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西村雅彦 「俳優の地位なんて今でもあると思っていません」

NEWSポストセブン1月22日(日)7時0分
画像:俳優を志したのは20歳過ぎだという西村雅彦
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俳優を志したのは20歳過ぎだという西村雅彦

 12月10日、富山市民プラザで開催された「西村雅彦コミュニケーションwith富山 芝居を創る4」。約1か月の練習を経て、小学生から80歳まで男女40人の市民が初舞台を踏んだ。ほぼ全員が演劇の経験はない。


 総合プロデューサーを務めたのは西村雅彦(56)。5年前から、石川、富山、千葉、福岡など、各地で初心者が参加する芝居やラジオドラマといったワークショップを開催している。


 いまやテレビドラマに映画にと引っ張りだこの西村だが、意外にも俳優を志したのは遅く、20歳を過ぎてからだった。


 高校卒業後、大学進学のため上京するも、都会に馴染めず一度は富山へ帰郷。専門学校でカメラを学び、カメラアシスタントなどのバイトを転々とし、目標を見失った時期もあった。西村は当時の自身を「シャイで人と話すのが苦手」と振り返る。


「みんながわっと盛り上がっているときに、一人離れたところで見ているような、ひねくれ者でしたね。このままじゃいけないと思うけれど、何をすべきかわからない。カメラ一つで世界各地を回り、死んだらそれまでだと思ったけど、そんな勇気もなかった……ね〜(笑い)」


 そういって、おどけた表情でカメラを覗き込む。ならば苦手なことをやろうと、地元のアマチュア劇団の門を叩いたのは23歳の時。初舞台は三島由紀夫の「卒塔婆小町」だった。


「主役の青年将校を演じました。もう、必死です。けれど、本番では体も声も震えて、今回の参加者より間違いなく下手。終わった後は恥ずかしくて、出なければよかったと後悔の嵐でした。


 すると団長が、『ニシ、演技は駄目だったけど、よく頑張ったね』と声をかけてくださったんです。これまでにない嬉しい言葉でした。あの時、役者として、初めて人に背中を押してもらったんです」


 自信を取り戻した西村は、すぐに上京し、劇団「文化座」に入ると、脚本家・三谷幸喜主宰の劇団「東京サンシャインボーイズ」で人気を博した。その後、テレビドラマ『古畑任三郎』で大ブレイクを果たす。


 昨年は大河ドラマ『真田丸』に出演した。舞台、テレビ、映画と作品を重ね、俳優としての地位を築き上げてきた西村だが、「そんなもの、今でもあると思っていません」と決して驕らない。


「時々、人に芝居を教えている自分に“お前は、何様なの?”と思いますよ。僕は決して、上手な役者でも俳優でもありません。


 現役の俳優が芝居を語ることへの批判も、常に覚悟しているし、恐怖心もある。だけど、市民と関わる活動はライフワークとしてこれからもずっと続けていきたい。恐怖心を克服すれば、人に喜んでもらえるし、その先にちょっとした達成感を感じられる。最近になってようやく、それが自分の力にもなるとわかってきました」


 俳優活動も忙しい。2月には舞台『COASTER2017』が控え、5月に山田洋次監督『家族はつらいよ2』が公開される。


「最近は、映画が好きですね。現場にもよりますが、映画のほうが創造の現場に身を置いていると感じることが多いんです。上手く表現できないけれど、舞台ともまた違った“物作り”を感じます」


 役者のスイッチが入ると、西村は独特の空気を醸し出す。だが、稽古を終えて立ち寄った居酒屋では、焼酎を片手に飾らない素顔を見せる。それもまた、西村の魅力だ。


「若い頃より飲む量は減りました。昔のように毎晩深夜まで飲んでいたら、体力が持ちませんよ(笑い)。趣味は散歩。思い立ったら、昼夜問わずに一人で何時間も歩きます。お腹が空いたら途中でパンを買ったり、コーヒーを飲んだりしてね」


 取材中に西村は何度も「教えているだけではなく、僕も皆さんから元気をもらっている」と感謝の気持ちを口にした。こうして繋がる人の縁が、さらに西村の力となっていくのだろう。


●にしむら・まさひこ/1960年生まれ。富山県出身。1994年、三谷幸喜脚本のドラマ『古畑任三郎』シリーズ(フジテレビ系)で脚光を浴びる。1997年、映画『ラヂオの時間』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。同作と『マルタイの女』で、キネマ旬報賞助演男優賞、ブルーリボン賞助演男優賞、報知映画賞助演男優賞、日刊スポーツ映画大賞助演男優賞を受賞。2016年はNHK大河ドラマ『真田丸』ほか、映画『家族はつらいよ』『超高速!参勤交代リターンズ』等に出演。2012年から石川、富山、福岡、長野、山形、千葉などで演劇初心者向けのワークショップを開催。演劇で地域の活性化に取り組む。DVDブック『西村雅彦の俳優入門 1カ月で効果が出るセリフのメソッド』(飛鳥新社刊)も発売中。


撮影■江森康之 取材・文■戸田梨恵


※週刊ポスト2017年1月27日号

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データ提供元:アニメキャラクター事典「キャラペディア