東京都も出資する「東京アニメアワードフェスティバル2016」が破綻? 3月開催を前に、日本動画協会がコンペ応募作約800本を審査せず放棄

1月29日(金)1時0分 おたぽる

『東京アニメアワードフェスティバル2016』より

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 日本動画協会(以下、動画協会)がフェスティバルディレクターらを一方的に解任したことで、正常な開催が危ぶまれている「東京アニメアワードフェスティバル2016(TAAF2016)」。

 本サイトは、3月18日からの開催予定にもかかわらずコンペ応募作品の審査も行われていない状況であることをスクープ(http://otapol.jp/2016/01/post-5425.html)。動画協会が実行委員会に諮らずに、一方的にフェスティバルディレクター・江口美都絵氏らに対して解任を通告したことによって、正常な開催はもはや困難な状況だ。

 にもかかわらず、5,000万円を出資し、共催にも名を連ねる東京都の担当者である産業労働局観光部振興課の課長・若林和彦氏は、責任逃れの発言を繰り返し、挙げ句の果てには筆者に「今晩改めて電話する」旨を告げたにもかかわらず、すでに一週間も連絡がない。

 この騒動はアニメーション関係者の間でも注目を集め、皮肉にも「東京アニメアワードフェスティバル」に言及する人の数を増やしている。一方、現在に至るまでTAAF2016の公式サイト、Twitterは更新されず、動画協会や東京都は表向きは沈黙を守ったままだ。

 そうした中、今週に入り新たな内部リークがもたらされた。これまで江口氏に対して「フェスティバルディレクター」の肩書きの使用禁止と、江口氏が所持しているコンペ応募作品の引き渡しを求めて、東京地裁に仮処分を申請していた動画協会が突如、仮処分申請を取り下げ、応募作品の権利を放棄したというのだ。

「昨週、東京地裁で和解に向けて協議が行われる予定になっていたのですが、動画協会側は直前になって仮処分申請を取り下げて、応募作品の権利を放棄することを通告したというのです」(実行委員会関係者)

 この伝聞を裏付けるべく、改めて江口氏に取材を申し込んだところ「弁護士と相談した中で話せる範囲で」と断った上で、これまでの仮処分をめぐる経緯については説明。そして、筆者に語ったのと同内容の文書をインターネット上に公開することを明らかにした。

 28日深夜に公開された文書(http://animeaward.tokyo.jp/index.html)に基づいて記せば、動画協会の仮処分申請に対して、東京地裁は江口氏側からの反論を聞いた上で動画協会が反論もしくは和解を検討するように指示。

 これに対して動画協会は、1月22日午後4時30分から予定されていた東京地裁での審尋の開始直前に仮処分の申し立てを取り下げ。同時に「TAAF2016のコンペティションに応募された作品を何らかの審査もなく、正当な理由もなく、選考対象としない旨、裁判所へ一方的に文書にて提出しました」というのである。

 事実上、和解の道が閉ざされたばかりか、すでに国内外から集まっている多くのコンペ作品を動画協会が破棄した形になっている。

 また、文書の中で江口氏側は、動画協会が業務委託料の支払いを止めていることにも言及。これまでの筆者の周辺取材・収集した内部リークが極めて精度の高いものであることも明らかになった。

 ここに来て、動画協会が権利を放棄することを決めた理由は何か。

「過去の応募作品数からの推測ですが、江口さん側が保管している作品は短編長編合わせて700〜800本程度あると思います。3月18日開催を強行するのであれば、今から審査するのは無理です。そこで、審査が行えなかったのは、江口さんが作品を引き渡さないからと責任転嫁を図っているとしか思えません。また、コンペ応募者は作品の送付にあたって応募者がサーバーにアップロードを選択した場合、システム利用料として3ユーロをすでに支払っています。僅かな金額ですが、お金を返して終わりというわけにはいかないでしょう」(アニメライター)

 海外からの応募作、招待作が多くを占めるTAAF。この騒動は過去2回の開催で積み重ねられた信用をすべて吹き飛ばすことになりかねない。金を返せばよいという問題ではない。東京都の出資がパアになるのみならず、日本のコンテンツ行政そのものが、国際的な信用を失ってしまう事態になっているのだ。

 もはや、動画協会が沈黙のまま開催を強行するという目論見は崩れ去ったようだ。動画協会には、改めて制作者の想いに応える英断を期待したい。
(文=ルポライター/昼間 たかし http://t-hiruma.jp/)

おたぽる

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