移民のために炊き出しをするアメリカ人男性「アメリカに来ても歓迎されると子どもたちに伝えたい」隔週で30万円自腹を切る理由
2025年1月28日(火)11時36分 ABEMA TIMES
メキシコの移民ハウスで炊き出しをする、アメリカ人医師の男性を取材。隔週でアメリカからメキシコを訪れ、移民支援のボランティアに注力するその理由とは。
大前プジョルジョ健太ディレクター(以下、プジョルジョD)が、世界各国にある国境を命がけで越える人々の生活に密着するドキュメントバラエティ『国境デスロード』の特別編が、ABEMAプレミアム限定で配信された。「国境タクシー」と題した特別編は、プジョルジョDがタクシーで国境を走り、どんな人が乗ってくるのかを検証する内容。『国境デスロード』の構想段階で撮影した映像を、特別編として編集したものだ。
今回プジョルジョDが訪れたのは、アメリカとの国境に面するメキシコの街・ティファナ。不法移民が集まるこの街でドライバーを雇い、取材を敢行した。午後7時、中心街で1人の男性がタクシーに乗車してきた。ロサンゼルス出身の医師・ロイさん(70歳)。シーザーサラダ発祥の店として有名なレストラン「シーザーズ・プレイス」で食事をするため、タクシーを利用したのだという。
その後、レストランで一緒に食事をしながらプジョルジョDが話を聞くと、ロイさんは移民ハウスで炊き出しをするため、隔週でメキシコを訪れていることが明らかに。この日も移民ハウスで料理をしてきたと言い、「子どもがいる移民ハウスなんだ。美味しいご飯を食べてほしいんだ」と話した。レシピの考案から食材の買い出し、ソースの調理まですべて自分で行っているそうで、それらにかかる費用は自腹。隔週30万円の出費だという。
「今日も子どもが言ってくれたよ。美味しいスープを作るおじさんだって。それがとても幸せなんだ」と嬉しそうに話すロイさん。移民支援のボランティアに熱心に取り組む背景には、メキシコからアメリカへ渡った、両親の存在があるようだ。ロイさんは「両親がメキシコ人なんだ。メキシコ系アメリカ人だよ。両親は仕事を求めてアメリカへ渡ってきた。親は子どもを背負って旅に出るんだ。より良い人生を求めて。だから移民を助けたいんだ」と明かした。
わざわざ移民ハウスへ足を運ぶのは「直接話して、安心してもらいたい」という想いがあるから。「アメリカに来たら歓迎されるんだよ」と、子どもたちに伝えたいのだという。続けてロイさんは「移民が越境する勇気に比べたら、食事の提供なんて小さなことだ」と謙遜。さらにインタビューの最後には「若い時は全くやりたいと思わなかった。でも年齢的にもう長く生きられないから、貯金しても仕方ない。だったら移民たちに全部使いたい。美味しいご飯を作ることだけ考えている」と、熱く語っていた。