安倍首相 総裁4選ではなく「任期1年延長」の秘策あり

1月22日(水)7時0分 NEWSポストセブン

権力維持に秘策あり?(時事通信フォト)

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 昨年12月29日、安倍晋三・首相はBSテレビ東京の番組『NIKKEI 日曜サロンSP』に登場し、ポスト安倍について岸田文雄・政調会長、茂木敏充・外相、加藤勝信・厚労相と並べて菅義偉・官房長官の名前を挙げた。首相が菅氏を後継首相候補の1人に名指ししたのは初めてだ。


「菅さんはその言葉を聞いてゾッとしたのではないか」と語るのは自民党ベテラン議員だ。


「次期総裁選への出馬に意欲満々な岸田、茂木、加藤の3人は総理に名前を出してもらって喜んでいる。しかし、菅さんはマスコミではポスト安倍の有力候補と報じられていても、本人は一貫して『総裁選に出る気は全くない』と否定してきた。総理に忠誠心を疑われないために神経質なほど総裁候補と言われることを嫌がっている。


 安倍総理はそれを百も承知のはずなのに、IR汚職事件や側近の河井夫妻の公選法違反などで菅さんがバッシングを受けている微妙な時期に総裁候補として名前を挙げた。総理の真意がどうであれ、うがち過ぎた見方をすれば、“こいつは総理を狙っているぞ。もっと叩いていい”とけしかけているように聞こえる」


 優勢に立ったかに見える安倍陣営にも決定的な弱点がある。安倍首相が後継者候補に挙げた岸田氏、茂木氏、加藤氏の“イエスマン3人衆”は首相にとって忠臣ではあっても、菅陣営の総裁候補である河野太郎氏や小泉進次郎氏と比べると国民の支持が圧倒的に低いことだ。自民党竹下派の中堅議員はこういう。


「次の総理・総裁は国政選挙6連勝の安倍さんに代わる総選挙の顔になれる人でなければならないが、いくら安倍さんが推しても、名前の挙がった3人の誰が総理でも自民党は選挙に負ける。だから菅さんや二階さんは選挙に勝てる総裁を擁立しようとしている」


 盟友の麻生太郎・副総理が、文藝春秋に〈残り二年を切った総裁任期で、憲法改正案を発議し、国民投票に持ち込むのは政治日程上、非常に厳しい。安倍総理が本気で憲法改正をやるなら、もう一期、つまり総裁四選も辞さない覚悟が求められる〉(文藝春秋2020年1月号)と安倍4選論をぶち上げた背景には、後継者候補が小粒だという危機感がある。


 だが、総裁「4選」を可能にするには自民党規約の改正が必要で、ゴリ押しすれば党内の反対論が高まり、権力闘争の火に油を注ぐことになりかねない。そこで安倍-麻生陣営内では、安倍首相の総裁任期を特例で「1年延長」するという秘策が練られている。


「東京五輪の後、安倍首相が『国会で憲法改正の発議をすべきか国民の意見を聞く』と解散・総選挙に踏み切る。勝利すれば、総裁任期を2022年まで1年だけ延長し、その間に国会での憲法改正発議と国民投票を実施し、総理は改憲を花道に退陣する」(安倍側近)──という計画だ。


「総裁任期の1年延長」はルール上はイレギュラーだが、かつて中曽根康弘・首相がやったことだ。


 中曽根氏は総裁任期満了の3か月前に突然衆院を解散、衆参ダブル選挙に大勝利し、その功績をテコに党内の反対を押し切って総裁任期の1年延長を認めさせた。しかも、1年後に権力を維持したまま退陣することで、後継者を決める総裁選では「中曽根裁定」と呼ばれる後継指名にも成功した。ちなみにこの時、最も総理の座に近いと見られながらも後継指名されずに、総理になり損なったのが安倍首相の父・晋太郎氏だった。


 安倍首相がこの「中曽根方式」を踏襲すれば、権力維持という面では4選より効果的だ。


 ポスト安倍の後継選びで権力闘争を仕掛けた菅氏は、任期延長で総裁選が先送りされると勝負をかけることができないまま“総理に弓を引く”形に追い込まれ、泣きを見ることになる。


 80歳の二階氏も総裁選がなければ、次の内閣改造で幹事長を交代させられ、引退に向かう可能性が高い。


 そして安倍首相は、「憲法改正を成し遂げた総理」として余力を残して退陣することで、「安倍裁定」で後継者を指名する力を得ることができる。


「総裁任期1年延長」は安倍首相と麻生副総理にとって、総裁選を実施せずに菅—二階陣営という政敵を弾き飛ばす謀略といっていい。


 これが永田町で起きている権力ゲームの深層だ。


※週刊ポスト2020年1月31日号

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