2024年夏映画公開!『モノノ怪』の見所は?薬売りの魅力&おすすめエピソード紹介

2024年1月23日(火)12時22分 にじめん

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2024年夏に映画が公開される『劇場版モノノ怪』


本作は2007年7月にTVシリーズとして放送された『モノノ怪』十五周年プロジェクトの一環として制作されたもので、ファン待望の新作アニメとなります。


今回は新木宏典さん主演で人気エピソード『座敷童子』の舞台化も決まり、今もって根強いファンに支持され続ける『モノノ怪』のキャラクターや見所を紹介!ぜひご覧ください。


TVアニメ『モノノ怪』とは?



TVアニメ『モノノ怪』はフジテレビ系列ノイタミナ枠のアニメ第8弾として、2007年7月〜9月に亘り放送された和風ホラーアニメ。


全5エピソード12話から構成されており、前年に放送された怪談オムニバス『怪〜ayakashi〜』の1エピソード、『化猫』がプロトタイプとなっています。


怪〜ayakashi〜』は日本伝統の怪談の中から特に著名な『四谷怪談』『天守物語』『化猫』を選出したオムニバスアニメ。


新進気鋭のクリエイター勢が独自の解釈を施した、アーティスティックな作風が注目を浴びました。


『化猫』が『モノノ怪』として改めてスタート


なお『化猫』のもととなったのは鍋島の化け猫騒動です。


和紙のテクスチャを二次元に落とし込んで生み出す質感とおどろおどろしい演出、極彩色のサイケデリックな画作り、クリムトやピカソ、竹久夢二の絵にメタファーを託す実験精神が魅力。


薬売りのミステリアスなキャラクターが視聴者に刺さった『化猫』は、翌年に『モノノ怪』とタイトルを改めてスタートを切りました。


監督は『C』『空中ブランコ』などを手掛けた中村健治さん、制作は『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と同じ東映アニメーションです。


あらすじ


『モノノ怪』は日本の近世、江戸〜大正を舞台にした世話物怪異憚。


神出鬼没の薬売りが退魔の剣でもって、人の縁と因果が結び付いて生じた、モノノ怪を調伏していくのが主なあらすじです。


『モノノ怪』全体の特徴・見所紹介


ここでは『モノノ怪』人気が令和の世でも健在な理由をご紹介していきます!


女の悲哀と情念を下敷きにした凄惨な復讐譚


『モノノ怪』の見所としてまず挙げたいのは、モノノ怪の起源となる女性たちの哀しい生き様と死に様


薬売りが対峙したモノノ怪の中には、輿入れ道中に拉致された娘、遊郭の水子たち、いびり抜かれる嫁、出世を焦って陥れられた記者など、男性に踏み躙られた女性の無念の化身が数多く存在します。


祟られる方は概ね自業自得・因果応報の面が強いものの、モノノ怪に成り果ててまで復讐を為す犠牲者へのむごい仕打ち、理不尽な待遇を見る限り、スッキリ勧善懲悪の筋立てとも言いきれません。


封建社会が敷く家父長制度に虐げられてきた女たちの末路と、モノノ怪と化した彼女たちを討ち取る薬売りの相克が、切なく苦い余韻を残すところに注目してください。


形・真・理が揃って初めて抜ける退魔の剣!疑心暗鬼の密室ミステリー


退魔の剣を抜くためにはモノノ怪の形(かたち)真(まこと)理(ことわり)を見極めねばなりません。


形はモノノ怪の姿かたち、化猫や鵺などの名称、真は事の有り様、モノノ怪を生んだ事件の真実。理は心の有り様、何故祟るかの動機にあたります。


故に狂言回しを兼ねる薬売りは関係者一人一人に当たり、証言を聞き取ります。この過程が芥川龍之介の『藪の中』さながら面白い!


保身、見栄、嫉妬、情欲、恋慕、恐怖、罪悪感……。


大海原を行く船の上で、結界に封じられた座敷で、長い隧道を走行中の地下鉄で。


そこに部外者として居合わせた薬売りは、疑心暗鬼に陥った人々が述べ立てる嘘を交えた証言の中から「真」を掴み取り、モノノ怪の「理」に辿り着けるのでしょうか?


