元日に即位と改元案は宮中祭祀への配慮がされていない

2月4日(土)16時0分 NEWSポストセブン

元日の宮中祭儀への配慮を

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 1月17日、皇居では天皇、皇太子、秋篠宮の三者会談が、約1時間にわたり行なわれた。生前退位にかかわる天皇家の最終的な意思を確認する話し合いだったとされている。天皇家で意思の共有が進む一方、政府側でも1月20日の通常国会を控えて急ピッチで対応が検討された。


 初閣議が行なわれた1月6日、安倍晋三首相と菅義偉・官房長官、そして事務方トップの杉田和博・官房副長官が生前退位をめぐる法整備の基本方針について、鳩首会談を開いた。杉田氏は生前退位の準備を進める内閣官房皇室典範改正準備室の最高責任者である。


 この会談は首相動静では報じられていないが、譲位後の天皇の称号や住居、改元などについても突っ込んだ話し合いが持たれたと見られている。政治部ベテラン記者が語る。


「生前退位の場合、新天皇の即位や改元の時期は政府が決定する。どうせなら1月1日のタイミングで改元すればコンピュータプログラムの改定からカレンダーまで、国民生活への影響が最小限にできるというのは政治家ならではの発想です。


 この会議が行なわれたことは、産経新聞が『元日改元』のスクープの中で報じた。それから各紙が裏取りに動いたところ、総理や官房長官もそうした考えに傾いていることがわかって後追い報道が出た」


 産経新聞の1月10日付朝刊の元日改元報道では〈複数の政府関係者が明らかにした〉として具体的なスケジュールにも言及している。平成31年の元日に皇位継承にあたって行なわれる最初の儀式「剣璽等承継(けんじとうしょうけい)の儀(※注)」と、首相ら三権の長が新天皇に謁見する「即位後朝見の儀」を宮中で行ない、官房長官が新元号を発表する──という段取りが検討されているとの内容だ。


【※剣璽等承継の儀:皇位を継承した新天皇が、剣、勾玉、鏡の「三種の神器」のうち、「剣璽」といわれる剣の分身と勾玉、法律の公布文や条約の批准書などに使われる天皇の印「御璽」、叙勲の際に渡される証書に押される国の印章「国璽」を承継する儀式】


 だが、この「国民生活への影響を最小限にする」という政治家的発想が、天皇家の意思との齟齬を生んでいるとする指摘がある。皇室ジャーナリストの山下晋司氏が語る。


「合理的な考えかもしれませんが、元日に即位と改元を行なうというのは、宮中祭儀への配慮がなされていない。元日には天皇陛下が伊勢神宮や四方の神々を拝する重要な宮中祭儀である四方拝が午前5時半から行なわれるため、午前4時半頃からその準備が始まるでしょう。


 この四方拝を新天皇が行なうには、午前0時〜同4時半頃までの間に皇位継承の儀式『剣璽等承継の儀』を行なう必要があります。その後、午前5時半から四方拝、そして宮中祭祀である歳旦祭、国事行為である新年祝賀の儀に臨まなければなりません。


 今上陛下は宮中祭儀をとても大切にされている。慌ただしい皇位継承の雰囲気の中で、宮中祭儀の“心をこめたお務め”ができるかを考えると、元日即位・改元は陛下が納得できる案とは思えません」


 宮内庁側は「元日改元」報道に慌てた。宮内庁関係者が明かす。


「杉田官房副長官はじめ、官邸の担当者は宮内庁とすりあわせを行なってきたから、“元日改元は難しい”ことを理解していたはずで、安倍総理や菅長官にもそのことは伝わっていたはず。それなのになぜああした報道が広がったのか、不可解でなりません。


 昨年のNHKの『生前退位スクープ』の後、風岡典之・宮内庁長官と、宮家の事務を統括していた西ヶ廣渉・宮務主管が相次いで退任されました。特に西ヶ廣宮務主管は、一部で“NHKに近い”と囁かれ、生前退位のスクープの仕掛け人とも報じられた。


 そうした宮内庁幹部の退任により、政治家の“宮中祭祀への理解不足”を改めさせたり、メディアの報道姿勢に目を配ったりする機能が上手く働いていないという見方もある」


 官邸と宮内庁、そしてメディアの思惑のすれ違いが混乱を深めてしまったのだろうか。


※週刊ポスト2017年2月10日号

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