女の子の身体になってしまった戸惑いが存分に描かれる安心の全年齢作品 林哲也『みだみだLOVE♪』

1月23日(月)11時0分 おたぽる

『みだLOVE♪(1)』(一迅社)

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 林哲也『みだLOVE♪』は、一迅社がお得意な全年齢TSF作品の期待作である。一迅社のTSF作品は、どれも全年齢とはいえど、ギリギリのエロスで責めてくるところが興奮要素なのだけど、この単行本は秀逸。太めのオビを外すと表紙イラストがさらにエロくなるという仕様なのである。

 まあ、いずれにしても、表紙からしてパンツを膝上まで下ろしているわけで、誘っているとしか思えない……。

 物語の主人公・安藤了誓は17歳の誕生日を迎えた高校生。そんな彼の両親は、度を超えた遊び人で、了誓は幼い頃から両親が一緒にいるところを見たことがなかった。いつも、遭遇するのは父親、あるいは母親以外の相手と戯れている親の姿。そんな両親を反面教師に了誓は、一途に生きることを誓っていた。

 そんな健康優良児な男子が想いを寄せるのは、幼なじみの恋咲。もう一人の幼なじみで女の子が苦手な美少年・鳳児のサポートもあって、なかなかの関係性。ところが、いざ告白という瞬間に、言葉よりも先にキスというハプニング。そしてこれが、とんでもない出来事を巻き起こした。キスした瞬間、了誓は黒髪ロングな美少女に変身してしまったのである。

 そして父親に告げられたのは、自分たちが淫魔の血筋であり、女の子とキスをするとTSしてしまうという事実。つまり、了誓が両親が一緒にいるところを見たことがなかったのは、父親と母親が同一人物だったからというわけである。

 こうして、淫魔らしく使い魔も登場し、そのTSのメカニズムやら淫魔のしきたりが次々とレクチャーされていく。再び男に戻るには、男とキスをしなくちゃならないこと。また、その状態で女の子とキスをしてしまうと、男に戻るためにキスをしなければならない回数が増えること。さらに、淫魔らしく周囲の人間を男女構わず魅了してしまうということ……。

 こうして記すと、おわかりだろうが物語はラブコメらしく、鳳児とキスして戻ったはいいが、恋咲に見られて誤解が広がるという展開に。

 そんなラブコメ要素も面白いのだけれど、とにかくギリギリで魅せようとする林氏のサービス精神がたまらない。なにせ、使い魔が「初めての異性の身体でのオシッコ。それはTSモノにおいて、外してはならぬ定番中の定番」とかメタなセリフを放ってくるくらいだから、よくわかっているわけですな。

 なので、女の子の服に慣れる目的で、ブルマやらバニーガールの衣装を身につけたときの戸惑いも、じっくりと描かれている。加えて、女になって初めて気づく男子の胸やらお尻やらを見られている視線の感覚への違和感もたっぷり描かれているのです。いうなれば、この作品には、読者が明日からTSしても大丈夫なようなマニュアル要素も含んでいると読むこともできのである。

 だいたいTSものを読むときに、読者はTSする主人公に感情移入をするわけだが、この作品は戸惑いの部分が丁寧に描かれているために、妙な快感が身体の中を駆け巡ることだろう。

 TSFからFが外れるテクノロジーの発展か、天変地異が、さらに待ち遠しくなる作品だ。
(文=ピーラー・ホラ)

おたぽる

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