野菜の種「固定種・在来種」と「F1種」 その違いとは?

1月30日(月)7時0分 NEWSポストセブン

生育時期や形、大きさなどが不揃いで、今の流通に乗ることが難しい「固定種・在来種」

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 2016年秋、恵泉女学園大学教授の藤田智さんが「1980年には1214種あった日本の伝統野菜が、2002年には556種以上へと減少した」と発表し、話題を呼んだ。今、絶滅の危機にある日本の伝統野菜を守ろうと活動している八百屋・warmerwarmerの高橋一也さんに話を聞いた。


 日本にはその土地に根ざしたたくさんの野菜があり、分類上はただの“大根”でも、その土地ごとの大根があって、実に個性豊かだと高橋さんはいう。例えば大根なら、宮崎県椎葉村の人々が800年も前から栽培してきた「平家大根」や、長崎県平戸市で室町時代から栽培されている「木引かぶ」など。


 古来種野菜というのは、高橋さんが付けた野菜の呼び名で、日本各地に昔から存在していた固定種や在来種と呼ばれる伝統的な野菜の総称だ。


 これらの野菜はいきなり食べられる形になるわけではなく、種からスタートする。野菜の種はあまり知られていないが、小さな種が土に蒔かれて、芽を出し、土の養分と水や太陽の恵みを受けて育って、食べられるまでになる。


 それだけに種がとても大切であり、平家大根も木引かぶも、何百年とその種を伝えてきた人がいるから、今日まで残っているのである。しかし、ここ30〜40年ほどの間に400種もが絶えてしまったといわれるように、農業に従事する人の高齢化、農村の過疎化などによって、どんどん減っているのは事実なのだ。


 ところで、野菜の種は、「固定種・在来種」と「F1種」に分けられる。


「固定種・在来種というのは、農家さんが野菜の種を採り、その種を蒔いて育てて、また種を採る。この作業を繰り返して得られた種です。固定した形質が親から子へと受け継がれていくのが特徴です」(高橋さん、以下「」内同)


 これは残念ながら今、市場に出回る量は極めて少なく、絶滅危惧種が多い。なぜなら、不揃い、不安定、生産性が低い、非効率的な野菜だからだ。



「それに対して、F1種というのは、大量生産、安定供給、大量輸送などを可能にするために人為的に改良した種で、現在、市場に出回っている野菜は、ほとんどこの種です。有機栽培の野菜もほとんどはF1種です」


 で、それぞれを食べ比べてみると、古来種は、「味が濃くて、絶対においしい。その野菜の持ち味が生かされている」と高橋さんは言う。その土地の風土になじんでいることから、農薬や肥料も少なくてすむ。ただし、もともと生産量が少なく、成育時期や形、大きさなどは不揃いだから、今の流通に乗せるのは難しい。したがって、一般には入手しにくい。だからこそ、そんな野菜に出合うと「どうやって食べようかとわくわくする」とも。


 とはいえ、これらの野菜は特別な調理をしなくても、特別なドレッシングを使わなくても、「ただ蒸すだけ、焼くだけでもおいしくて、むしゃむしゃ食べてしまう」。


 その点、大量生産が可能なF1種は、見栄えがよく、安価で、気軽に買える。味は均一といわれるが、つまり、個性や癖がなく、食べやすいけど、あまり印象に残らない。


「だからといって、F1種を否定することはできません。日本の人口は1900年には約4000万人でした。それが1985年には約1億2000万人に、つまり85年間で3倍に増えています。この人口を支えた要因の一つとして、野菜の増産も見逃せません」


 野菜料理がふんだんに食卓に載るようになり、食卓が豊かになったのはF1種のおかげでもある。だから、固定種・在来種の昔ながらの野菜とともに、F1種もなくてはならないもので、両者の共存は絶対に必要だ。


「食卓に載せる野菜の一品を、古来種野菜にしてほしい」


 と、高橋さんは言う。でなければ、私たちの貴重な遺産である野菜の多くが、すぐにも絶滅してしまうのだ。


※女性セブン2017年2月9日号

NEWSポストセブン

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