京極夏彦の『巷説百物語』、『百鬼夜行』シリーズが好きな人に強くおすすめしたいです。


薬売りのミステリアスなキャラクターにときめき!


(引用:『劇場版 モノノ怪』公式X


『モノノ怪』を語る上で外せないのが主人公・薬売りのキャラクター。


全国を行脚しながらモノノ怪を退治する彼の素姓は謎が多く、正体は最後まで明かされません。


最終エピソード『化猫』では近世から近代に移行し、加世の子孫とおぼしきチヨが登場したにもかかわらず、全く老いていないのも不思議です。


されど公式美形設定な上、歌舞伎役者のような赤い隈取りとアイラインが艶っぽい切れ長の流し目、セクシーなウィスパーボイスにはドキドキ!蛾がモチーフの派手な着物も粋ですね。


飄々として掴み所ない薬売りと関係者の滑稽な掛け合いも、本作の大きな見所なのは間違いありません。


退魔の剣抜刀時には褐色肌に灰白色の長髪、全身に金の紋様が入った姿に変化。


設定書では「封印が解けた薬売り」とされており、彼もまたモノノ怪やあかしの類なのではないか、と妄想が捗りました。


『劇場版 モノノ怪』では薬売りの正体にも言及されるのでしょうか?期待が高まります。


『劇場版 モノノ怪』の声優は?






アニメ『モノノ怪』の薬売り役は声優の櫻井孝宏さんでしたが、新作映画では神谷浩史さんに交代。


『夏目友人帳』の夏目貴志『デュラララ!!』の折原臨也『化物語』の阿良々木暦『文豪ストレイドッグス』の江戸川乱歩etc……。


数々の人気キャラを歴任してきた神谷さんが演じる、新解釈の薬売りが楽しみです!


劇場版『モノノ怪』内容紹介






『劇場版 モノノ怪』の詳細は殆ど解禁されていません。現状明らかになっているのは江戸城の大奥が舞台なことだけ。


大奥は将軍の側室や女中たちが住んでいた場所で、お鈴廊下を通ってしか行けない、男子禁制の女の園でした。


PVの情報から推測するに、大奥でなんらかの事件が起き、その解決の為に薬売りが招かれた可能性が高いです。


さりとて男性の薬売りがあっさり大奥に入れるものでしょうか?まさか女装……?


意味深に繋ぎ合わされた女性の手を見た感じ、百合要素も含んでいるのかもしれません。






また、映画のキャラデザは漫画家の永田狐子先生、総作画監督は高橋裕一さんが担当していますよ。


TVアニメ版『モノノ怪』おすすめエピソード3選


『座敷童子』


雨の晩、旅籠「万屋」に立ち寄った薬売り。そこには奉公先の若旦那と恋仲になるも、主人に刺客を差し向けられ、身重の体で逃げてきた志乃がいた。女将は志乃を最上階の部屋に通すも、謎の子供が現れて……。


元遊郭の旅館が舞台のエピソード。


堕胎されたのちも母を恋しがる水子たちの無念、彼等を受け入れるべく身を捧げた志乃の優しさ、温かい結末に涙腺が緩みました。


赤・黄・青など、原色の肌をした座敷童子たちもキモカワイイ!


豪華絢爛な襖絵や隠し部屋の仕掛けも見ごたえばっちり!赤い帯をへその緒に見立てる、芸術的な演出が印象的でした。


『海坊主』


廻船問屋・三國屋多門の廻船に乗りこんだ薬売り。そこには嘗て化猫騒動で出会った女中や不気味な浪人、弟子を連れた高僧、胡散臭い修験者が揃っていた。そして夜、船の羅針盤が突然狂いだし……。


江戸時代に実際に漂着した虚舟や、捨身行の一種として行われていた補陀落渡海の伝承を知っているとより楽しめるエピソード。


逃げ場のない船の上、クセモノ揃いの乗組員の駆け引きにハラハラドキドキ!


