名脇役・光石研に「主演したいと思わない?」と聞いたら…

1月28日(土)7時0分 NEWSポストセブン

名脇役・光石研の「個性なき個性」

写真を拡大

 俳優・光石研(55)が「名脇役」と呼ばれるようになって久しい。決して目立ちはしないものの、ああ、あの映画にもこのドラマにもと、おびただしい数の作品に渋い味を添えてきた。まさに名うてのバイプレイヤーなのだ。


 そんなバイプレイヤーを題材にしたドラマ『バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜』(テレビ東京系)が1月13日にスタートした。


 光石のほか遠藤憲一大杉漣田口トモロヲ寺島進、松重豊の6人のバイプレイヤーたちが、世界的映画監督の作品に出演するため、シェアハウスで共同生活を送るというコメディだ。


 若いときには、演技過剰で「悪目立ち」しようとしていたと打ち明ける光石だが、多彩な役を演じていく中で、それが嘘のように、そぎ落とした演技をする役者として輝き出した。


「僕、本当に個性的じゃないんですよ。個性を消しているわけではなく、個性がないんです。それを逆手にとって『個性なき個性』と自分で言っているだけで(笑い)。


 この間も福島のロケで農家のおじさん役で長靴を履いていたら、『これだけ長靴が似合う人はいない、本物みたい』ってスタッフが言うから、そんな褒め言葉いらないよって言ったんです。だってどんな格好をしていても、さすが放つオーラがあると言われるのが本来の役者でしょ。まあ、そんなことを言いつつ、長靴姿を褒められて嬉しい自分もいるんですけどね(笑い)」


 商店街を歩いていても、おでん屋のテーブルで後輩たちと語らっていても、マラソン大会に出場しても、あるいはロケ地にいても、たしかに光石はそれぞれの場の空気に妙になじんでいる。気取らず、目立たず、威張らずで、スターの匂いをあえて醸そうとしていないようにさえ見える。


 ゆえに、映像に現われたときに、わざとらしさを感じないし、嘘くささが臭わないのだろう。演出家や監督たちがつい光石に声をかけてしまうのも、いわゆるスターとは真逆の「個性」があるからなのではないか。


「脇役ばかりでなく、主演してみたいとは思いませんか」と尋ねると、こう返してきた。


「いや、まったく、そういうことにこだわってないですね。本当に。市井の人で主演が来たらやりたいですけど。


 僕にはレインボーブリッジを止めるような役は絶対に来ないです。あれは、やっぱり個性あるスターでないとできない。となると、まあ、主演は僕にはあまり関係ないということです」


 光石研は、ひたすら名脇役の道を歩み続ける。「個性なき個性」という唯一無二の武器は、これからさらに輝きを増していくのだろう。


●みついし・けん/1961年、福岡県生まれ。1978年、映画『博多っ子純情』でデビュー。以来、『Helpless』『それでもボクはやってない』『めがね』『あぜ道のダンディ』『共喰い』など200作以上の映画に出演。『砂の塔〜知りすぎた隣人』『コールドケース 真実の罪』『奇跡の人』などテレビドラマへの出演も多い。今年の映画待機作は北野武監督の『アウトレイジ 最終章』など。


撮影■二石友希 取材・文■一志治夫


※週刊ポスト2017年2月3日号

NEWSポストセブン

「光石研」をもっと詳しく

「光石研」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