胃がん、大腸がん、乳がん がんになっても負けない県は?

2月1日(木)11時0分 NEWSポストセブン

がんに負けないIM比の上位県はどこ?(写真/アフロ)

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 今や生涯で2人に1人ががんになるといわれる時代。悲しいことにがんは私たちにとって身近な病気となり、2016年には約37万人ががんによって命を落としている(国立がん研究センター統計)。


 その一方、がんの治療技術は日進月歩で進んでいる。治療から5年、10年経っても再発せずに寛解、完治にいたる人が増えているだけでなく、治療を続けながら日常生活を送る人も少なくない。


 その差はどこにあるのか。鍵となるのが、昨年秋に国立がん研究センターが公表した全国のがん患者数や罹患率の集計結果(2013年)。合わせて地域差を示す各都道府県別のデータも発表されているが、なかでも注目したいのは、「IM比」(『がんに罹った患者数』÷『死亡数』)を基に算出された都道府県ごとのがん別の“生存率”だ。


 国立がん研究センターの全国がん登録室長・松田智大先生が解説する。


「IM比は国際的に、生存率の代わりに用いられることがある数値で、値が大きいほどがんになっても亡くなりにくく、低いほど亡くなりやすいことを意味します。“がんに罹っても生きているかどうか”を示す数値です。早期発見され、病院で適切な治療を受けているほど値が大きくなりやすいといえます」(松田先生、以下「」内同)


“がんになりやすい・なりにくい”ということについての分析は「食生活」や「生活習慣」、「他に大きな病気に罹ったことがあるかどうか」や「細菌・ウイルス感染の有無」などが挙げられているが“がんになっても死なない”ためにはどんなことが関係しているのか。


「喫煙率の高さや肥満傾向などは、がんに罹患するかどうかという点でも重要なポイントですが、罹患した後も見過ごすことはできません。肥満などから罹る生活習慣病など持病があれば治療の選択肢が狭まったり、飲酒などの影響でがん以外の病気に罹ればその治療で体力を奪われてしまいます。そうしたデータを踏まえ、病院数や医師数など治療環境まで含めた多角的な分析を進めています」


 IM比が高い都道府県を見ることで“生存率が高くなる”ヒントが見えてくる貴重なデータであることは間違いないが、気をつけたいのは現在、精度向上のための取り組み途上にあるということ。


「がん罹患の届け出が義務化されたのは2013年のこと。死亡届はそれ以前から義務化されていましたが、罹患の届け出がされていないと当然IM比にも影響しますし、精度は落ちてしまいます。また、転院などで病院が変わった場合に二重登録の可能性があるなど、まだ数値の正確性はそこまで高くないのが実状です」


◆胃がん、大腸がん、乳がんのIM比、上位5県と下位5県


 男女の罹患数トップである「胃がん」のIM比全国推計値は2.46。都道府県別に見ると、京都府(3.02)、広島県(2.99)、宮城県(2.78)、鳥取県(2.75)、熊本県(2.73)が上位5県で、下位5県は山梨県(2.06)、愛知県(2.01)、徳島県(1.98)、茨城県(1.94)、青森県(1.89)となっている。



「多量な食塩摂取が一因といわれるピロリ菌保持が罹患に大きくかかわることがわかっています」(松田先生)という胃がん。食塩摂取量の多い東北で罹患率が高い。IM比については「各自治体が検診を実施しているので、受診率の高さが関係しているというのが1つの分析です」(松田先生)。


 女性の死亡者数が最も多い「大腸がん」では、IM比全国推計値は2.59。都道府県別に見ると、広島県(3.56)、富山県(3.23)、岡山県(3.02)、大阪府(2.88)、宮崎県(2.85)が上位5県で、下位4県は山梨県(2.17)、新潟県(2.16)、高知県(2.15)、青森県(2.14)だった。


「早期発見で生存率が高まるのが大腸がんです」(松田先生)といわれており、検診の受診率との照合が進められている。早期発見が鍵になるからこそ、不調を感じてから病院に行くまでの時間も重要。発症に大きく影響するのは飲酒とされており、リスクを低下させるためには「運動が効果的ということがわかっています」(松田先生)。


また、女性の罹患率トップの「乳がん」では、IM比の全国推計値は5.84。都道府県別上位5県は、広島県(8.38)、富山県(7.61)、長野県(7.02)、宮崎県(6.78)、沖縄県(6.73)。下位5県は青森県(4.8)、長崎県(4.8)、熊本県(4.77)、新潟県(4.58)、徳島県(4.45)となっている。


 発症のリスクについては、肥満など体形や閉経・出産・授乳の時期なども関係していると分析されており、都市部での罹患率の高さが目立つ。「“都市型”というのが乳がんの1つの特徴ですが、IM比については必ずしも都市型とはいえません。北海道の値が低いのは、がんに罹った後の喫煙継続などが影響しているかもしれません(女性の喫煙率全国トップ)」(松田先生)。


※女性セブン2018年2月15日号

NEWSポストセブン

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