『A LIFE』好調の木村拓哉 「何を演じてもキムタク」は正論か

1月21日(土)7時0分 NEWSポストセブン

医者役初挑戦が話題の木村拓哉

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 木村拓哉(44才)が主演を務めていることで話題の『A LIFE〜愛しき人〜』の初回視聴率が平均14.2%(関東地区)を記録した。彼の連ドラの中では最低の初回視聴率だったことから、「惨敗」と報じるメディアもあるが、昨今の連続ドラマの視聴率の状況から考えれば好スタートを切ったといっていいだろう。注目は、これまで多くの職種を演じてきた木村にとって初挑戦となる医者役だ。最近の木村の演技に変化を感じるというコラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが、その演技力についてズバリ解説する。


 * * *

 これまでピアニスト、美容師、パイロット、レーサー、総理大臣、社長……など、さまざまな職業を演じてきた木村さんに対して、徐々に「何を演じてもキムタク」という声があがるようになっていました。これは裏を返せば、「『日本一イケてる男のキムタクが、どんな職業を演じるか?』というコンセプトで注目を集めてきた」ということ。そのため、俳優としての演技よりも、「キムタク」「日本一イケてる男」としての存在感ばかりクローズアップされてきました。


 しかし、一昨年の『アイムホーム』(テレビ朝日系)で、記憶を失う普通のサラリーマンを演じたとき、「何を演じてもキムタク」「日本一イケてる男」からの変化が見られました。目線や表情、話し方や所作などが過去作よりもナチュラルで、「キムタク」や「日本一イケてる男」から、いち俳優への脱皮をはかっているように見えたのです。


『A LIFE』でも、その姿勢は同じ。「通算20種類目の職業」として連ドラ定番の医者役に初挑戦し、「ここまで短いのは初めて」というほど短く切った髪型も、脱皮への意欲に見えます。初回の登場シーンこそ「カッコよく見せすぎでは」と思いましたが、その後はたかぶる気持ちをグッと抑え込むような演技を見せるなど、随所に役作りへの意欲を感じました。


 代役なしの手術シーンを見れば分かるように、役作りに対する木村さんの姿勢は、決して他の俳優に負けることはありません。それだけに問題は、「キムタク」「日本一イケてる男」として見たがる世間の先入観をどう変えていくか?


 外側から目すらはっきり見えない服装の手術シーンですら、「演技がいかにもキムタクっぽい」と言われてしまうのですから、世間の先入観は相当なもの。SMAPの独立・解散騒動では、“木村さん1人vs他の4人”という図式で見られていましたが、俳優としては“木村さん1人vs世間”という、とてつもない難しさがあるのです。


 そんな見えない敵との戦いで重要なのは、いかに人間臭い姿を見せるか。初回では一度手術を失敗して悔しさを噛み締めるシーンがありましたが、今後も悩み、もがき、苦しむ一人の人間としての医者像を見せられれば、おのずと演技の評価も上がるでしょう。


 その意味では、何かと比較される『ドクターX』(テレビ朝日系)の大門未知子とは真逆。「手術が大好きで絶対に失敗しない」人間離れした外科医である大門と正反対のキャラクターを貫くことが成功につながる気がします。


 また、同年代で映画界のトップを走り続けてきた浅野忠信さんとの共演も、木村さんの転機になる可能性を秘めています。民放の連ドラにほとんど出演せず、一人異質な存在感を醸し出す浅野さんと対峙し続けることで、木村さんを見る世間の先入観が変わるかもしれません。


 本来、かつて「二枚目」が代名詞だった三浦友和さんがそうだったように、世間の先入観を変えるためには、ある程度の時間が必要。たとえば、木村さんが何年か俳優業を休んでから復帰したら、「思っていた以上に演技がうまくて驚いた」という声が殺到すると思います。


 三浦さんが葛藤の時期を経て、弱さや情けなさ、悪さや怖さなどを演じ分けられるようになったのも、「カッコよさを捨て、中年俳優らしい人間臭さを見せたから」でした。「俳優はこれまで培ってきた強みを捨てて自分をさらけ出したとき、本当の説得力が生まれる」とも言われるだけに、今後は作品選びも重要になるでしょう。


 木村さんの演技を疑問視する声をよく聞きますが、過去に山田洋次さん、蜷川幸雄さん、三谷幸喜さんら巨匠から称えられるなど、いわゆるプロからの評価は決して低くありません。ちなみに、木村拓哉擁護派でもなく、芸能界のしがらみが全くない私も、俳優としての資質は高いのではないか、と見ています。


 あなたの目には、今の木村拓哉さんがどう見えるのでしょうか? やっぱり「キムタク」「日本一イケてる男」という基準で見るのか。それとも、真摯ないち俳優に見えるのか。ぜひ確かめてほしいと思います。


【木村隆志】

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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