立川志らく、テレビで和装を貫く理由と目指す「超二流」

1月19日(日)7時0分 NEWSポストセブン

『グッとラック!』でその日を振り返る『志らく一段落』。この日は若い女性に増えている整形手術の話題に触れ、父としての心境を語った

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 落語界の風雲児・立川談志のDNAを受け継ぎ、歯に衣着せぬコメントで令和のテレビ界を賑わせている男、立川志らく(56才)。コメンテーターの枠を超え、2019年秋口からは新たなる挑戦として情報番組『グッとラック!』(TBS系)の司会を務めている。


 トレードマークでもある羽織袴姿。高座に限らずテレビ出演の際には和装を貫いているという。


「昔はテレビに出る時には着物はNGと決めていたくらい“落語家=着物”という固定観念がものすごくいやでした。でもね、考えてみると日本人が落語を意識するのは週に1度の『笑点』(日本テレビ系)くらいで、おそらく人口の1%程度しか落語の面白さをわからないまま死んでしまう。月曜から金曜の毎日『グッとラック!』と『ひるおび!』(TBS系)の2番組に着物で出演することで、“こいつは落語家なんだな”と意識してもらえる。それは非常に意味があるんじゃないかと思うようになったんです」


 2017年に上半期ブレイクタレントランキングで1位に選ばれテレビでの露出が増えたことで、世間からは心ない言葉を浴びせられることも。


「“落語もやらずにテレビに出て”なんて落語ファンのなかにはそう言う人もいるけれど、この姿でどれだけ私が落語に貢献しているかって、ねぇ?(笑い)」


“落語もやらずに”どころか、精力的に高座へも上がっている。平日は帯で情報番組の出演と他番組の収録をはじめ、夕方からは立川一門会の落語会や、2018年に文化庁芸術祭大衆芸能部門で優秀賞を受賞した『志らく独り会』などの独演会をこなし、週末は高座を掛け持ちすることもある。しかもその忙しさで新作落語もさらりと作るのだから恐れ入る。


「落語は一生かけてやるもので、高座に上がって生で感じたことを次へ生かしていく。経験を重ねて完成させていく芸なので、準備に時間をかけすぎる必要はないんです」


 テレビでの経験も落語に生きていると言う。


「落語とテレビは畑違いのようでいてそうでない。MCをやらせてもらって共通点があることにも気づきました。コメンテーターとして出させてもらう時には自分がいかに爪痕を残せるかと考えて、印象的なことをポイントとして発言しています。しかし番組を仕切る立場になると、全体を見渡して発言するようになりました。要は物事を俯瞰で見ることを学んだのですが、これって落語の時と同じ脳が働くんですよ」


 楽しげにそう語るが、当初はMCのオファーに戸惑いもあったという。


「レギュラー番組が持てたらいいなとは思っていましたが、まさか帯の情報番組でメインとは! 想像すらしていなかったので驚きでした。でも迷いはなかった。『ひるおび!』と両方できるのかという不安はちらっとよぎりましたが、今のところそれほどしんどいということもありません。娘たちからも“最近家にパパ居ないね”なんて言葉が出てきていないのでホッとしています」


◆家族や幼い子のニュースは父としての思いが先立つ


 子煩悩を自負する志らくは、タイトなスケジュールの中でも7才と2才の愛娘と過ごす時間を大切に育んでいる。


「毎日早朝に家を出てしまうぶん、帰ったら遊んだり、ご飯を作ってあげたり、一緒に寝たりと、できる限り一緒に過ごす時間を作っています。娘には甘いのでねだられたらなんでも買ってやりたくなっちゃう(笑い)」


 堪らないといった表情で目尻を下げて話す。


「この間長女とランチをしたら、牛御膳を食べたいと言うんですよ。で、娘が3750円で、私が1900円のかきフライを(笑い)。母親がいたら絶対に止めますからね。まだ値段の判断がつかない幼い子供ですし、娘と2人の時は“よし、これか”って(照れ笑い)」


 番組ではそんな父としての顔も折に触れ、垣間見せている。


「家族に密着したVTRで、親からの手紙を娘が読んでいる姿を見れば胸が熱くなるし、いじめの問題を取り上げれば“もしもウチの子が…”と考えて怒りが湧く。どうしても親目線が先に立ってしまいますね」


 ここでひとつ、志らくにある挑戦をしてもらった。『グッとラック!』では名物企画にめくり看板を使ったお題トークがあるが、本誌女性セブンもめくり看板を用意し、「スター噺」と「新しい噺」の2種類からお題を選択してもらった。すると迷いなく前者を選び、考えること6秒。落語の一席を弁ずるようにすらすら語り出した。


「『スター』というのは超一流のことをいうんです。誰も悪口を言わない憧れの存在で、美空ひばりであり、石原裕次郎高倉健など、そういった人。絶対になっちゃいけないのは二流。二流はバカにされ憧れの対象にはならない。だけど、落語家はスターにはなれない職種なんです。


 ならば選択できるのは一流か超二流のどちらかで、いちばん憧れるのは超二流。半分は敵だけど、半分からは支持される。“あいつは二流だよ”とこき下ろされても、一方で“こいつはすごいんだよ”ってね。立川談志がそうだった。世間には“あいつの落語はひでぇんじゃねぇの? ただ毒舌を吐いているだけのめちゃくちゃなおやじだよ”と評価しない人もいっぱいいる。けれど、“談志こそ落語がすごいんだ!”という人が同じだけいる。私も落語家としてそうありたい」


 談志が生前、「なんで志らくはスターになれねぇんだ」とこぼしていたことを知り、遅ればせながらテレビで売れて師匠を喜ばせたかったという志らく。天上の師匠はこの活躍をどう見るだろうか。


「陰では大喜びするはずです。“テレビといういいおもちゃを見つけて、あいつは遊んでいるんだよ”ってね。師匠との信頼関係で“こいつは落語で生きていく人間だから、落語を捨ててテレビタレントになるわけはない”とわかってくれているからこそ、ものすごく喜ぶと思う。かたや談志は、政治というおもちゃを見つけて遊んでいたわけで。国民にとってはとんでもない話ですが、談志は落語のために政治をやっていましたからね」


 志らくという名前は、そんな談志がフランスのシラク大統領にちなんで命名したそうだが、自身の政界進出は?


「絶対ない! 私はおもちゃとして政治の世界を考えていませんから(笑い)」


 俺の後継者と談志に言わしめたが、そこは相容れないようだ。テレビという“おもちゃ箱”の中で、落語家・立川志らくは今日も生き生きと暴れている。


【プロフィール】

たてかわ・しらく/1963年8月16日生まれ。東京都世田谷区出身。1985年に立川談志に入門。1988年に二つ目、1995年に真打へ昇進。現在19人の弟子をかかえる。2003年劇団『下町ダニーローズ』を主宰、映画評論家やテレビコメンテーターなど多岐にわたり活躍。現在は『グッとラック!』(TBS系)で初の司会を務め注目されている。


◆撮影/中村功


※女性セブン2020年1月30日号


 

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