アイドルマスター大好き田中さん(仮名)が、熱心なロッテファンになった理由

1月23日(火)11時0分 文春オンライン

「左が765 PRODUCTIONの“高槻やよい”、右側が346 PRODUCTIONの“諸星きらり”。千葉ロッテは低身長&高身長のデコボココンビなんですよwwwwwwwww」


 千葉ロッテマリーンズのデコボココンビといえば、今は二木康太・田村龍弘。だが、どうやら全く違うらしい。都内のサラリーマン田中健二さん(仮名・30歳)が、緩みっぱなしの笑顔で見せてくれたのは、ピンストライプユニフォームを着た“推しのアイドル”が描かれたタオルだ。



「THE IDOLM@STER」とのコラボグッズ ©カトウカジカ


 2017年3月、プロ野球パシフィックリーグは、大人気アイドル育成プロデュースゲーム「THE IDOLM@STER」とコラボレーションすることを発表した。この略称"アイマス"は、ゲームだけではなく、アニメ、ライブ、実写ドラマまで多方面にメディアミックスし、誕生から約13年経っても愛され続けるメガコンテンツだ。


大きなお友だちを狙いにいった“パ”


 これまでプロ野球球団とアニメは幾度となくコラボしてきたが、“パ”が本腰いれて、今回は小さなお友だちではなく、大きなお友だちを狙いにいった形。実力のパ、人気のパ、新しくアニメのパ、もはやパが総取り。パの各球団それぞれには、アイマスから縁の深いキャラクター3人が配置された。


「高槻やよいがロッテなのは、作中で彼女が歌う『キラメキラリ』が、2010年からロッテの“ヒットテーマ”に使われているからなんですよ。


フレーフレー頑張れ!! さあ行こう♪

フレーフレー頑張れ!! 最高♪


という曲冒頭の部分が、


フレーフレー頑張れ!! 千葉ロッテ!

フレーフレー頑張れ!! マリーンズ!


になっているんですよ〜!!」


 ……うん、わかった。わかったから、取材場所の喫茶室ルノアールではもう少し声量を下げて歌ってくれないか。もう一人の諸星きらりちゃんは一体なぜロッテなの!? あっ、身長186.5cmもあるのか。やっぱり二木康太とほぼ一緒じゃないか。未来のエースに合わせた感じ!?


「さぁ、よく分かってないっす。『キラメキラリ』からの“きらりちゃん”なんですかね!? 実は“中の人”の声優・松嵜麗さんは熱狂的ヤクルトファンで有名っす。是非一度、松嵜さんには神宮ではなくZOZOマリンにも来て欲しいっすッ!」


 残りの1人は男性キャラクターで、そっちは興味がないらしい。田中さんはアイマスファンだから、千葉ロッテが好きになったわけではない。元々は野球部所属、熱心な野球ファンでもあった。過去の苦い経験から、球場には足が遠のいてしまった。


「おい、気持ち悪いアニメ見てんじゃねぇよ!」


「最初に野球が好きになったのが小学生の頃。親父に地元西武ライオンズの試合に連れて行ってもらってからです。松井稼頭央、鈴木健、カブレラetc.……あの凄まじい打線惹きつけられ、未経験だったけど、思い切って中学1年から野球部に入りました。ただ、体育会系特有の“理不尽な説教”の標的にされることが多くて……」



ルノアールで取材に応じてくれた田中さん(仮名)


 先輩の説教は絶対。理由なく怒鳴られ、脅されて、尻をバットで叩かれて。試合で負けた腹癒せに、先輩が投げた“鉄製のトンボ”が脛に当たり出血、病院に運ばれた事もあったという。許されることではない。受け継がれてきてしまった悪しき伝統。しかし、田中さんは我慢した、そしてアニメが好きだという気持ちも隠していたという。


