フジHD・日枝久氏 進退「人事は会社が決めること」物言う株主の辞任要求も「知りません」“人ごと”発言
2025年2月5日(水)4時0分 スポーツニッポン
フジテレビの親会社、フジ・メディア・ホールディングス(HD)の株式を7%超保有する米投資ファンドのダルトン・インベストメンツが3日、同HDに、一連の騒動の渦中にある日枝久取締役相談役の辞任を求める書簡を送ったと発表した。“物言う株主”と呼ばれるダルトンが、中居正広氏(52)の女性トラブルを巡る対応に関連してフジHDに書簡を送るのは3度目。
日枝氏は4日、共同通信の取材に応じ、自身の進退について「人事に関しては会社が決めることで、ここで言う話ではない」とした。辞任を求めるダルトンの書簡については「知りません」と答えた。日枝氏が今回の騒動で進退について報道陣に話すのは初めて。フジでは約80社もの企業がCM放送を取りやめ、広告収入が従来見通しから233億円も減少すると発表されたばかり。日枝氏はフジが属するフジサンケイグループの代表でもあるが、まるで“人ごと”のような発言だ。
今回の書簡は、日枝氏が記者会見に出席せず、嘉納修治前会長、遠藤龍之介副会長、港浩一前社長の辞任だけではスポンサーは戻らないと指摘。何より重要なこととして「日枝久氏がフジHDおよびフジテレビの取締役を辞任すること」と要求した。「今回のスキャンダルでフジHD、フジテレビのガバナンスが全く機能していないことが公に明らかになった」とし、「なぜたった一人の独裁者が、この巨大な放送グループを40年近くも支配することが許されてきたのか」と批判した。
ダルトンは「フジテレビ従業員が労働組合を通じて声を上げたことに勇気づけられた」とし、取締役会にフジ局員の声を筆頭に、株主、スポンサー、視聴者の声を聞くように要請。「一人の独裁者を守るために、これらの声を無視しないことを強く求める」と、日枝氏と対峙(たいじ)するよう促した。
日枝氏の進退に注目しているのはダルトンだけではない。フジ関係者は「この状況で日々つらい思いをしている局員にとっても、日枝氏の進退は状況が大きく変わる鍵になる」と話す。フジHD相談役でもある日枝氏が書簡を「知らない」で片づけるのは、あまりに無責任だ。
【ダルトン 1度目の書簡「我々は憤怒している」】
ダルトンとその関連会社は1月14日、1回目の書簡を「第三者委員会設置および信頼回復に向けた対応のお願い」と題して送付した。一連のフジの対応について、コーポレートガバナンスの重大な欠陥を指摘。報道や対応の透明性の欠如を問題視し「我々は憤怒している」と厳しい言葉を並べ、第三者委員会による事実関係の解明と改善策の提示を求めた。
同21日には「真の第三者委員会の設置と信頼回復に向けた再度のお願い」と2回目の書簡を送付。同17日にフジが開いた1回目の会見を受け「怒りは収まらない」と伝えた。オープンな会見の開催や日弁連のガイドラインに沿った第三者委員会の設置を強く求めていた。
《メディア報道によって社会の目集めるため?》
関連会社も含めフジHDの株式を約7%所有するダルトン・インベストメンツ。フジHDの株主構成は約3分の1が個人株主。2024年9月30日現在、大株主は日本マスタートラスト信託銀行11.11%、東宝7.93%、文化放送3.33%、NTTドコモ3.29%などとなっている。ダルトンはフジHDに「書簡」を送ったことを3回とも公表。その内容がメディアで報道されることで、社会の目がフジHD側の反応に集まることを狙っている側面もあると思われる。