家の神様が喜ぶ片づけとお清め<江戸東京に鎮座して1300年・神田明神直伝>

2月5日(金)12時0分 婦人公論.jp

神様は清らかな場所に宿ります。家も例外ではありません。一年を幸せに過ごせるよう、神様が喜ぶ家に整えましょう。長い歴史をもつ東京・神田明神の神職にお話を聞きました(構成=島田ゆかり イラスト=山口哲司 )

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日常を整えることが 神様を大切にすること


神道の教えに「浄明正直(じょうみょうせいちょく)」という言葉があります。浄く明るく、正しく直く(素直に)生きましょう、というものです。なかでも「浄(きよ)く」とは清らかで穢(けが)れのないことを指し、場を清め、整えることの大切さを教えています。

私たち神職の最も大切な仕事をご存じでしょうか。それは「掃除」です。神様のお住まいである神社を常に清め、整えることが私たちの使命。神職は、毎日欠かさず神社を掃除しています。

神様は穢れを好みません。これは、皆さんの家も同じこと。穢れは汚れと同じと考えますが、暮らしを見守ってくださる神様は、汚れた家からは徐々に離れていく。愛想をつかされてしまうわけです。

本来なら見守っていただけるはずが、掃除を怠ることで自ら神様を遠ざけることになりかねません。

しかし、これは人間も同じではないでしょうか。ホコリまみれで散らかった不浄な場所に人は集まりません。自身が心地よくないと感じたら、神様も同様に感じているということです。

部屋の中にも、それぞれ守り神が宿っています。ここから、各部屋の神様のご紹介と、掃除のポイントを解説しましょう。

家に住む神様たち







玄関に住んでいるのは…… 天石門別神


門番のように大きく力強く、家を守ってくれる。
神話では天の岩戸を開くのを手伝った神様

外と内を分ける、最も清めるべき場所


玄関は、神社で言うと「鳥居」。外界と神域を分けるのが鳥居で、結界の意味があります。ここでは、門番のような神が力強く守ってくださいます。

玄関は外から「嫌な気持ち」なども持ち込んでしまう場所。「負」のものを家の中に持ち込まないためにも、玄関は常に清めておく必要があります。靴や傘は出しっぱなしにせずにしまうこと。スペース的に難しければ、きれいに並べるなどの気持ちが大切です。

不浄なものを家に入れないよう、ドアの上に小さなしめ縄を飾るのもおすすめ。玄関の外側、ドアより上が望ましいですね。住宅事情により難しい場合は、内側、もしくは下駄箱の上などに飾っても構いません。縁起物や置物などは飾っても問題ありませんが、ホコリをかぶっていないか定期的にチェックを。また、ドアノブなどよく触る場所も、清潔な布などで清めるように心がけましょう。

チェックするポイント


【1】盛り塩は定期的に交換
神話の中で浄化の効果があるとされている塩。玄関の外に置くのが本来ですが、難しい場合は下駄箱の上でもOK。週に1回など、取りかえる日を決めておきましょう

【2】下駄箱は風通しよく
湿気やニオイは穢れの原因に。定期的に靴をすべて出して風通しをよくすること。炭 や消臭剤を入れておくのもよいでしょう

【3】靴は出したままにしない
たたきは神様の通り道。できればすべて下駄箱 にしまうのが理想ですが、スペースが足りない 場合は最低限の靴だけを出しておくように。その際、常にきちんと揃えておくことが大切です

【4】たたきはこまめに拭き掃除
唯一靴のまま入る場所。穢れがたまりやすい場所なので、箒があれば掃き、できれば 水拭きを。忙しいときは掃除機でホコリを吸い取るだけでもOK


リビングに住んでいるのは……氏神


それぞれの地域に祀られている神様。
家やそこで住まう人の暮らしを見守る

家族を見守る神棚はリビングの明るい場所に


家族が集うリビングは、神社で言えば「境内」。地域の氏神様が暮らしを見守ってくださいます。

人の出入りが多い場所なので汚れ(穢れ)やすく、日々の掃除はとても大切です。掃除がしやすいように、できればものを少なくスッキリした部屋に整えるのがよいでしょう。そして窓を開け、気持ちのいい風を通せば神様も喜びます。

神棚や神札(おふだ)は、誰もが目にしやすいリビングにお祀りします。たとえば1日中、家族と顔も合わせず挨拶もしないのは気持ちがいいものではありませんね。神様も同様です。毎日意識を向けることが大切なのです。神札は少なくとも天照皇大神宮と氏神様の2つをお祀りしましょう。神様が喧嘩をすることはありませんので、ほかにも信仰する神社があったら複数枚重ねても構いません。南または東向きに、目線より高い位置に祀り、1年に1度は新調してください。

チェックするポイント


【1】窓は曇らせない、カーテンは定期的に洗濯
汚れた窓はよい気が流れず、神様も息苦しいでしょう。また、カーテンも想像以上に汚れています。ホコリがたまり、禁忌とされるニオイの原因になるのでこまめに洗いましょう

