鹿賀丈史 食卓を囲んでご飯を食べるような芝居は苦手

2月3日(土)16時0分 NEWSポストセブン

鹿賀丈史が自分が演じてきた役について語る

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 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、ミュージカル俳優として劇団四季でキャリアをスタートさせた鹿賀丈史が、大河ドラマで時代劇に出演、三谷幸喜作品に出演した当時について話した言葉を紹介する。


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 鹿賀丈史は1978年の『黄金の日日』のキリシタン大名・高山右近役でNHK大河ドラマに初出演。その後は1983年の『徳川家康』で石田三成役を演じた。


「『黄金の日日』の時はまだ劇団四季に所属していました。四季は外部出演をあまり認めなかったのですが、僕の場合はなぜか出させてもらえて。大河ドラマならではのスケールの大きさの中に入っていけた喜びがありました。


 時代劇をやるのは初めてで、かつらをかぶったり、衣装を着たり、ロケーションに行ったり、そういうのが全て最初の経験でしたから新鮮な楽しさがありました。所作は指導のスタッフがいたので教えてもらいましたよ。


『徳川家康』は、三成が家康と対峙しての丁々発止を大事に考えていました。四季の時からの友人の滝田栄が相手でしたので楽しかったですね。『家康め、偉そうに』と思いながらやっていました。滝田とは若い頃から一緒に体を鍛えた仲で、市村正親と三人で『劇団四季の若手三羽烏』と言われていました。三人とも持ち味が違っていたのが面白かったのでしょう」


 1990年の大河ドラマ『翔ぶが如く』では大久保利通役だった。


「薩摩弁は非常に難しかったですが、一生懸命にやりました。西田敏行さんの演じる西郷隆盛が人間味ある人物として愛されているのに対し、同じ薩摩の生まれでありながら、鹿児島の人にいい顔をしてもらえない。そんな大久保に焦点が当たるというのは面白かったですね。


 彼は冷静な人間で、そのために西郷と道が分かれていく。その辺がうまく表現できればいいと思っていました。


 それから、国を動かす信念ですね。大久保は近代日本を作った大きな存在。それだけに、軽くならないよう重みのある人物として演じたいと思いました」


 三谷幸喜脚本のテレビドラマ『振り返れば奴がいる』(1993年、フジテレビ)での主人公に立ちはだかる病院の部長役をはじめ、1990年代以降は悪役や大物重鎮役なども数多く演じている。


「三谷さんの作品はやはりホンが面白いですよね。僕が演じたのは悪役なんですが、どこかおかしい。演じていて、ちょっと笑ってしまうことがあるくらいで。そういう三谷さん独特の描き方は演じていてとても楽しいです。


『振り返れば奴がいる』で演じた中川部長は、同じく三谷さんが脚本の『古畑任三郎』にそのままのキャラクターで犯人役として出ています。そういう遊びもまたやっていて面白い。


 そういう作品では、役柄を工夫するという意識はありませんね。書いてあるセリフがそもそも面白いので、それを僕自身が心の片隅で楽しむ。演じながらね。そういうことが大事なんだと思っています。


 ただ、これまではたとえばサラリーマン役とか、ホームドラマとかはやってきていません。似合わないんでしょう。そういう芝居を作る劇団もありますが、僕は二〇代からミュージカルで入りましたから。みんなで食卓を囲んでご飯を食べるような芝居は苦手なんです」


●かすが・たいち/1977年、東京都生まれ。主な著書に『天才 勝新太郎』『鬼才 五社英雄の生涯』(ともに文藝春秋)、『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮社)など。本連載をまとめた『役者は一日にしてならず』(小学館)が発売中。


◆鹿賀丈史×市村正親主演ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』日生劇場(3月9〜31日)などで全国公演


※週刊ポスト2018年2月9日号

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