1月スタートの連ドラが謎の若返り 偶然か? 改革の一歩か?

1月22日(月)7時0分 NEWSポストセブン

『anone』に主演する広瀬すずは20歳(公式HPより)

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 木村拓哉主演『BG〜身辺警護人〜』や松本潤主演『99.9-刑事専門弁護士-SEASONII』、広瀬すず主演『anone』など、注目作がそろった今冬クールのドラマ。主演級の俳優の年齢に“異変”が見られるという。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。



 * * *

 昨秋、プライム帯(19〜23時)で放送された連ドラは、主演俳優の平均年齢が44.5歳で20代はゼロ。テレビ番組の視聴者、特にリアルタイム視聴が期待できる年齢層が高齢化する中、業界内では「この流れには逆らえない。仕方ないのではないか」という声があがっていました。


 しかし、年が明けた1月スタートの冬ドラマは、一転して大幅な若返り。近年なかったほど若手の主演俳優がそろっているのです。


『海月姫』(フジテレビ系)の芳根京子さん(20歳)、『きみが心に棲みついた』(TBS系)の吉岡里帆さん(25歳)、『anone』(日本テレビ系)の広瀬すずさん(19歳)、『女子的生活』(NHK)の志尊淳さん(22歳)、『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)の仲里依紗さん(28歳)、『もみ消して冬〜わが家の問題なかったことに〜』(日本テレビ系)の山田涼介さん(24歳)、『トドメの接吻』(日本テレビ系)の山﨑賢人さん(23歳)とフレッシュな顔ぶれがそろい、しかも7人中6人が25歳以下の若さ。


 その他も、『明日の君がもっと好き』(テレビ朝日系)の市原隼人さん(30歳)、『FINAL CUT』(フジテレビ系)の亀梨和也さん(31歳)、『アンナチュラル』(TBS系)の石原さとみさん(31歳)、『リピート〜運命を変える10か月〜』(日本テレビ系)の貫地谷しほりさん(32歳)など30代前半の主演俳優が目立ち、40代以上は『BG〜身辺警護人』(テレビ朝日系)の木村拓哉さん(45歳)と『特命刑事カクホの女』(テレビ東京系)の名取裕子さん(60歳)だけ。


 男女、各局、まんべんなく主演を務めることもあって、「若返り」は今冬の傾向となっています。偶然? それとも改革の一歩? なぜ急激な若返りが起きたのでしょうか?


◆「若手俳優を抜てきするなら冬」の歴史


 上記にあげた中で、吉岡里帆さんと山﨑賢人さんは深夜帯を含めても連ドラ初主演であり、志尊淳さんもプライム帯の連ドラ初主演、広瀬すずさんは3年ぶりの連ドラ主演、仲里依紗さんも6年ぶりの地上波連ドラ主演など、各局がこれまでとは異なるキャスティングをしていることは間違いありません。


 では、なぜこのタイミングでそろったのか。いくつかの理由が考えられますが、最大の理由は「一年の中で、冬がベターな時期だから」。


 4月スタートの春ドラマと10月スタートの秋ドラマは、若手俳優最高の登竜門である朝ドラとスタート時期がかぶるほか、特に秋ドラマは例年『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)や『陸王』(TBS系)のような大作が多く、競争の厳しい時期。また、7月スタートの夏ドラマは、イベントや長期休暇などで在宅率が低く、視聴率獲得が最も厳しい時期だけに、すでに実績のある若手俳優しか抜てきされません。


 春、夏、秋、いずれも、テレビ局が若手俳優を主演に据えて挑戦するのが難しいだけでなく、若手俳優の所属事務所としても「できれば避けたい」と考える時期なのです。一方、冬ドラマの放送時期は、寒さや大きなイベントがないなどの理由で在宅率が高い上に、1月は新年のスタートでもあり、フレッシュな若手俳優の抜てきに最適。


 実際、2013年に『ビブリア古書堂の事件手帖』(フジテレビ系)の剛力彩芽さん(プライム帯単独初主演)、2014年に『明日、ママがいない』(日本テレビ系)の芦田愛菜さん(連ドラ単独初主演)、2015年に『学校のカイダン』(日本テレビ系)の広瀬すずさん(連ドラ初主演)、2016年に『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)の有村架純さん(民放連ドラ初主演)、2017年に『突然ですが、明日結婚します』(フジテレビ系)の西内まりやさん(月9初出演初主演)など、毎年若手俳優が主演に抜てきされ続けています。


◆連ドラの未来を考えた上での抜てき


 ただ、今年の現象は例年を大きく上回るものであり、知人のドラマ制作スタッフも「ここまで足並みがそろうとは驚いた」と言っていました。彼らテレビマンたちは、前述したように「テレビ視聴者は高齢化する一方である上に、若年層は録画やスマホなどで番組を見るため視聴率につながらないなど、若手俳優を起用するメリットは少ない」と思っているからです。


 今冬ここまで足並みがそろった理由として考えられるのは、スケジュールとバランスの関係性。各局とも、常に前後クールのラインナップや年間スケジュールなど、長いスパンのもとに企画を立て、キャスティングを進めています。その観点から有力視されるのは、「昨秋に中堅・ベテランの主演俳優ばかりで若手俳優不在の反動が今冬に出た」という見方。つまり、スケジュールとバランスの取り方が、各局そろってしまったのでしょう。


 ちなみに、昨年全体を見渡してみても、「プライム帯で若手俳優の初主演抜てき」は、ほぼありませんでした。日ごろテレビマンたちと話したり、会見などのインタビューを聞いたりしていると、「連ドラの未来を考えたら、そろそろ20代の若手俳優を抜てきしなければいけない」という思いが伝わってくるだけに、「改革」とまでは言えないものの「単なる偶然」ではない気がします。


 もちろん制作サイドも、ただ抜てきするだけでなく、サポート体制はバッチリ。吉岡里帆さんには桐谷健太さんと向井理さん、広瀬すずさんには阿部サダヲさんと田中裕子さん、山田涼介さんには波瑠さんと小澤征悦さんなど、主演級の俳優を助演に据えていますし、山﨑賢人さんの助演にも同世代の美男美女俳優をそろえるなど、強烈にサポートしています。


 このところ視聴者の間で「主演俳優の顔ぶれがいつも同じ」という声があがり続けていただけに、今冬の若手俳優抜てきがきっかけとなり、本当の改革につながっていく可能性は十分あるでしょう。その意味で、若手俳優を抜てきした作品が視聴率・評判ともによい結果を得られるのか、要注目なのです。



【木村隆志】

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。



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