前澤社長が援助した3才児の両親「不公平という声もわかる」

1月24日(木)16時0分 NEWSポストセブン

前澤氏に命を救われたおうちゃん

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「今でも救う会をやってよかったのか、正直わかりません。子供の顔も実名もネットに出して、将来この子が傷つくかもしれない。でもただただ、旺典を諦めたくなかった。応援してくださったかたがたには感謝しかありません…」


 そう声を詰まらせるのは、上原歩さん(38才)。“おうちゃん”こと旺典(おうすけ)くん(3才)の母親だ。


 おうちゃんはうまく血液を循環させられない「拡張型心筋症」だ。助かるには心臓移植をするしかないが、国内での移植は困難なため、歩さんと夫の良太さん(38才)は昨年8月に「おうちゃんを救う会」を立ち上げた。アメリカでの心臓移植にかかる費用の寄付を募っていたが、目標額の3億5000万円までは2億円近く足りていなかった。


 事態が急転したのは1月13日。『サンデー・ジャポン』(TBS系)でおうちゃんの密着ドキュメントが放送されるとZOZOの前澤友作社長(43才)が反応。個人での寄付に加え、Twitterでリツイート1件につき10円をおうちゃんに寄付すると表明し、わずか7日間で51万件を超えるリツイートを記録した。1月19日、「救う会」は募金の目標額に目途がついたと発表。驚異的なスピードでの目標達成となった。


耳目を集める前澤氏の“拡散力”の賜物といえるが、彼の行動には「特定の誰かを助けるのはよくない」「不公平」などの意見も上がった。前澤氏は「目の前でおばあちゃんが倒れたら反射的に助ける(中略)目の前にできることがあるなら、行動する。それだけ」と自らの姿勢を貫いた。


 良太さんは複雑な胸の内を明かす。


「ぼくたちも、過去に他の移植を待つ子供に著名人が見舞いに来たり、支援をしたというニュースを見て、正直“うちにも来てほしい”と思いました。不公平だという気持ちは痛いほどわかります。でも、ただただ旺典を助けたい。前澤さんの行動に対していろんなご意見があったことは承知していますが、おかげで多くのかたが旺典を知ってくださったこともあり、目標額を集めることができた。本当に感謝しきれません…」


 おうちゃんは2015年7月23日生まれ。生後9か月から咳が止まらなくなり、近くのクリニックを受診すると、風邪と診断された。2016年5月、おうちゃんが青白い顔で嘔吐。総合病院を受診すると、レントゲン写真を見た医師は夫婦にこう告げた。


「心臓移植ができる病院に搬送します」


◆“世界”はその2mにのみ制限された


 歩さんが当時を振り返る。


「風邪が悪化して気管支炎か肺炎になったかな、ぐらいに思っていたので…説明を受けた時はショックで涙も出なくて、まるで他人の話のようでした」


 集中治療室に緊急搬送されたおうちゃんの小さな体には10本もの点滴がつながれ、顔には人工呼吸器がセットされた。医師からは、「心臓移植しか助かる道はないかもしれない」と告げられた。


 その夜、帰宅した歩さんは、ベッドで泣き崩れた。



 それから、おうちゃんと家族の闘いが始まった。歩さんは24時間おうちゃんにつきっきりになった。病室の狭いソファで眠るが、おうちゃんの病状がいつ急変するかわからず、充分な睡眠はとれない。自宅に残されたおうちゃんの兄(6才)は「お母さんがいない」と泣く。良太さんは兄を抱きしめるしかできなかった。


 おうちゃんは、投薬などの内科的治療では充分な効果が得られず、2016年10月に小児用補助人工心臓をつける決断をした。心臓に血液を循環させるため長さ2mの管を2本つなげるのだが、おうちゃんの“世界”はその2mのみに制限された。補助人工心臓をつけた後も、おうちゃんは日々命の危険にさらされている。


「以前よりは元気になりましたが、人工心臓に血栓ができて脳梗塞になる危険と常に隣り合わせです。血液をサラサラにする薬を使うので血が止まらなくなるリスクもある。ちょっと転んだだけで命にかかわるので、片時も目が離せません」(良太さん)


 一刻も早い心臓移植が必要だが、国内での心臓移植は難しい。2010年、改正臓器移植法が施行され15才未満の臓器提供が可能になったが、それでも6才未満では8年間で10例しかない。海外では医療費や渡航費などが必要で、おうちゃんの場合は総額3億5000万円が必要となる。


 夫婦は2年間国内のドナーを待ち、昨年アメリカでの心臓移植を決意した。


「旺典は病室以外の景色をほとんど知りません。お友達と会えるのは、リハビリで病院の廊下を歩く時だけ。風が吹いただけで怖くて泣いてしまいます。病院食しか食べないので、食事の楽しみも知りません。


 普通の3才児なら、多くの言葉を話して親とコミュニケーションをいっぱいとる時期です。旺典はようやく“おかあやん”と言えるようになったぐらい。それでも私をそう呼んでくれて涙が出るほどうれしかった。できることなら、旺典に病院以外の世界を見せてあげたい」(歩さん)


 おうちゃんは準備が整い次第、アメリカへ渡る予定だ。


※女性セブン2019年2月7日号

NEWSポストセブン

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