『テラスハウス』トリンドル玲奈が「トリン里化」の衝撃

1月27日(日)16時0分 NEWSポストセブン

テラスハウスのトリンドル玲奈が山里亮太になる(イラスト/ヨシムラヒロム)

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 2019年になってから、火曜日になり『テラスハウス OPENING NEW DOORS』(Netflix)が更新されるたび、ネット上では悲鳴のような感想が広がっている。女子メンバー3人の関係が険悪で、たとえカップルが成立してもメンバーが祝福する雰囲気が感じられないからだ。ところが、心理戦によって生殺与奪の瞬間が何度もやってくるスリルとサスペンスに満ちた展開から、視聴者は目が離せなくなっている。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、テラハ内の人間関係によってトリンドル玲奈が山里亮太に感化されてしまったことについて考えた。


 * * *

“見ず知らずの男女6人が共同生活する様子をただただ記録したものです”


『テラスハウス』の前口上である。これだけを聞けば「なにが面白いの?」と思う方が大半だろう、かつて僕もそうだったので気持ちはよーく分かる。そんな『テラスハウス』、過去に放送されていたフジテレビを飛び出し、今ではNetflixで全世界に配信中。評判もすこぶる高く、米TIME誌の記者が選出した「2018年のベスト番組10」で6位にランクインしたとか。


 現在『テラスハウス』は軽井沢編がクライマックス。番組内の時計では、2018年のクリスマスに共同生活解消とのこと。平成最後の聖夜に終わるというロマンティックな舞台設定とは裏腹に、軽井沢の豪邸を覆うのが淀んだ空気。史上最悪とも例えられる人間関係が繰り広げられている。


 そんな血で血を洗うVTRにコメントしているのが、スタジオキャストの6名。YOU、トリンドル玲奈、徳井義実、山里亮太、馬場園梓と葉山奨之。恋愛模様を微笑ましく見守るキャストを横目に、山里は一人気を吐く。それでも言い足りないとYouTubeの『山チャンネル』で更にくさす。各話が更新されるたびにツッコミを入れている。山里対他5人といった構図が長く続いてたスタジオ。しかし、『テラスハウス』内の暗い人間関係によってか。最近はトリンドル玲奈が徐々に山里化。出演者の行動の裏を読む、鋭いコメントをするようになってきた。


 話は少し逸れるが『テラスハウス』は、VTRに随時コメントするスタジオキャストの音声が聞こえる副音声で観ることをオススメしたい。


 現在『テラスハウス』にいる女性メンバーは優衣(処女の大学生)、まや(専門学生)、利沙子(モデル)の3名。各人が他2名を「いけ好かない」と考えており、気を許せる関係ではない。しかし、場合によっては共闘もアリ。男子メンバーも3人いるが、このコラムで登場するのは元プロサッカー選手の愛大(あいお)オンリー。彼は女性3人の険悪な人間関係の狂言回しである。


『テラスハウス』史上最悪の殺伐さは、女子部屋で優衣が放った「まやちゃん話そう」から生まれた。そこで開講されたのが優衣と利沙子プレゼンツ、まやへの生活指導。機嫌によって態度が変わること、家事を手伝わないこと、そして優衣を「ババア」と呼ぶことへの是正が求められた。19歳の反抗期まやは、「2人の世界観 マジ強いのね」と反論。ここにて第一次『テラスハウス』戦争が開戦、優衣と利沙子VSまやという構図が生まれた。


 その後、撮影の仕事で利沙子が一週間出張。鬼の居ぬ間を見計らい優衣は、まやに利沙子の二面性を密告。ここで2人は結託し、女性陣の構図が優衣とまやVS利沙子へと変わる。


 このときスタジオでは「トラブルが起きるところに優衣がいる」と山里。当初は「こんなピュアな子はいない」と言っていた優衣を「人を殺したあとクラシックをかけながら飯食ってそう」とレクター博士に例えた。しかし、トリンドル玲奈は「そんなことないですよ〜、素直に言っているだけだと思います!」と対極の意見を述べる。


『テラスハウス』での女子メンバー間の混沌は、優衣とまやの共闘では終わらない。事態は常に流動的だ。まやは利沙子へ優衣の暗躍を報告。その後、3人が勢ぞろいした女子部屋では言った言わないの不毛な大議論。誰も譲歩しないやりとりから完璧に壊れた信頼関係が見える。


