ビートたけし「松方さんは勝新さんや錦之介さんに連なる人」

2月2日(木)7時0分 NEWSポストセブン

ビートたけしが松方弘樹さんとの思い出を振り返る

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 1月23日に亡くなった俳優・松方弘樹さん(享年74)。かつて『元気が出るテレビ!!』などで共演したビートたけしは、松方さんの死に何を思うのか。新刊『テレビじゃ言えない』が話題のたけしが、テレビでは話せなかった松方さんとの思い出を振り返る。たけしによると、松方さんは「とんでもなくカネ払いがよかった」という。ある時は京都のステーキ店で5人で2000万円の勘定を現金払いをしたこともあったという。


 * * *

 あの人は別にオイラやら出演者だけにおごってたわけじゃない。スタッフにも大盤振る舞いだった。


『元気が出るテレビ!!』じゃ、毎年春と秋に関係者を一堂に集めて、「スタッフパーティ」というのをやるんだよ。


 そのときに、松方さんは出演者とスタッフの全員に小遣いをくれるんだけど、オイラなんかはさすがに辞退しちゃうからね。そしたら、その残ったご祝儀をめぐって、大ジャンケン大会だよ。あの頃は本当におおらかな時代だったね。


 オイラがドラマや映画の撮影で京都・太秦の撮影所に行ったときも、松方さんのそういう面倒見のよさのおかげで助かった。


 松方さんは裏方に対してもそんな風にカネ払いがいいんで、「お兄ちゃん、お兄ちゃん」って呼ばれて、うるさ型のスタッフみんなから慕われてるんだよな。逆に、ケチなヤツは大変な目に遭っちゃう世界だからね。撮影所での扱いがゼンゼンちがうんだよ。


 オイラが太秦で「宜しくお願いします」って頭を下げたら、「ああ、お兄ちゃんに“タケちゃんのことよろしくな”っていわれてますから」って撮影所の一番端にある「特別室」って楽屋に通されたんだ。


 並びにあるのが、鶴田浩二さんとか高倉健さんとかの専用室でさ。その横にあるすごい特別室で、いきなりそんなところに入れてくれたんだよな。全部松方さんの「顔」のおかげだよ。


『元気』が終わってからも、いろいろと気を遣ってもらったね。TBSの楽屋に、ある日大量のマグロの刺身が届いたこともあった。「松方さんが釣り上げたマグロです」ってね。そりゃ立派なもんで、腹一杯になっちまったよ。


 オイラより4つ年上の松方さんは、まさに「兄貴」みたいなもんだよな。


「死んじゃうなんてまだ早いよ」って思うし、晩年の闘病もキツかったんだろうけど、いい時代を生きた人だったよ。


 親父さんが近衛十四郎という名時代劇役者で、子供のころからお坊ちゃんで育ってさ。鯉がいっぱいいる京都のすごい豪邸に住んで、時代劇もヤクザ映画もドラマもバラエティ番組もぜんぶ当てて人気者になった人だよ。


 女道楽もさんざんやってさ。あるオネエチャンのところに遊びに行ったら、いきなりその部屋に力道山が帰ってきて急いで隠れたなんて笑える修羅場の話も聞いたね。


 とにかく太くて短い、松方さんらしい生き方だよね。勝新さんや萬屋錦之介さんに連なる系譜の人だよな。昭和がとっくに終わって、平成もそろそろ終わろうとしてるなかで、こういう破天荒で豪放磊落で、それでいて色気がある役者は、もう現われないのかもしれないよな。


 ぜひ、松方さんには天国でも粋でいてほしいんだっての! ジャン、ジャン!


※週刊ポスト2017年2月10日号

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