【2】テーブルは使うたびに拭く
拭くという行為は清めるのにとても効果的。テーブルに郵便物などの物は置かず、食事の前後にきれいに拭きあげましょう。衛生面からも大切な習慣です

【3】床や棚にホコリがたまらないように
人の出入りが多いので、ホコリがたまりやすい場所。ホコリ(汚れ)を払うのは心の穢れも払うことになります。化学モップなど、便利グッズを使ってラクに掃除ができるように工夫を

【4】ラグは天日干しを
敷物類は定期的に干してダニ退治。汚れがたまるスピードが速いので、掃除機を念入りにかけ、粘着テープなどで細かいゴミも取りましょう。丁寧に暮らすことを神様は大変喜んでくださいます

キッチンに住んでいるのは……竈(かまど)神


火伏せの神、荒神とも呼ばれ火事から守る。
火を丁寧に扱えば豊かな食生活のご神徳が

火の災いから守り豊かな食に恵まれるように


神社には神様のお供え物を用意する「神饌所(しんせんじょ)」という場所があります。しめ縄で結界を張っている神聖な場所で、常に清められています。家のキッチンも同様。竈(かまど)神が守ってくださいます。荒神(ごうじん)とも呼ばれ、火や水を扱うキッチンには「荒神宮」の神札を貼ります。排水口はもちろん、シンク、ガス台、冷蔵庫など、清める場所はたくさんあります。できる範囲でよいので、清潔を心がけましょう。

また、神様はニオイが苦手です。神社でもニオイが強いものは禁忌とされていますので、キッチンはとくに注意しましょう。

チェックするポイント


【1】コンロの近くに神札を貼る
「荒神宮」の神札を貼り、火伏せのご神徳を。油などで汚れますが、年に1度新調すればOKです。火の災いはすべてを失う元凶。畏敬の念をもって祀りましょう

【2】シンクは水垢を残さない
ピカピカに磨きあげたシンクは清められたサイン。食器を洗ったらシンクもきれいに拭く習慣を。水分や洗剤の残り、排水口の詰まりは厳禁です

【3】食材は腐らせない
場を清めるために悪臭は厳禁。必要以上の食材は持たず、新鮮なものだけを置くようにしましょう。冷蔵庫の中も清潔を心がけて

【4】全体の清潔感をチェック
汚れやすい場所かつ、命を司る「食」を守る神聖な場所なので、汚れがないか常に気を配りましょう

クローゼットに住んでいるのは……大黒天、恵比寿天


健康や豊かさ、繁栄、良縁を司る福神二神

クローゼットは、豊かさを司る大黒天と恵比寿天が守っています。詰め込みすぎると神様の居場所がなくなってしまうので、ものを減らし、風通しよく整えましょう。

チェックするポイント


【1】詰め込みすぎず、見渡せるように
すき間なく詰め込むのはNG。一つひとつのものに目を配ることができ、大切にできる量が適量です。不要なものは場を汚していきます

【2】定期的に中を掃除する
衣替えのタイミングでものをすべて出し、掃除機をかけて風を入れましょう。湿気やニオイを追い出して。神様が気持ちよく過ごしておられるかイメージしてみましょう

お風呂場に住んでいるのは……弥都波能売(みつはのめ)神


穢れを水に流す女神。雨の神様としても知られる

お風呂場は穢れを洗い清める場所。神社で言うと「手水舎(てみずや)」です。水の神様、弥都派能売(みつはのめ)神に守っていただくには、湯垢や水垢、カビなどがないように清めることが大切。穢れを水に流すため、排水口は詰まりを取り除いてください。

チェックするポイント


【1】鏡の曇りは放置しない
曇りを放っておくと、自分も曇ってしまいます。鏡はご神体にもなる神聖なもの。常に磨いておきましょう

【2】カビは厳禁。水気は拭き取りを
穢れを流す場所こそ清潔に。お風呂から出る際に水気を拭き取るとカビは生えにくくなります

トイレに住んでいるのは……厠(かわや)神


家全体の開運、浄化を司る。命を生み出すパワーも

トイレは家の中で最も不浄な場所。だからこそ、最優先で掃除をしましょう。トイレに住む神が心地よく居られるように、便器だけでなく床も清潔を心がければ、運が開けてくるでしょう。

日本では、神様は日常に宿ると考えられています。掃除をすることは「日常を大切にする」のと同じ。毎日を大切に過ごすことが、神様を敬うことになるのです。

チェックするポイント


【1】便器はとくにきれいに保つ
不浄な場を磨き清めることは、自身の魂も清める行為。人が嫌がることを率先して行う人は大成します

【2】マットはこまめに交換
飛び散ったアンモニアは禁忌である悪臭の原因になるので、マットを敷く場合は週に1~2回は洗濯を

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