リズムネタでブレイクの『8.6秒バズーカー』、テレビ業界の“ブラック化“の犠牲に?

1月26日(月)10時0分 メンズサイゾー

 軽快なリズムの中に「ラッスンゴレライ」という意味不明のワードを織り交ぜる歌ネタで、急激に露出を増やしている吉本の若手芸人・8.6秒バズーカー。注目を浴び始めたばかりの彼らだが、早くも一発屋芸人の最有力候補に挙げられているという。


「リズム芸はそもそも覚えてもらいやすい。『ラッスンゴレライ』というフレーズも、子どもたちが今こぞってマネしています。ただ、漫才やコントのようにその人の地が出る"芸"と違って、一発ギャグ的な要素が強く、軽く見られてしまうこともあります。その軽さゆえに人気のピークがおとずれた瞬間から、すぐ忘れ去られてしまう可能性も高いですね」(お笑い関係者)


 オリエンタルラジオの「武勇伝」、レギュラーの「あるある探検隊」、藤崎マーケットの「ラララライ体操」、2700の「右ひじ左ひじ交互に見て」など...。8.6秒バズーカーは、リズム芸で人気を博した先輩芸人たちの血をしっかりと受け継いでいるといえるが、彼らの多くは残念ながら一世を風靡したものの、いつしかメディアの第一線から姿を消してしまった。


 そんな一発屋を生む構造はテレビ業界全体に責任があると別の業界関係者は語る。


「今の制作者たちは常にキャッチーな面白さを求めています。これはインターネット、特にYouTubeの影響が大きいでしょう。YouTubeが普及したことによって、いかに短くてインパクトのあるものを視聴者に見せることができるかが重要だと考えられるようになりました。最近のテレビは徐々にYouTube化しているような印象です。そのため、芸人のネタにしても、ほかのVTR映像にしても同じものを使い回しするようになってしまいました。まるで使い捨てのように芸人のネタを扱うため、業界全体のブラック化が進んでいるようにも思えます。


 さらにいえば、今のバラエティ界には、若手芸人を自分たちの手で育てようという志のあるテレビマンが少ない。その証拠に、民放のお笑いコンテスト番組は『THE MANZAI』、『R-1』(ともにフジテレビ系)、『キングオブコント』(TBS系)のスペシャル番組だけ。いずれも育成の場というよりイベント的な性格が強い。『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)の復活がせめてもの救いですね」(業界関係者)


 1980年代から1990年の中頃までは多くのお笑いオーディション番組がレギュラー放送され、そこからたくさんの芸人たちが巣立っていった。とんねるず、ウッチャンナンチャンらを輩出した『お笑いスター誕生!!』(日本テレビ系)や、ダチョウ倶楽部、浅草キッドを送り出し、当時「ライト兄弟」というコンビ名だったダウンタウンも挑戦した『ザ・テレビ演芸』(テレビ朝日系)など、今や伝説として語られる番組も多い。爆笑問題が干されていた時代に登場し、再浮上のきっかけを作った『GAHAHAキング 爆笑王決定戦』(テレビ朝日系)などもそのひとつといえる。


 近年では、『エンタの神様』(日本テレビ系)や『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)から人気芸人が生まれたが、これらは芸人を育てるというより、単に笑いを消費するためだけの番組だったといえるだろう。今ではこの2つの番組も終わっており、若手にとってはさらに厳しい状況だ。こうした環境では、やはり8.6秒バズーカーも使い回されて消費されていく存在になりかねない。


「8.6秒バズーカーは、人気に火がつくまでの導火線、つまり下積み時代が極端に短い。ですから、一度爆発したらもはや玉切れとなってしまうでしょう。その後も売れ続けるためには、トークのスキルや新ネタ、または誰もが飛びつくような驚きのプライベートといった、第二、第三の隠し玉が必要になってきます。ただ、地方営業に力を入れるという選択肢はアリだと思います。彼らと同じリズムネタでブレイクしたテツandトモは、全国で営業をこなし、今では全盛期以上の収入を稼いでいるといわれていますからね。テレビで生き残ることだけが芸人の道ではありません」(前同)


 8.6秒バズーカーは、先日出席したイベントで「一発屋にはなりたくない」と焦りをにじませている。やはり、ブラック化が進んだといわれるテレビ業界も、彼らにとっては夢の舞台なのだろう。いずれにしても次に発射されるバズーカー砲が不発に終わらないことを祈りたい。
(文=今井良介)

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