臨機応変な采配を振るい魑魅魍魎を迎撃する、薬売りのカッコよさも際立っています!


『鵺』


没落した香道の名家、笛小路流の屋敷に瑠璃姫の婿候補の男たち3人と薬売りが集った。しかし4人目の候補者・実尊寺が待てど暮らせど現れず、数合わせの成り行きで薬売りが代わりを務めることに。


ミステリーとして最も完成度の高いエピソード。


持ち主を天下人にする幻の香木・欄奈待(らんなたい)を巡り、香道の達人たちが火花を散らす様相に加え、それぞれの思惑が入り乱れて殺人事件が起こる展開は大変見ごたえがありました。


モノトーンで統一された背景が香を聴いた瞬間だけビビッドに色付いたり、推敲に応じて『源氏物語』の挿絵が入れ替わる演出も秀逸


源氏香で薬売りが出した答え「幻」が重要な隠喩になっていること、各キャラクターの挿し色が墓標の伏線になっているのも素晴らしいです。


『モノノ怪』漫画版の紹介



『劇場版 モノノ怪』公開を記念し、『怪〜ayakashi〜化猫 モノノ怪前日憚』が連載されました。


こちらはTVアニメ『モノノ怪』の前身となる『化猫』のコミカライズで、蜷川ヤエコ先生が作画を担当しています。


白と黒のメリハリを利かせた端正で美しい絵作りは、アニメ版『化猫』に通じるアーティスティックな美学を感じさせました。


ぜひ薬売りの美貌に酔い痴れてください!


『モノノ怪』好きにおすすめの作品


漆原友紀先生『蟲師』



『蟲師』は漆原友紀先生による漫画。


動植物や人間に広く寄生し、超常の奇跡を起こす生命体「蟲」が存在する世界を蟲師・ギンコが旅しながら、蟲に魅入られた人々を治療していきます。


時代設定や世界観が『モノノ怪』と似通っているので、スムーズに入れるのが嬉しいですね。


京極夏彦先生『巷説百物語』


(引用:「トムス・エンタテインメント」公式サイト



続いておすすめするのはアニメ化もされた京極夏彦先生の小説、『巷説百物語』シリーズ。


恨み骨髄の相談者の依頼を受け、妖怪に見立てた様々な仕掛けでもって、悪党どもに天誅を下す御行の又市と仲間たちの活躍を描きます。


人の欲や業が怪異を生む『モノノ怪』とは違い、本作に登場するのは人間が故意に作り出した妖怪。


必殺仕事人を踏襲した痛快無比なストーリーと、裏方に徹して汚れ仕事をこなす、又市たちのダーク—ヒーローぶりがたまりません。



渋い絵柄がキャラクターの人間味を引き立てる、コミカライズもおすすめです。


川下寛次先生『当て屋の椿』



川下寛次先生による『当て屋の椿』は、春画師・鳳仙と探し物専門の当て屋の椿のコンビが、江戸を騒がす猟奇事件に挑むホラーミステリー。


女体の肉感にこだわり抜いた美麗な絵柄、耽美とグロが融合した作風、美男美女キャラの多さが支持されています。


江戸時代の風俗や迷信が事件を解く鍵となるのも面白く、『モノノ怪』ファンの琴線に響くはず!


よしながふみ先生『大奥』



よしながふみ先生の漫画『大奥』は、疫病の蔓延が原因で男女比が逆転した、架空の大奥を舞台にした歴史ファンタジー。


主要キャラクターが性転換しているものの、ストーリーは史実に沿って進行する為、歴史上の人物が繰り広げる情熱的なドラマに引き込まれました。


『劇場版 モノノ怪』の大奥と見比べてみるのも一興ですね。


『劇場版 モノノ怪』2024年夏公開前に予習をしよう!


本記事では、『劇場版 モノノ怪』の概要とTVアニメ『モノノ怪』の見所を紹介しました。


キャラクター・作画・ストーリーと、どれをとっても比類ないオリジナリティーに溢れているのが、令和の時代も色褪せない名作の所以ですね。


夏に公開予定の『劇場版 モノノ怪』に備えて、皆様もぜひチェックしてください!


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