「当時から『シスター・プリンセス』、『ToHeart』などの美少女アニメやライトノベルが好きでしたが、バカにされると思いずっと隠していました。でも、噂が広まってしまい先輩たちから『おい、気持ち悪いアニメ見てんじゃねぇよ!』と囃し立てられた。先輩たちは自分たちが知っているアニメならばOKなのに、知らない美少女アニメはダメという謎の基準。部活内でオタクの自分は迫害されていました。辛かった……。高校1年まで野球は続けていましたけど、やっぱり体育会系的な雰囲気に馴染めず。怪我をしたこともあり辞めちゃいました」


 あんなに好きだった野球は、テレビ中継があれば少し眺める程度の気持ちになってしまった。社会人になってからは趣味でまったく別の個人競技を始める。元々ハマったらとことん極めたい性格故に、就業後や土日を費やして打ち込んだ。



勇気を出して「ロッテ浦和球場」へ


 ただ気になる球団があった、それが千葉ロッテマリーンズ。登校中、下校中、出勤中、帰宅中、いつも乗る埼京線の車窓に映る『ロッテ浦和球場』。行ってみようかな、行けないな。でも勇気を出して一度行ってみた。年1回二軍の試合を観に行くのが、半年に1回、3ヶ月に1回のペースに上がっていく。期待の新人、復活を期し調整中のベテランを見ていくうちに、どんどん愛着が高まっていく。そしてロッテはどんどんアニメやコミックとコラボを進めていく。


「『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』、『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』とオタク系だけではなく、果ては『漫☆画太郎』との謎のコラボをしたり。何だこの球団は!? と思いましたwww」


 やっぱり野球は面白い。やっぱり野球が好きだ。千葉ロッテも面白い。千葉ロッテが好きだ。好きなんだ。そして昨年3月、打ち込んでいた競技で怪我をしたタイミング、会社が変わったタイミングで、大好きな“アイマスとパ・リーグ”がコラボを発表したのだ。


 野球部時代に好きなのを隠していたアニメは、今やクールジャパン、日本が誇れる文化。大好きな野球と大好きなアイマスがコラボした。もう田中さんがプロ野球観戦に行かない理由はない。もう一人じゃない。“高槻やよい”や“諸星きらり”の2人もいる。10年以上ぶりの、一軍観戦が始まった。


「“高槻やよい”は大家族の貧乏キャラクターなんですが、まさかロッテまで最下位で借金生活するとは。そこまでコラボしなくて良いですwwww。でも、久しぶりの野球観戦は本当に楽しかった。球場で同じ“アイマスファン”と写真も撮ったりしますよ」


「統一された応援は、アニオタのライブも一緒」


 田中さんは観戦復帰1年目ながら、果敢に私設応援団のいる“ライトスタンド”にも飛び込んだ。千葉ロッテの外野といえば、熱量が高く、一体感もあることで有名。応援ほぼ未経験で不安はなかったのだろうか?


「統一された応援は、アニオタのライブも一緒です。むしろアニオタのほうが厳しいレベルですwwww。ルールとマナーを守れば、当たり前に共存できると思います。ロッテ外野の皆さんは優しいですから」


 外野応援はユニフォームが必須。田中さんは2017年度版のユニフォームは全種類揃え、さらに“高槻やよい”、“諸星きらり”のコラボグッズも全種類購入。特にタオルは球場用、鑑賞用、保存用の3枚も買っている。この1年でお金を落としに落としまくっている。



2017年に購入したグッズ ©カトウカジカ


「アニメは“幾ら儲かったか”で第2シーズンをやるかが決まる。オタクはお金を落とす重要性を知っているんですよ。僕は来季もアイマスとコラボして欲しいから、買いまくってますwww。もちろんコラボせずとも、ロッテの応援は続けますよ!」


 ルールとマナーさえ守れば、誰にだって野球を応援する権利はある。迫害するヤツのほうが、出ていくべきだ。みんなちがって、みんないいのだ。来季もサラリーマン、OL、主婦、無職、子ども、アニメオタク、そしてアニメキャラまで。二次元、三次元が共存しながら、全員が優勝に向かって声援を送り続ける。


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(カトウカジカ)

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