広瀬すず、吉岡里帆、石原さとみ 新ドラマは「妙に過剰」

1月20日(土)16時0分 NEWSポストセブン

番組公式HPより

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 注目作が目白押しの今クールの幕が開いた。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。


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 話題のドラマ『anone』(日テレ系水曜22時)のキャッチコピーは「私を守ってくれたのは、ニセモノだけだった。」そのコピーが示すように、ニセモノにまつわる出来事がおこりそこから真実の人間愛を見つけていく物語のようです。


 主人公は、家もなく家族もいない天涯孤独の19歳・辻沢ハリカ(広瀬すず)。偶然、一人暮らしの老女(田中裕子)と出会い暮らすようになる。


 脚本は坂元裕二氏のオリジナル。前作『カルテット』の大反響もあってか、今回のドラマも「闇だからこそ、見える光がある」「一瞬たりとも目も耳も離せない」「中身の濃い内容」といった感想を見かけます。


 でもこのドラマ、どこか過剰すぎないでしょうか?


 第1話、19歳のハリカがガスマスク姿でバイトしているシーンが映し出されました。孤独死した住人の部屋等を掃除する特殊清掃の仕事という。床の上には亡くなった人の痕跡まで描き出された。


 そのハリカが暮らすのはネットカフェ。カフェ難民の女の子たちが札束(実は偽札)を奪い合い、相手をスタンガンで攻撃するという描写も。


 そしてハリカが幼少時にいた施設は、子供が死ぬほど酷い虐待をしていた問題施設だと明かされました。


 一方、余命半年と宣言された持本舵(阿部サダヲ)と放火の罪で服役していた青羽るい子(小林聡美)が出会い意気投合して、死に場所を探すことに。


 第2話は、その持本と青羽が勝手に他人の家に入りこみ、家を荒らし偽札を盗もうとし、目撃したハリカは体を拘束されテープで口封じで誘拐され……。


 ドラマが描こうする「疑似的家族」というテーマは興味深い。それだけに、過剰な部分が悪目立ちしている気がするのは私だけしょうか? ドラマの中には普通の人が圧倒的に少ない。日常シーンが数えるほどしかない。脚本家の意欲ゆえなのか、他の人がまだ描いていないシーンをとオリジナリティを追求するがためか。それとも、刺激度を上げて視聴者の関心を惹こうとしているのでしょうか?


「…坂元さんには物語性を大切に取り組んでもらっています。傲慢なことを言うと、昨今のドラマの中でちゃんとした作品性を問うドラマを届けたいからです。視聴率を獲るためだけの仕事はしたくない」とプロデューサーの次屋尚氏は語っています(マイナビニュース2018.1.10)。


 昨今のドラマの中で「ちゃんとした作品性」とは何か。少なくとも、刺激盛りではないはず。「視聴率を獲るためだけの仕事はしたくない」というプロデューサーの言葉を信じたい。


『anone』だけではありません。奇しくも「走り出しが妙に過剰」と感じるドラマは他にもありました。『きみが心に棲みついた』(TBS系火曜22時)は、自信がなくて自己評価の低い今日子が主人公(吉岡里帆)。


 今日子の昔の彼氏・星名(向井理)は優しげでありつつ巧みに今日子の心理を支配し、傷つくのを見て楽しむヤバイ人物。そんな星名から離れたいのに離れられない、という今日子の心の苦闘が描かれていく。


 たしかに「依存」は現代の大きなテーマであり、どう描き出すのか興味深いポイント。キャスティングも注目。ところが、ドラマ初回の走り出しがあまりにドタバタ喜劇調で不自然でした。


「自分のことを上手に語れない引っ込み思案」の設定のはずの今日子が、合コンでいきなり初対面の吉崎に「付き合ってほしい!」と強烈懇願。さらに吉崎を待ち伏せし、その前ですってんころりん。手に持っていた袋の中からブラジャーをぶちまけてしまう(今日子の仕事場は下着メーカー)。何かホラーコメディでも狙っているのでしょうか?


 たまたま初回の「後半」から見始めてしまった私としては、録画していた前半を見て、その過剰なドタバタぶりと後半の雰囲気とが重ならずにとまどった。走り出しの過剰感に、ちょっと残念な印象を抱いたのでした。


 あるいは、法医学ミステリーとして注目の『アンナチュラル』(TBS系金曜夜22時)も、質は違うけれどやはり「走り出し過剰」な傾向が。


 第1話の冒頭からくだくだと登場人物の経歴や背景について説明セリフが続く。物語と共にだんだん分かればいいんじゃない? 舞台となる「UDIラボ」についても場所や組織の成り立ち、何人受け入れと詳しい解説が続きモタモタ感が。


 しかし、後半は前半と対照的にぐぐんとスピーディーになり、鮮やかな謎解きへと突入し、物語に引き込まれました。前半と後半のちぐはぐな印象がここにもありました。


 おそらく、ドラマ第1回目の導入部には「魔物が棲んでいる」のでしょう。視聴者の目を惹きたい、1話目で何とか話題にしたい、という作り手側の意識がオーバーランし、過剰なエピソード・演出を入れたり説明過多になってしまうのかもしれません。しかし視聴者はそんな過剰な装飾がなくても、ドラマ世界のエッセンスや魅力をちゃんと掴み取ります。良いものは良いと見続けます。


 反対に、過剰な助走路を作り過ぎると、引いてしまうことも。そのドラマ全体に対する誤解を招いてしまうかもしれない。第一印象で「このドラマは合わない」と離脱してしまう視聴者がいたとしたら、あまりに残念。


 初回でやりすぎないこともまた、良質な連続ドラマ作りのポイントかもしれません。もちろんまだスタートから2〜3話目。ドラマファンとしてはリタイアするつもりはありませんが。

NEWSポストセブン

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