今冬“ゾンビドラマ”2作がスタート、「カメ止め」の影響か?

1月19日(土)7時0分 NEWSポストセブン

ドラマ『ザンビ』に出演する乃木坂46のメンバー

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 これまで連ドラにあまり選ばれなかったある題材がテーマとなり、注目を集めている。それは「ゾンビ」だ。しかも、2作が同時期に放送されるのだ。なぜゾンビのモチーフが選ばれたのか。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。


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 今冬の新作ドラマが次々に放送されていく中、とびきりの異色作は、19日スタートの『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』(NHK、以下『ゾンビが来た』に略)と、23日スタートの『ザンビ』(日本テレビ系)。


 2作の共通点は、ゾンビをモチーフにしていること。映画や海外ドラマにはゾンビをモチーフにした作品は多いものの、連ドラではあまり見られません。


 しかも放送局は、堅いイメージのあるNHKと、視聴率トップの日テレ。両作ともオリジナルであることも含めて、挑戦的な作品であることは間違いありません。


◆『カメ止め』が大ヒットしたのは昨夏


 なぜこの時期に2作のゾンビドラマが放送されるのか? ゾンビと聞いて、昨年社会現象となり、『日本アカデミー賞』の8部門で優秀賞に輝いた映画『カメラを止めるな!』(以下『カメ止め』に略)を思い浮かべる人は少なくないでしょう。


『カメ止め』はゾンビというキャラクターを生かしたコメディーであり、後半は観客を大いに笑わせました。一方、『ゾンビが来た』も、「現代日本の諸問題をあぶり出す社会派ブラックコメディー」というコンセプトで、笑えるシーンを盛り込んでいるようです。


 あれほどヒットしたわけですから、『ゾンビが来た』『ザンビ』ともに、『カメ止め』を無視してドラマを作ることはあり得ないでしょう。トレンドを踏まえ、人々のニーズに応えるためにも、少なからず脚本・演出などで『カメ止め』の影響を受けた作品になることが予想されます。


 しかし、両作が『カメ止め』のヒットを受けて制作されたかと言えば、そうとは言えません。『カメ止め』の公開日は昨年6月23日であり、クチコミで人気に火がついたのは7〜8月ごろ。今冬スタートの両作はゼロから作るオリジナル作品だけに、企画、キャスティング、ストーリー、美術などがスケジュール的に間に合わないでしょう。


 だからこそ、『ゾンビが来た』と『ザンビ』からは別の狙いが感じられるのです。


◆ゾンビドラマが若手女優の登竜門に



 公式ホームページの最上段に「『NHKドラマ』×『ゾンビ』 異色のコラボ!」と掲げられているように、『ゾンビが来た』の狙いは、「NHKらしくない番組」の制作。昨年最大のヒットバラエティーとなった『チコちゃんに叱られる!』(NHK)がそうであるように、「中高年層だけでなく、若年層からも評価を得られる番組作り」を進めているのです。


 その背景にあるのは、「今年中にもスタートする」と言われているテレビ番組のネット同時配信。『ゾンビが来た』の公式ホームページに、「新しい価値観を持つミレニアル世代に向けて、完全オリジナルのジャパニーズ・ゾンビドラマ」と書かれていることからも、受信料を気持ちよく払ってもらうための若年層対策である様子がうかがえます。


 片や『ザンビ』は、人気絶頂の乃木坂46を中心に据え、舞台やゲームを含む一大プロジェクト。2014年にAKB48の大和田南那さん、川栄李奈さん、高橋朱里さんらが出演した『セーラーゾンビ』(テレビ東京系)が放送されたことからもわかるように、アイドルとゾンビは相性のいいコンテンツなのです。


 ファンが「ゾンビに襲われるアイドル」「ゾンビになってしまったアイドル」のスリルを味わえるのはもちろん、ファン以外の人も「ゾンビの登場によって人間の悩みや欲望があらわになり、絆や愛が試される」というヒューマン要素を楽しめるでしょう。


『ゾンビが来た』の主要キャストに、石橋菜津美さん、土村芳さん、瀧内公美さんという新進の若手実力派をそろえたことからも、ゾンビドラマが女優の登竜門となっている様子がうかがえます。


◆ゲームでゾンビに親しんだ若年層を味方に


 ゾンビをモチーフにした作品は古くからありましたが、21世紀に入ってから、映画『バイオハザード』や、海外ドラマ『ウォーキング・デッド』がヒットし、近年でも映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』や『アイアムアヒーロー』などが制作されるなど、すっかり定番コンテンツになりました。


 最大の強みは、長年ゾンビ作品を楽しんできた層に、ゲームの中でゾンビに親しんできた若年層を加えたターゲットの幅広さ。さらに、『カメ止め』という追い風を得た両作がどんな反響を呼ぶのか。ともに視聴者数が限定される深夜ドラマではありますが、制作費300万円で大ヒット映画となった『カメ止め』のように大化けする可能性がないとは言えないでしょう。



【木村隆志】

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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