閉鎖したデマニュースサイト 広告収入は数万円程度

2月2日(木)16時0分 NEWSポストセブン

『イイタメ』は騒動後にサイトを閉鎖

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「あの記事、フェイスブックで読んだ?」「うん…怖いよね。子供に絶対に食べさせられない」──スマホ片手の主婦たちの間で1月中旬、爆発的に広がったネットニュースがある。


 タイトルは《イギリスの有名シェフがマクドナルドに勝訴! 裁判によって『肉』の正体が明らかに》。内容を簡単に言うと、マクドナルドのハンバーガーのビーフパティに、〈本物の肉の代わりに、“食用肉から出たくず肉、腱、脂肪、結合組織を混ぜたものから成るペースト状の生地と、アンモニアから作られたもの”を使用していたこと〉が“裁判”によって明るみに出たというものだ。イギリス人シェフと思しき白人男性と、グロテスクなピンク色のペーストの写真も添付されている。


 記事はフェイスブック上でのシェアと、ツイッター上でのリツイートが繰り返され、瞬く間に拡散した。ところが、結論から言うと、この記事はまったくのデマだった。


 事の発端は、トルコ国営放送が運営するニュースサイト『TRT』日本語版が1月16日に投稿した記事だった。それを日本のニュースサイト『イイタメ』(騒動後に閉鎖)が〈間違っても、子供には食べさせてはいけません〉と後追いで報じた。すると、その内容を引用するウェブサイトが次々と現れ、“伝言ゲーム”式にデマが拡大した。


 たしかに、記事に登場するイギリス人シェフのジェイミー・オリバー氏は実在する。2010年当時、アメリカでは農務省が安全とした「ピンクスライム」と呼ばれる加工肉(挽き肉を水酸化アンモニウムで防腐処理したもの)が広く使用されていた。オリバー氏はそれをテレビ番組で批判。マクドナルドなど多くの外食チェーン、食品メーカーは水酸化アンモニウムの防腐処理の中止を発表した。


 とはいえ、それも7年も前のことで、アメリカ国内でのことにすぎない。日本マクドナルド広報は女性セブンの取材に対して、「米国本社に確認しましたが、記事に出ているイギリスのシェフと裁判をしている事実はありません。また日本においてはこれまで、問題の加工肉が使われたことは一度もありません」と説明する。



 同社ホームページによると、ビーフパティにはオーストラリア産牛肉100%で、つなぎなどは一切使用せず、調味料は店頭でふりかける塩コショウだけだという。ネットニュース編集者の中川淳一郎さんが指摘する。


「広告収入が目当ての日本のネットニュースメディアは、デマでも誇張でもとにかく記事にしてクリック数を稼ぐのが目的なので、“事実確認をする”という最低限のことさえやろうとしません。マクドナルドは日本のファストフード店で最も有名であり、外食産業の代表的な存在。2014年には中国産の賞味期限切れの肉を使っていた事例もあったので、デマでも信じる人が多いと考えられ、今回は狙われたのでしょう」


 女性セブンの試算では今回の記事でサイト運営者が稼いだ広告収入は数万円程度。とはいえ、小遣い稼ぎにはなる。


 デマ拡大に“貢献”したのが、23万人のフォロワーを持つタレントのフィフィだ。記事をツイートしたことで、火に油を注いだ。有名人が取り上げたニュースだから真実だという保証はどこにもない。


「運営者不明のネットニュースサイトは完全に信用するのは難しい。出版社や新聞社が運営するサイトの場合、デマ記事を書いたら訴えられて相応の賠償金を払わなければなりませんが、誰が運営しているかもわからないネットサイトは、問題になればサイトを閉じて逃げてしまうだけですから、責任も取りません」(中川さん)


「嘘も100回言えば真実になる」とはナチス・ドイツの宣伝大臣が遺した悪名高き言葉だが、デマ拡散が社会を危険にさらすことを、ネット時代に生きる私たちこそ強く意識しなければならない。


※女性セブン2017年2月16日号

NEWSポストセブン

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