス

「追悼」をもっと詳しく

注目ニュース
後藤久美子の娘・エレナさんが日本デビュー&メディア初登場 10・1オスカー所属へ オリコン9月26日(火)4時0分
元F1レーサーのジャン・アレジ氏(53)と女優・後藤久美子(43)の長女・エレナアレジ後藤さん(20)が、10月1日より母・久美子をはじめ…[ 記事全文 ]
マツコ、夢かなって力士姿に大変身 有吉「本物だよ!」と絶賛 オリコン9月26日(火)9時14分
タレントのマツコ・デラックスが、かねてから熱望していた“大銀杏を結う”という夢を実現させた。[ 記事全文 ]
TOKIOの2人、バク転成功 「40代で出来んのは素直に尊敬」 J-CASTニュース9月25日(月)19時44分
かつて「ジャニーズ」といえば、「バク転」のイメージが強くあった。少年隊や光GENJI、V6などメンバー全員ができるグループある一方、最近で…[ 記事全文 ]
沙也加の夫 村田充が活動休止を発表「休養と次なる夢への準備」 スポーツニッポン9月26日(火)7時38分
5月に女優の神田沙也加(30)と結婚した俳優の村田充(40)が、27日から主演する舞台「囚人」の終了後に活動を休止すると発表した。[ 記事全文 ]
小泉今日子の10月ドラマ予告動画が「あの爆死ドラマに激似」の不穏! アサ芸プラス9月25日(月)9時59分
10月17日スタートの新ドラマ「監獄のお姫さま」(TBS系)。主演は小泉今日子で脚本は宮藤官九郎。[ 記事全文 ]
アクセスランキング

本サイトのニュースの見出しおよび記事内容、およびリンク先の記事内容は、各記事提供社からの情報に基づくものでビッグローブの見解を表すものではありません。

ビッグローブは、本サイトの記事を含む内容についてその正確性を含め一切保証するものではありません。本サイトのデータおよび記載内容のご利用は、全てお客様の責任において行ってください。

ビッグローブは、本サイトの記事を含む内容によってお客様やその他の第三者に生じた損害その他不利益については一切責任を負いません。

データ提供元:アニメキャラクター事典「キャラペディア