博多華丸 たった3パターンの演技で「笑って泣かせる」凄さ

1月30日(水)7時0分 NEWSポストセブン

『めんたいぴりり』での演技が光る博多華丸

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「初めて甲子園に出た高校球児の気持ちです」——。主演映画『めんたいぴりり』の初日舞台挨拶で語ったのは博多華丸。もともとはテレビ西日本で放送された連続ドラマだったが、映画として全国公開された気持ちをそう表現したのだ。この作品で華丸はどのような演技を見せたのか——。コラムニストのペリー荻野さんが綴る。


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 また泣かされた…これ五度目だよ…と思いながら、映画館を出ることになった。映画『めんたいぴりり』。終戦後、博多中洲に小さな食品店「ふくのや」を開いた夫婦(博多華丸と富田靖子)が苦労の末に明太子を作り出すまでの実話を基にした物語である。


 なぜ、五度目かといえば、一度目は、2013年、「福岡初!朝の連続ドラマ」として月曜日から木曜日に放送されたドラマ。福岡で朝ドラ? 放送時間が9時50分から? 主演が華丸!? と驚き三連発の中で見てみたら、これが笑って泣ける名作だった。その後、『めんたいぴりり2』のスペシャル版が放送されて二度目。


 さらに博多座で舞台版ができると聞いて、すぐさま福岡に飛んで三度目。DVDが出て、また観て四度目。そして今回の新作映画で五度目。すっかり『めんたいぴりり』マニア状態になってしまった。


 そんな中、私はすごいことに気が付いた。それは「役者華丸の演技は、3パターンのみで構成されている」ということである。


 たとえば、パターン1は「目をむく」。アイデアを思いついた時、ドキッとしたとき、うれしいときはこれ。パターン2は「歯を見せてニカッとする」とぼけるとき、ごまかすときに有効だ。パターン3は「口をとがらせてしょんぼりする」。悲しいとき、落ち込んだとき、言い訳が見つからないときは、これで決まり。


 華丸は、明太子が美味しいと言われれば、喜びに目をむき、妻のへそくりを使い込んだことがバレたときにはニカッとし、うまくいかなかったり、目標を見失いそうになると口をとがらせる。『めんたいぴりり』はこうしてできていたのである。たった3つに泣かされていたとは…と思うと、笑えるが、このわかりやすさこそ、華丸の味。そもそも思い込んだら一直線の「のぼせもん」を小器用に演じたら興ざめだ。むしろ、3つで役をこなしきったところがすごい。華丸に細かい演技は必要なし!!



 ところが、ここへきて、「役者華丸」に新たな展開が。常盤貴子主演の日曜劇場『グッドワイフ』(TBS系)、「標準語を話すリベラル弁護士・林幹夫」役で出演しているのだ。林はにこやかだが、つかみどころがなく、目の奥は笑っていないタイプ。なんと、あの大きな目の「奥」の演技を要求されていたのである。華丸は、ジャケットの中にオレンジ色のダウンベストを着こなすという独特のファッションで奮闘中だ。


 なお、相方の博多大吉は、『めんたいぴりり』にスケトウダラの役で出演。パーマヘアにリボン、アイシャドウたっぷりで女装し、ジャケットに青色のキラキラしたうろこのついた「半身こいのぼり」のようなスタイルで現れ、オネエ言葉で「わたしの卵…」と明太子たちを見守る。大吉タラと主人公華丸のとぼけたやりとりは、コントのようで『めんたいぴりり』シリーズの名物でもある。映画でも魚のはずなのに自転車をこぐ(?)など、大吉タラのパターンのない破壊力はすごい。華丸とは違う形で役者として面白くなる気もする。

NEWSポストセブン

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