生前退位巡る報道混乱 政治家や宮内庁意見集約できぬ状況

2月1日(水)16時0分 NEWSポストセブン

生前退位を巡る報道が混乱する背景は

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 去る1月17日の午前11時頃。皇居外周をジョギングするランナーたちの間を抜けて2台の車が皇居・半蔵門に入っていった。


 1台目のゴールドカラーのBMWの後部座席には、背広姿の秋篠宮の姿があり、通過するとき、信号で足止めされたランナーにやや会釈したように見えた。その5分後、シルバーのトヨタ・クラウンの後部座席に座った皇太子は窓ガラスを開け、沿道のランナーに手を振った。


 その後、皇居では天皇、皇太子、秋篠宮の三者会談が、約1時間にわたり行なわれたのである。宮内庁関係者が明かす。


「陛下の生前退位にかかわる天皇家の最終的なご意思を確認するお話し合いだったといわれています。陛下は前日(16日)に山本信一郎・宮内庁長官、河相周夫・侍従長を呼んでご昼食を取りながらじっくり意見を聞き、三者会談に臨まれました」


 その日の午後、宮内庁に大きな動きが起きた。17日午後2時からの宮内庁の定例会見で、西村泰彦・次長が、全国紙各紙の報じていた「平成31年の元日に改元する」という政府方針について、「現実的に困難」と否定的な見解を示したのである。


 年明けから生前退位をめぐる報道合戦は過熱する一方だった。まず、産経新聞が1月10日付朝刊で〈新元号 平成31年元日から〉の見出しを掲げ、〈政府は平成31年1月1日に皇太子さまの天皇即位に伴う儀式を行い、同日から新元号とする方向で検討に入った。国民生活への影響を最小限とするには元日の譲位が望ましいと判断した〉と“スクープ”を飛ばすと、朝日、毎日、読売の各紙も「元日改元」を後追いした。


 さらに1月12日の朝刊には、退位後の天皇の呼称について、日経新聞が〈天皇退位後「上皇」に 政府検討〉と報じれば、毎日は〈退位後称号「上皇」使わず 政府「前天皇」など検討〉と正反対の内容を報じた。その後、産経が同日夕刊で〈政府首脳、毎日新聞の「前天皇」の称号否定〉と毎日報道を打ち消すなど、メディアは混乱の極みにある。


 天皇の生前退位に関しては、改元の時期や呼称もさることながら、皇室には退位や即位にかかわる重要な儀式、宮中祭祀の引き継ぎ、皇太子が新天皇に即位した後の秋篠宮の立場、新旧天皇や秋篠宮家の住居、宮内庁組織の再編など多くの課題がある。


 報道の混乱は、そうした一連の課題について、政治家や官僚の方針、宮内庁側の意見が集約できないまま情報が入り乱れていることを物語っている。前出の宮内庁関係者が振り返る。


「両陛下は新年のご公務が一段落した1月12日、皇太子ご一家、秋篠宮ご一家らを皇居に招いて身内の食事会を催されました。その席で、陛下が退位表明からの経緯を改めてご説明され、この先々のことについてもお話があったと側聞しています。このときのお話を踏まえて、陛下が皇太子殿下、秋篠宮殿下にご意見を聞きたいという経緯で、5日後の17日に三者会談がセットされたようです」


撮影/雑誌協会代表取材


※週刊ポスト2017年2月10日号

NEWSポストセブン

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