テラハで毒舌吐く山里亮太 不遇仲間だった若林正恭とも乖離

1月21日(日)16時0分 NEWSポストセブン

山里亮太はひとり取り残されたのか(イラスト/ヨシムラヒロム)

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 非モテ・非リア充であることは、一般的には敬遠される属性だが、芸人の面白さとしてはプラスに働く。そのジャンルで頂点に立ってきた南海キャンディーズ山里亮太オードリー若林正恭は、それぞれ恋愛をテーマとしたリアリティ番組『TERRACE HOUSE(テラスハウス)』、『あいのり』のスタジオキャストをつとめている。非モテ・非リア充らしさを発揮してきた二人にも変化の季節がやってきた。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、孤高の戦いを続ける山里亮太の生き様についてつづる。


 * * *

 Netflixに入会して数ヶ月、今頃『テラスハウス』にハマっている。


 Netflix版の『テラスハウス』は、2015年に放送がスタート。東京編、ハワイ編と続き、現在は軽井沢編が配信中である。


 当初「素人の共同生活の何が面白いんだ?」と思っていた。見てわかったが、確かにそこだけでは番組は成り立たない。


『テラスハウス』のキーは、共同生活で起こる事象に、スタジオにいる芸能人が茶々を入れる点にある。


 YOU、トリンドル玲奈、徳井義実、馬場園梓、山里亮太といった面々が、素人の行動を様々な角度から検証していく。


 YOU、トリンドル玲奈、徳井義実、馬場園梓はナンダカンダ優しく見守る。


 唯一、舌端火を吐くのが山里亮太だ。


 美男美女が多く、人生イキってきた連中が集まる『テラスハウス』の面々。そこの怠慢具合をガツガツと掘り下げていく。


 ゆえに『テラスハウス』メンバーに、全く共感しない僕ようなタイプも視聴できた。山里なしの『テラスハウス』、面白さは半減するだろう。


 山里人気に応えてか、YouTubeにある「Netflix公式チャンネル」では『山チャンネル』なる番組も配信中。


 スタジオに1人残った山里が『テラスハウス』各回を総括。正座をし、落語を模したスタイルで、本編で収まりきらなかったパッションを爆発させる。


 芸とは理解しているが、『山チャンネル』での行き過ぎた毒舌。時折、食傷気味なるのも本音だ。


 あるメンバーの見た目を「才能を全てなくした又吉」といった表現。


「芸人は一般人よりも偉い」そんな山里の本音も垣間見える。


 そういえば『ゴッドタン』でも山里は「(イケすかない女性に対して)お前の存在価値は友近のネタになることだけだ」と言っていたっけ。


 再度書くが、芸だとは重々承知しているつもり。しかし、あまりにも芸人賛美な切り口に違和感を覚えた。


 山里の毒舌芸の根源は、自身の不遇さから発する。『アメトーーク!』以降、芸人は自らをラベリングし、自己PRを始めた。


 山里の場合は「ブサイク」「モテない」「女性から舐められる」といったレッテルを自らに貼った。


 元来そういった気質はあっただろうが、不遇芸を確立して以降、より自らの扱いをぞんざいしていったと思う。


「山里は不遇である」ゆえに、カウンターとしての毒舌が機能。その目論見が正しかったことは、売れっ子芸人となったことで証明されている。


 売れることと山里の「ブサイク」「モテない」「女性から舐められる」から発端する芸風の相性はすこぶる悪い。売れることによって、コンプレックスの多くが緩和されることは明らかだ。


 しかし、方向転換することも難く、現実と芸風との乖離に息苦しくなる。今の山里は、自らの芸で自家中毒になっているように映る。


 2012年に放送された『たりないふたり』(日本テレビ)では、山里はオードリーの若林正恭とコンビを組み、コンプレックスを芸に昇華した。


 2人が紡ぐ「社会性」「社交性」「恋愛面」での劣等感物語。その感覚は、都市部に住む一般的なアラサー男性そのもの。


 カリスマになれない芸人、「ガハハ」はできそうもない団塊ジュニアのサラリーマンの悲哀が重なる。


 社会という荒波で生き抜く、戦場のボーイズ・ライフが『たりないふたり』であった。


 山里と若林は1歳差の同年代、互いが互いをライバルだと認め合う。


 若林は山里を「芸人に10のタイプがあるとすれば、僕と山ちゃんは同じタイプ」だと評する。


 2人は自意識過剰さと生きづらさを表現した。


 そして「じゃないほう芸人」という、相方のスター性に依存する形で世に出てきたアンチ芸人。


 いつの時代も、邪道として登場した人がカリスマとなる。


 アンチ芸人の2人は、己の芸と時代の機運があいまって、芸能界で自らの地位を築く。


 話は飛び2018年1月1日、若林正恭と南沢奈央の恋愛が発覚した。


 それを受けて山里はラジオで「頭が真っ白になるくらいショックがあった」と話す。


『たりないふたり』の時点では、同じ場所にいた2人。


 しかし、ある時点から分岐していたのだろう。


『たりないふたり』#1で披露されたのが、飲み会の上手な断り方。互いに得意な断り方を披露した。


 あれだけ飲み会の無意味さを叫んだ若林。しかし、数年前から西加奈子、朝井リョウ、中村文則といった小説家との交流が盛んに。


 ラジオでも、小説家との飲み会話が数度にわたり披露された。売れっ子同士のサロンについてのトーク。


「人見知り」の日本代表であった男は変った。


「飲み会は無意味」と啓蒙された身になって欲しいが、それは芸を真に受けたコチラに非がある。


 その後、相方の春日、プロレス好きの西の影響もあり、プロレス観戦も趣味に。「おうち大好き芸人」でもあった若林、インドアからアウトドアへ転換した。


 報道では、南沢奈央とは「共通の趣味であった落語を通じて意気投合」と記述。しかし、当人の口からは「プロレスを通じて仲良くなった」と語られた。


 2015年の年末に発行された若林正恭著『社会人大学人見知り学部 卒業見込』。


 本著では、自らが真人間に変わり続ける姿が綴られる。


 大人になりきれない大人、ピーターパン症候群な芸人が中庸を目指したゆえのはっぴいえんど。それが南沢との交際だったのだろう。


 逆に、断固して変わらないのが山里。年収も高く、名声もある。しかし弱者からの目線といった芸風は断固して変えない。甘い誘惑もあるだろうが、それ拒み続けている。


 本当の意味で武勇伝。


「山ちゃんカッコいい!」


 世の中の価値観を変えたコンビもいつかは乖離する。


 ヌーヴェル・ヴァーグのゴダールとトリフォー、

 ビートルズのジョン・レノンとポール・マッカトニー、

 アップルのスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック、

 フリッパーズ・ギターの小山田圭吾と小沢健二。


 皆、思想の違いで散り散りとなった。


『たりないふたり』の山里亮太と若林正恭も同じ。


 変わる素晴らしさを享受した若林、変わらない美しさを保ちたい山里。


 これからは、戦場のボーイ・ライフ。


 ビートルズ解散後、ジョンを取材した記者がポールの悪口を言った。


 それにジョンは「ポールの悪口を言ってもいいのは俺だけだ!」とキレたと云う。


 山里のラジオの語り口から同様の気持ちを感じた。


「若林の悪口を言ってもいいのは俺だけだ!」

NEWSポストセブン

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