「本当に仲悪いんだなぁ〜」と副音声の山里は嬉々。


 水掛け論に収拾をつけるため、優衣は利沙子とほぼ同じタイミングで『テラスハウス』に入居した愛大を呼び出す。そこで優衣は、愛大にかつて利沙子と「次は手をつなごう、次は告白しよう」といったデート演出プランを練った過去を暴露させる。利沙子は「それは冗談でのやりとりだった」と否定するが、もう後の祭り。「利沙子は番組で良い顔をしようとしている」といった優衣による印象操作がカメラの前で成し遂げられた。


 恋愛模様に演出や作為があること、それは『テラスハウス』で最も犯してはならないタブーだ。視聴者が最初に観た愛大と利沙子のデート。その裏には打ち合わせという仕掛けがあり、楽しいデート風景を自己演出していた。これが事実ならば、それは番組と視聴者への冒涜だ。


 全てを見せることが出来るはずはないことは分かる。『テラスハウス』内の共同生活が表なら、私的にやりとりをしている裏もあって必然だ。しかし、表と裏の大きさにはそれぞれ個人差がある。女性メンバーのそりが合わない原因はココだ。


 19歳のまやは、若さゆえの強さがある。全てをさらけ出すのが『テラスハウス』だと考えているのだろう。しかし、芸能活動をする最年長の利沙子はパブリックイメージを意識するのが当たり前。明け透けには住んでいられない。ゆえに、まやを「全部ベラベラしゃべる子」と嫌悪する。では、もう一人の女子メンバー、優衣はどうか?


『テラスハウス』で、優衣は男性に触れた経験がない生娘キャラとして存在している。しかし、近々では愛大と親密な関係を築いてく姿も映し出されている。


 そこにトリンドルのメスが入った。愛大とイチャつく優衣を観て、「映像的にやっているんじゃないかなぁと思う」と鋭い批評を披露。


 少し前まで「素直なだけ」と優衣の作為に疑問を感じなかったトリンドルから驚きの言葉が出てきた。それを受けた山里亮太は「ピュアな恋をしている自分を見せて撮れ高を確保してるんだ! トリちゃんそれは盲点だったよ……」と絶賛。徳井義実は、純粋路線から離れたトリンドルを山里の悪影響を受けた「トリン里」と評した。


 その後、明るみに出たのが優衣と愛大は既に男女の仲にあったという衝撃的な事実。「カメラの外でコソコソやるな」と利沙子を牽制した優衣。彼女も処女キャラを演出していたことが分かる。「キスなんて知らないもーん」といった純情ぶりをカメラの前で演じていた。


 トリン里の慧眼は真実を見抜いていた。ブラウンの澄んだ瞳で、スタジオのキャストの誰よりも優衣の心根に迫っていたのである。一見穏やかなトリンドル、実は師匠の山里よりも狂気が強いかもしれない。


 その後、番組は優衣の処女性が保たれているのか否かの検証に焦点が当てられる。その回のタイトル「Still a Virgin(まだ処女)」。


 ここまで書けば分かると思うが、『テラスハウス』はまぁ異常な番組である。しかし、演出、カメラワーク、デザイン等でオシャレ番組にパッケージング。“異常さ”を上手に薄めている。根底にある昼ドラマ的な愛憎劇を巧みに隠蔽する。


 今後、女性3人の人間関係が完全に改善することはないだろう。クライマックスの聖夜、軽井沢の豪邸ではどんな珍事が起きるのか。今から楽しみで仕方がない。そこでトリン里はどんなコメントを発すのだろうか。山里は3人の女性陣をどう見立てるのか。2人の天才コメンテーターを擁する『テラスハウス』、その面白さは今ピークを迎えている。


●ヨシムラヒロム/1986年生まれ、東京出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。イラストレーター、コラムニスト、中野区観光大使。五反田のコワーキングスペースpaoで週1度開かれるイベント「微学校」の校長としても活動中。テレビっ子として育ち、ネットテレビっ子に成長した。著書に『美大生図鑑』(飛鳥新社)。

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