節分の風習 「渡辺姓」が豆まきをしない理由とは?

2月3日(金)11時0分 NEWSポストセブン

節分で「鬼は内」という地域も多い(写真/アフロ)

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 節分は立春の前日。立春とは1年を二十四節気に分けた時に使われる言葉で、太陽の角度が315度になる日のこと。しかし1年は365日なので24では割り切れず、多少のズレが出てくる。そのため立春は2月4日頃となり、節分は2月3日になったり、2月2日や2月4日になることもある。ちなみに2020年までは2月3日だが、2021年は2月2日が節分となる。


 ではそもそも節分の始まりとは? 和文化研究家でオールアバウト「暮らしの歳時記」ガイドの三浦康子さんが説明する。


「中国伝来の『追儺(ついな)』という行事に由来しています。もともとは大みそかの行事として宮中に入ってきましたが、室町時代から立春の前日の節分に定着したといわれています。本来、節分とは立春・立夏・立秋・立冬の前日のことで年4回ありますが、旧暦では立春の頃に元日が巡ってきましたし、二十四節気では立春が一年の始まりです。さらに陰陽道では、年越しにあたる節分の夜に陰から陽に変わるとされました。そこで立春前日の節分に、新年に向けて邪気を祓はらうようになりました」(三浦さん)


 三浦さんによれば、邪気や魔物の象徴が鬼であり、鬼に豆をまいて退治するという慣わしが広がっていったという。


「日本では穀物に霊が宿るとされています。大豆はその穀物の中でいちばん大きく、投げても音が大きい。音で祓うという意味もあるんです。陰陽道でも豆が邪気祓いに効果的とされています。また豆は魔滅、豆を煎ることが“魔目を射る”に通じ、拾い忘れても魔の芽が出ないなど、思いを託した言葉もある。いろいろな要因で広まりやすかったのだと思います」(三浦さん)


◆「鬼は内」ってどういうこと?


 豆まきの時の掛け声、「鬼は外、福は内」が常識と思ったら、「鬼は内」の地域も多数存在していた!


 鬼に由来のある、京都の大原神社は、「鬼は内、福は外」と口上を述べるのだ。これは、神社を厄と見立て、氏子に福が行くようにという意味から。江戸時代の藩士が“九鬼さん”だったことも由来している。


「鬼頭さんや鬼沢さんも名字に鬼がつきますから、『鬼は外』と追い出してしまっては縁起が悪い。また、商売をやっている家でも、鬼=大荷としてとらえ、大きな荷物が内(家・お店)に入らないと商売繁盛につながらないため、『鬼は内』というところが多いそうです」(三浦さん)


 同じ『鬼は内』という神社・寺院でも、元興寺(奈良県奈良市)は「福は内、鬼も内」、千蔵寺(神奈川県川崎市)は「福は外、鬼は内」、鬼鎮神社(埼玉県比企郡嵐山町)は「福は内、鬼は内、悪魔外」、仏立山真源寺(東京都台東区)は「福は内、悪魔外」など多種多様。


 読みながら気づいた人もいるかもしれないが、実は寺社でも豆まきの口上は「鬼」から始まるところもあれば、「福」から始めるところもある。一般的な家庭でも、「鬼は外、福は内」だけでなく、「福は内、鬼は外」という順のお宅もあるだろう。どっちが正しいのだろうか?



「鬼を追い出してから福を招き入れるのか、福を招き入れてから一緒に鬼を退治するかの違いで、理論的にはどちらも正しいですね」(三浦さん)


◆「鬼に天敵がいる」ってどういうこと?


 1月下旬になると、スーパーやコンビニに節分用の豆が並び、大々的に恵方巻の予約を受け付けている店もあるなど、全国で大盛上がりの節分だが、節分を一切やらないという人たちもいる。


「結婚して初めての節分の時、豆を買っておいたら、夫に、『うちは渡辺姓だから豆はまかなくていい』って言われました。理由を聞くと、鬼が渡辺姓が苦手だっていうんですが、どうもしっくりこないんです」(40才・主婦)


 いやいや、調べてみると、ちゃんとした歴史が残っていました。平安時代中期の武将・渡辺綱(わたなべのつな)が、京都の一条戻橋の上で鬼の腕を切り落としたことから、鬼たちが渡辺一門を恐れ、子孫にも近づかなくなったという逸話から、渡辺姓の中には、鬼を退治する必要がないので節分をしない、という人もいるのだそう。


 そこで、渡辺姓発祥の神社、大阪・坐摩(いかすり)神社(通称:ざまじんじゃ)にたずねると…。


「神社の創祀が約1800年前と、渡辺姓の成り立ちより早いので、そもそも神社としての節分行事はしております。ただ、全国の渡辺さんがお参りにみえて、“渡辺綱にあやかって豆まきをしない”という話はよく聞いていますよ。鬼は近寄りませんから、豆まきはいたしませんね(笑い)」(権禰宜(ごんねぎ)・田中裕人さん)


 生誕の縁があるといわれる東京三田・當光寺は「渡辺綱ゆかりというよりも、うちは浄土真宗なので宗派的にしないんです。浄土真宗は、神も鬼もすべて、念仏の人を守護するという見解を持たれていますから」と話してくれた。


※女性セブン2017年2月16日号

NEWSポストセブン

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