青学、中央、日大も なぜ大学は付属・系属校を強化するのか

1月20日(日)7時0分 NEWSポストセブン

付属の共学化で女子の進学率上昇を狙う大学も(写真はイメージ)

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 2019年度の中学入試、高校入試で注目を集めている学校に、日本大学の50年ぶりの準付属校となる目黒日本大学や、青山学院大学の系属校になった浦和ルーテル学院がある。いま、大学はなぜ付属校、系属校の強化に力を入れているのか。安田教育研究所代表の安田理氏がその理由を探る。


 * * *

 日本の18歳人口のピークは、ちょうど今から50年前の1968年。当時は254万人もの18歳がいた。その後1976年に154万人まで減るが、再び1992年に205万人まで盛り返す。この年をピークに、その後は年度により多少の増加はあるが右肩下がりが続く。直近の2017年は120万人で、1968年の47.2%しかいない。なんと半分以下になっている。


 ただ18歳人口が減っても大学進学率が年々上昇していたので、大学進学者数はむしろ増えていた。実は2017年が大学進学者数のピークだとされていて、大学関係者の間では早くから「2018年問題」が言われてきた。今後も大学進学率が上昇を続けたとしても、18歳人口の減りがそれ以上に大きく、大学進学者数の増加は見込めないからである。


 全体状況は以上のようなことだとしても、個々の大学にとってもう1つ大きな問題が大学数の急増である。


 2017年の大学数は764校。30年前の1988年は490校だったから、この間に300校も増えていることになる。需給関係のバランスが崩れ、全国の私立大学の4割近くが定員が埋まらない状況が続いていることはご承知の通り。今後、専門職大学などの設立でさらに増加する可能性がある。


◆女子の進学率上昇に期待


 当然のことながら、大学の経営陣は早くから「2018年問題」には気が付いていた。そこでまず考えたのが、男子の大学進学率は早くから高かったので、これ以上大きくは伸びない。これからは女子が大学に進学してくることに期待しよう、ということである。


 これまで主として男子を意識してきた大学が、女子にも選ばれるようにすることが大切だと考えた。硬派なイメージを払しょくし、大学のキャンパスに女子学生を多くするにはどうするか。それを確実に進める手段の1つが付属校の共学化だった。付属校からの女子学生が大学のキャンパスで明るく楽しそうにしていれば、一般受験でも女子の受験者が増えるだろうと考えたのである。そこで、下記のように共学化は進んだ。


・2001年/中央大学附属

・2002年/早稲田実業(移転)

・2007年/法政大学第一(法政大学に校名変更。移転)

・2008年/明治大学付属明治(移転)

・2016年/法政大学第二



◆スクールカラーの希薄化への対策


 大学の経営陣が頭を痛めているもう1つの問題が、大学ごとのカラーが鮮明でなくなっていること。私が大学生のころには(数十年も前だが)、こんな言葉があった。


「用心棒にするなら早大生、恋人にするなら慶大生、結婚するなら東大生」


 そのくらい、見れば大学による学生像の違いがハッキリしていたのである。それがいまでは皆併願し、どこのキャンパスに行っても学生の様子はそんなに変わらない。そのぶん当然愛校心も薄れる。創立以来の大学のカラーを維持していくにはどうするか。それも大学の経営陣にとっては大きな課題だった。


 18歳になった高校生を全国から集める大学入試ではこの課題を解決するのは困難である。そこで、若いうちから、幼いうちから愛校心を持った学生を育てるために、中学校、小学校を開校しだしたのである。


【中学校開校】

・1992年/慶応湘南藤沢

・1999年/芝浦工業大学柏

・2000年/立教新座、専修大学松戸

・2007年/東海大学附属高輪台

・2009年/日本大学藤沢、東京農業大学第三

・2010年/早稲田大学高等学院、中央大学附属

・2015年/東洋大学牛久


【小学校開校】

・2002年/早稲田実業初等部

・2013年/慶應義塾横浜初等部

・2015年/日本大学藤沢

・2019年/東京農業大学稲花


 大学入試が大きく変化する時代に備え、下からのパイプを太くしておこうという大学側の狙いが見て取れる。



◆系属、提携も進む


 近年はこうした自分のところの付属校の強化だけでなく、他の学校法人と手を組む動きも目立っている。一方でこれは、私立中高側からすると、有名大学と関係を持つことで中学入試、高校入試での生徒募集につなげようという生き残り戦略の1つでもある。


・2010年/横浜山手女子→中央大学横浜山手→2012年共学化→2013年中央大学附属横浜

・2015年/京北→東洋大学京北(同時に共学化)

・2016年/横浜英和女学院→青山学院横浜英和→2018年共学化

・2019年/日出→目黒日本大学(日本大学の準付属に)、浦和ルーテル学院→青山学院大学系属浦和ルーテル学院


 このほか、麹町学園女子が設けている「東洋大学グローバルコース」のような提携も、関西ではものすごく発達している。今後首都圏でも増えるとみていいだろう。


 以上のように、大学が置かれている状況という視点に立つと、付属校の開校・共学化、系属校の増加がどうして起こっているのか、その背景がよく理解できるのである。

NEWSポストセブン

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