『A LIFE』浅野忠信への違和感 「敵役としては中途半端」評

1月25日(水)7時0分 NEWSポストセブン

映画向き? ドラマで副院長役を演じる浅野

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 木村拓哉が初の医師役を演じているドラマ『A LIFE〜愛しき人〜』。主役級の役者が勢ぞろいしたことでも注目だが、そのなかでも普段、民放ドラマにほとんど出ない浅野忠信(43才)が出演していることでも話題が集まっている。TBSの連続ドラマでは28年ぶり。木村演じる外科医と対立する病院の副院長役といういわば敵役だが、この浅野の役がどうもしっくりこない、という声は多い。ネット上では、「浅野の演技はテレビドラマには重すぎるの?」「役が合ってない」という声も出ている。コラムニストのペリー荻野さんがその“違和感”の正体を解説する。


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 そんなわけで、何かと話題の木村拓哉主演のドラマ『A LIFE〜愛しき人〜』。物語は、卓越したオペ技術と知識を持ち、アメリカで経験を積んだ外科医沖田(木村)が、恩師でもある檀上記念病院院長・虎之介(柄本明)の心臓手術を行うために帰国したことから始まる。


 虎之介の娘・深冬(竹内結子)は、沖田の元恋人で今は、沖田の幼なじみにしてライバルの副院長檀上壮大(まさお・浅野忠信)の妻。微妙な三角関係に、メガネをきらりと光らせる外科部長の羽村(及川光博)、医学界権力者の息子で心臓外科医の井川(松山ケンイチ)、沖田が気になる優秀なナース(木村文乃)などがからんでくる。


 第二話では大動脈瘤の手術後、右手にしびれが出た和菓子職人(平泉征)の再手術を見事に成功させた沖田。「まだ終わりじゃない。絶対に救う!」「俺の大丈夫には根拠がある」「俺なら切れる」毎回、沖田からはこんな言葉が飛び出す。


 苦しむ患者のため、周囲の反対を押し切ってでも結果を出すのは、医療ドラマの王道だ。初回の平均視聴率は14.2%、第二話で14.7%と上昇。昨年後半、米倉涼子の『ドクターX〜外科医・大門未知子』をはじめ、吉田羊の『メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断』、沢口靖子の『科捜研の女』、北川景子の『ヒポクラテスの誓い』など、さまざまな医学系ドラマが出た後だけに、二話で視聴率アップというのは、このドラマの底力といえるのかもしれない。みんな木村拓哉に、こんなセリフを言いきって欲しかったのである。


 ただ、少し気になるのは、キャストが主役級ばかりな上にギャグもなく、観てる方も気が抜けないということだ。聞けば、木村は事前の準備も徹底的に行い、並々ならぬ熱意で撮影に臨んでいるという。主役が発する熱量だけでも相当なものなのに、竹内結子や松山ケンイチ、及川光博などが加わってぶつかり合い、主題歌もB’zのがウルトラ熱唱するとなると、一話ずつのカロリーが高すぎて、心がちっちゃい私はどこでどれくらい感動したらよいのやらと測りかねてしまった。


 さらに気になるのが、浅野忠信の存在だ。病院の副院長役の浅野は白衣でもスーツでも厳しい顔。医療ミスだと訴えようとした家族には「一億でいかがですか」と作り笑顔で提案する一方で、「お前にはわからないものを背負っているんだ!」「手こずらせやがって」などとダークな顔を見せる。趣味は小さな魚を世話することらしく、自室の水槽にしばしば手を突っ込んでいる。その上、病院の顧問弁護士榊原(菜々緒)を愛人にしている!?


 番組公式ホームページの「木村×浅野対談」を読むと、木村がタッドがテレビドラマに出演することをとても喜んでいることがわかる。(浅野忠信の愛称はタッドなんですね。ちなみに松山ケンイチはケンケン)。今後は、脳に腫瘍ができた深冬の手術問題も焦点になる。妻の手術を元カレの沖田に依頼する壮大。ますますストレスがたまって、水槽に手を突っ込む回数も増えそうだが、今のところ、家庭を大事にしているようにも見えるし、病院も大事にしているようにも見える。


 演技が繊細な分、壮大が権力大好きダーク大魔王というくらいのパワーが感じられない。菜々緒のほうがよっぽど怖い顔をしているような…。浅野忠信は主演映画『私の男』などですごい存在感を漂わせているだけに、中途半端じゃもったいない。木村の王道セリフもそれをぶつける強烈な敵対勢力がいてこそのもの。カギはダーク浅野にある。

NEWSポストセブン

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