遠藤憲一「作品に携わっている“その時”が喜びの最高潮」

1月22日(火)16時0分 NEWSポストセブン

テレビにCMに引っ張りだこの遠藤憲一

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「いましゃがんでいるから、ここからこんなふうに寝転んでみようか」

「ここで撮るんだ。おもしろいね、この木材に腰かけてみる?」


 撮影中、カメラマンのリクエストに応えながら、閃いたアイデアを気さくに話しかける遠藤憲一(57)。根からの職人気質なのだろう。あれこれと言葉を交わしながらカメラに向き合う表情は、実に生き生きとしている。


 そんな遠藤が、現場では常に創作意欲で満たされていたと充実した面持ちで語るのが、放送中のドラマパラビ『さすらい温泉 遠藤憲一』(テレビ東京)。


「女性と巡る温泉紹介をバラエティ仕立てにして、ドキュメンタリー要素として素の遠藤憲一を織り交ぜていきたいとお話をいただいたんです。といっても僕は芸人さんじゃないから、素でバラエティ感を出すのはむずかしいかな、と。そこで仲居の役を演じるのも好きだし、ドラマ仕立てにしてはどうですかということでプロデューサーや脚本家などとアイデアを出し合いながら、虚実織り交ぜたドラマを作り上げていきました。第一湯で♪草津よいと〜こ〜♪と歌ってみたら“それ毎回やりましょう”と監督が気に入って各地でご当地ソングを歌うことになるなど、細部までみんなで話しながら作っていく作業が本当に楽しかった」


 俳優の遠藤憲一が引退する──そんな衝撃的な噂を追うと、なぜか遠藤が温泉宿で男仲居として働く姿をカメラは目撃する。仲居名は「中井田健一」。彼は全国の名湯をさすらいながらワケありの美女と出会い、湯にも彼女たちの人生にもしっぽり浸かっていく。


「引退の真相を探るなか、中学時代の友達や近所のやきとり屋さんや床屋さん、事務所スタッフなど親しい人が出てきて、思い思いに証言します。そこもリアルで、台本なしにモロ普段の俺を語っているんです(照れ笑い)。芝居ではともさかりえさん扮する同僚の仲居や山口紗弥加さん扮する官能小説家など、温泉地ごとに登場するマドンナのために毎回一肌脱ぎ、歌ったり踊ったりコスプレや漫才をしたりと(笑い)、スリリングな挑戦の連続でした」



 ドラマタイトルに役名ではなく、役者の名前が入っていることもユニーク。


「ジャッキー・チェンの名前が作品名に刻まれているイメージらしく、題名は後から聞きました。なかなかない経験ですが芸人さんのように“冠をとりたい”という夢も、有名になりたいなんて欲も持ってないし。ただ、おもしろい作品、いい作品を作るためには強烈な意識を持っている。タイトルに名前も入っているし、1本1本、自分でも思いつく限りの知恵を出していこうという意識は自ずと高まりました」


 創作意欲を刺激された遠藤が今年挑戦してみたいことは何か。ちなみに昨年は元日に酒断ちを宣言し、それ以降は1滴も飲んでいないという。


「いちばんやってみたいのは自主映画。この『さすらい温泉』みたいにロケ地も飛び飛びに、思いついた時に撮っていくの。でもやるとなるとカメラさんに照明さんに音声さんにと、全員のスケジュールを合わせるのも大変だろうし、モノを作るってカネがかかるよね。ロケバスも必要だし、弁当が1食600円だとして1日3食だったら……」


 そう言うと、同席していたドラマのスタッフに「いま現場はスタッフ何人でやっているの?」と問いかけ、「と、なると……」と宙を仰いで計算する。


「弁当だけで毎日そんなに飛んでいくのかぁ。これはお小遣いを貯めないとね! 酒もやめたし、趣味という趣味もないし、自分がいちばん燃えるのはモノを作っている時。何か作品を作っている時にときめく。ここからどうしたらおもしろくなるだろう、どうしたら緊張感が生まれるだろうと場面、場面を生み出していく瞬間に燃える。で、その時に思いつく限りのいい何かが撮れたらそこで満足。発表したいという欲もない。最近思うんだけどね、芝居についても完成作品がどうなるかというドキドキ感はもちろんあるけれど、何に興味があるかって、いちばんは演じている時。作品に携わっている“その時”が喜びの最高潮みたい」



 他にも連ドラや、被写体と放浪をしながら写真を撮る構想なども密かに温めているという。毎年1冊ノートを作り、自主映画も連ドラも写真も昨年のノートに書き留めたものなのだとか。


「それだけに集中しているわけではないのでちょこちょこ、ちょこちょこね。休みや音楽を聴いている時に突如アイデアが浮かんでは、“ああ俺、またこのことを思い出してる”なんて」


 一言、「でも女房いわく“それ墓場まで持っていく夢だね”だって(笑い)」と付け加えながらも、その表情はやはり生き生きと輝いている。遠藤にとっては、役を生き作品へ息を吹き込む現場だけでなく、作品の構想を練る日常のひとときもまた、役者としての炎を赤々と燃やす瞬間なのだろう。


●撮影/田中智久、取材・文/渡部美也


※週刊ポスト2019年2月1日号

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