インスタに毒づいていた29才女子、好意的になれた転換点

1月23日(火)7時0分 NEWSポストセブン

29才女性が毒づいていたインスタ始める

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 2017年の新語・流行語大賞にも選ばれた「インスタ映え」。しかし、そのインスタも、実際に使わないとわからないこともあるはず。そこで女性セブン編集部きってのアナログ記者A子(29才・独身)が慣れないスマホを操ってインスタを開始した。


 これまで一切のSNSから距離をおいてきたA子は、店頭や旅先で嬉々として写真を撮ってアップする人を見ては、「何でわざわざ写真を撮るのだろう」「今ある実物をじっくり見ればいいのに」と内心で毒づいていた。


 だが意を決して撮影に挑むと、これがなかなか難しい。何をどう撮ればいいのか、さっぱりわからないのだ。


 A子は年末年始に台湾に旅行にいく予定だったので異国情緒たっぷりの風景を撮影しようと意気込んだが、現地はひどい雨でやる気がそがれた。


 結局、タクシーの窓越しに撮った空の写真をアップするも“映え”にはほど遠く、誰も「いいね!」をくれなかった。


 その後も食べ物や風景の写真を見よう見まねでアップするがしっくりこない。普段撮影を意識していないので、ご飯を食べ終えてから「しまった、写真忘れた!」と慌てることもしばしばだった。


 だが悪戦苦闘を重ねるうち、A子はあることに気がついた。始める前はインスタをする人は「撮影に夢中で現実を見ていない」と思っていたが、もしかしたらそれは逆で、インスタをする人の方が「一瞬、一瞬をしっかり見ているかもしれない」と思い始めたのだ。


 実際、「今日は何を撮ろうかな」と生活において写真撮影を意識すると、通常なら見逃すような細かな点にまで意識が及び、周囲をよく見るようになることを実感した。


◆初めての「いいね!」


 正月休み明けに会社のデスクで仕事中、隣の席の同僚が買ってきたピンク色のドーナツが目に入った。都内の人気店に並んで買ってきたのだという。普段はあまり会話をしない同僚だったが、「写真、撮ってもいいですか」と声をかけてドーナツを撮影してアップした。


するとA子のインスタに初めて「いいね!」がついた。


 以来、彼女は1枚の写真が人と人を結ぶ魅力に取りつかれ、どこへ行くにもカメラを手離さなくなった。


 実際、アンケート会社『マクロミル』の調査によれば、ここ10年で日本人1人当たりの写真保有数は倍増した。移ろいゆく時のなかで気になった物やイベントなどを写真で残しておけば、その場での体験や感情をいつでも思い出せる。今の時代、文よりも音よりいちばん早くてわかりやすい“世界と自分の記録装置”が写真なのだ。


 SNSに詳しいニュースサイト編集者の中川淳一郎さんは、インスタに「新しい文化」を感じる1人だ。



「人間は誰でもいい思いをしたり、おいしいものを食べたりしたら誰かに伝えたくなります。でも昔から日本では“慎ましさ”が好まれる傾向があり、たとえば高そうなケーキをツイッターでアップしたら、『自慢しやがって』と叩かれることが多かった。


 一方でインスタを好む層は、そのケーキを『いいね!』と素直に褒めてくれます。文字にすると生々しい自慢でも、きれいな写真は視覚に訴えるので嫌みが消える。インスタの登場で日本もようやく、“他者の幸せ”を共有できるようになりました」(中川さん)


 私たちに新しい価値観を提示した一億総“映え”社会はこれからどんな局面を迎えるのだろうか。『CanCam』の塩谷薫編集長が言う。


「2000年代に紹介制のSNS『mixi』が一世を風靡し、その後『Twitter』や『Facebook』が流行したように、これまでもその時代の若者に合った新しいツールが生まれ、移りかわってきました。


 ツールに限らず、ひとつのブームを巻き起こしたアーティストやドラマでも、そのブームが去った後は、本当に好きな人だけが残る。最終的には写真を撮ることや見ることに喜びを見出す人や、ライフスタイルにインスタの特性が合致する人が使い続けるようになるのではないでしょうか」


 写真を撮って現像し、アルバムに貼ってみんなでその時の喜びや悲しみを共有する。昔から私たちが享受してきたシンプルな喜びが、一億総インスタ映え社会の先にあるのかもしれない。


※女性セブン2018年2月1日号

NEWSポストセブン

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