日本には111の活火山存在 これから心配な山はどこか

1月30日(火)16時0分 NEWSポストセブン

御嶽山の噴火も衝撃的だった(共同通信社)

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「今回の噴火は“序章”にすぎないといえるでしょう。東日本の火山はこれから大規模な活動期に入っていくと考えられます」──高橋学・立命館大学環太平洋文明研究センター教授は1月23日に起きた草津白根山の噴火を受け、そう語った。


「2011年の東日本大震災以降、太平洋プレートが日本列島の東側(北米プレート)の下に潜り込んでいくスピードが上がっています。東から西へ年間約10cmずつ動いていましたが、震災後は30〜40cmも動くようになった。プレートは地下深くでマグマに変わるため、東日本の地下ではマグマの生成が活発化しているのです」(高橋氏)


 草津白根山は、その地下でマグマ生成が活発化している北米プレートの上に位置する。


「同じ北米プレート上という点でいえば、ここ数年、ロシアの千島列島からカムチャツカ半島にかけてそびえる5つの火山が相次いで噴火している。半島中央に位置するベズイミアニ火山では昨年12月20日、噴煙が1万5000mに達する大噴火が起きた。


 日本の研究者もメディアも、同じプレート上にある近隣諸国の火山活動データを軽視した結果、草津白根山の危険性を周知できなかったという側面もあるのではないか」(同前)


 近年のこうした火山活動は“予兆”に過ぎない可能性もあるという。


「今後、北海道から東北にかけて大規模な噴火が続くリスクが高まっており、『活動期』は50年にも及ぶ可能性があります」(同前)


◆有珠山、蔵王山、日光白根山……


 具体的にはどの火山の噴火リスクを警戒すべきなのか。高橋氏がまず挙げたのは有珠山だ。


「カムチャツカの火山群が北から順に噴火していることから有珠山をはじめ、十勝岳や雌阿寒岳など北海道の火山は注意が必要です。過去、大噴火は記録されていませんが、これは松前藩の統治以前の記録がはっきりしていないという理由からだと考えられています」


 北米プレート上に位置する東北地方も警戒が必要だと高橋氏は指摘する。噴火した際のリスクが大きいと考えられるのは十和田山、蔵王山だという。


「かつての爆発で火口に水が溜まっています(カルデラ湖)。地震などの際に、マグマと水が接触することがあれば巨大な水蒸気爆発が起き、山体崩壊も起こりうる。また、栃木・群馬県境の日光白根山については、近年、微細な揺れが月300回というハイペースで続いています。昨秋から気象庁が常時監視体制を始めました」(同前)


 他にも噴火によって被害が大きくなることが懸念される火山は数多くある。にもかかわらず、「リスクが正しく認識されていない」と高橋氏は懸念を深める。


「2015年の箱根・大涌谷の噴火は活動が比較的穏やかなフィリピン海プレート上だったため小規模でしたが、有名な観光地だったことから、メディアが大騒ぎしました。北米プレート上にある草津白根山は、さらに大きな噴火活動の予兆である可能性が高いのですが、警鐘を鳴らす報道は見受けられません」


 噴火のリスクに晒されているのは、東日本だけではない。鹿児島・桜島の動きも、活発化の兆しがあると高橋氏は続ける。


「桜島は2011年に観測史上最多となる996回の爆発的噴火を記録しています。西日本も間接的に太平洋プレートの動きに影響を受けていると考えられるのです。その後噴火は減少傾向にありましたが、2017年の爆発的噴火は81回とまた増加傾向にあります」


 現在、日本には111の活火山が存在している。なかには主だった活動が何十年も見られていない火山が存在する。しかし、高橋氏は「どの山に登るにも覚悟と準備が必要」と、呼びかける。


「噴火の前に火山性微動を観測することはありますし、人工衛星から山体の膨張が観測されることもある。だが、それから何日後に爆発が起きるのかを詳細に予知することはできない以上、たとえ気象庁の警戒レベルが低かろうともリスクを軽視すべきではないのです」


“ノーマーク”だった草津白根山が噴火し、尊い人命が失われたことを忘れてはならない。


※週刊ポスト2018年2月9日号

NEWSポストセブン

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