大学教育最新事情、データサイエンスや台湾をネットなしで歩く

1月27日(月)16時0分 NEWSポストセブン

滋賀大学のキャンパス。関西近隣だけでなく、関東や北海道、沖縄からも学生が通う

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 これまで安泰とされてきた多くの仕事でもAIに取って代わられる時代だと言われている。ものすごいスピードで世の中の仕組みやビジネス環境が変わっていく。そんな中、“有名大学に行けば安心”という考え方は変わりつつある。


 そこで、今後必要とされる能力を学べるのはどの学部の、どの学科なのか。もっといえば、どの研究室なのかまでを受験生は見極めている。


 そんなシビアな目を持ち始めた受験生に人気を集める学部のキーワードは「データサイエンス」「グローバル」「就職」の3つだという。大学通信の安田賢治さんはこう語る。


「今の受験生の志望する人気学部の第1位は、データサイエンス、次いでランクインするのが国際系です。加えて、しっかりと就職のことも考え、手厚くケアしてくれる学部や学科にも人気が集まっている印象があります」


 データサイエンス学部は2017年に滋賀大学が国内で初めて設置。2018年には横浜市立大学、2019年は武蔵野大学でと相次いで新設されている。


 リクルートキャリア就職みらい研究所の所長を務める増本全さんも注目株だと声をそろえる。


「今や、国際化で英語が必要なのと同じように、企業など組織の運営にはデータサイエンスの力が必要になっている。日本には担える人材が少ないとされ、学びを求める学生が増えることが予想されます」(増本さん)


 実際、滋賀大学は国公立の中でダントツに志願者数を増やしている。滋賀大学データサイエンス学部長の竹村彰通さんが語る。


「データサイエンスとは、消費者の購買データやネットの書き込みなどさまざまなデータを、統計学によって分析する文理融合の分野です。本学ではパソコンすら使えなかった学生でも、3〜4年生になると実際に企業で使っているデータを解析できるところまで育てるなど、実践的に学ぶことができます」


 この新領域に、学生たちは何を求めて飛び込んだのだろうか。学部4年生の小西秀明さんは、2014年のサッカーW杯がきっかけだったと話す。


「優勝したドイツが、対戦国のデータを専任アナリストが分析していたことを知り、スポーツのデータ解析に興味を持ちました。最近はバスケットボールの試合でボール支配率に着目したデータ解析でコンペにも参加。将来はサッカーのデータ分析にかかわりたいと考えています」


 データサイエンスに次いで人気を集める国際系の学部も、卒業後を見据えている。


「今や日本で働く外国人が増加し、企業でも“日本”というくくりではなく“アジアやグローバルでの採用計画はどうするか”というレベルの話になってきています。グローバルに戦える人材を求める企業が増えています」(増本さん)


 立命館アジア太平洋大学(APU)は、まさに世界で活躍できるグローバルな人材の育成に特化した大学だ。就職先の実績は紹介したとおり。同大学が語学のみならず力を入れているのは初年次教育で「多文化環境に適応する能力」を磨くことだという。同大学の入学部長の近藤祐一さんはこう学びのプロセスを語る。


「今、社会に出てから必要なのは多文化の中で生じるストレスを学びに転換し、どんな場所や状況でも主張すべきことをして、他人に貢献していく適応力だと思っています。それを身につけるためには、リカバリーできる学生のうちに失敗することが必要です。だからあえて、学生たちには授業を通して失敗を体験させます」


 その1つが、入学してから2か月目に行われる5日間の海外研修だ。


「6人グループで台湾に行くのですが、空港につくとすぐにそれぞれのグループにくじを引かせます。中身を開けるとそこには“○○に来なさい”と地名だけが書かれている。交通機関もホテルも予約しておらず、インターネットは使用禁止。


 観光案内所にも行ってはいけないというルールを設け、すべて現地の住民に聞いてたどり着きなさい、と指導するのです。大体、それまでに3分の1のグループが崩壊する。だけどそれでいいのです。その後、何が問題だったか、お互いの長所や短所はどこかを話し合い、振り返ることで学生は見違えるように成長します」(近藤さん)


“ハード”な方法で語学を叩き込む国際系の学部はほかにもある。


「早稲田大学の国際教養学部、法政大学のグローバル教養学部など、英語で授業が行われる学部が人気です。近畿大学国際学部は全員1年生の秋からの留学が必須になっています。1〜2年勉強してから留学させるのではなく、いきなり海外に出す。留学先もアメリカだけでなく、中国や台湾、韓国などアジアも専攻によって用意されており、多様な学びが期待できます」(安田さん)


※女性セブン2020年2月6日号

NEWSポストセブン

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