石原慎太郎×亀井静香「米には日本も逆障壁作ると言え」

2月6日(月)7時0分 NEWSポストセブン

元東京都知事はトランプに何を思うのか

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「日本は円安に誘導している」「日本の自動車貿易は不公平だ」──ドナルド・トランプ米大統領が、日本を標的にした“口撃”を繰り返している。それに対して日本では、政治家もメディアもただ慌てふためくばかりで、誰も本気で言い返そうとしない。情けないとは思わないか。


 日米貿易摩擦がピークであった1989年、石原慎太郎氏(84)は『「NO」と言える日本』(盛田昭夫氏との共著)を上梓し、アメリカ相手に日本の立場を堂々と主張した。同書は英訳され、「日本は何を言っても黙っている」と思っていたアメリカ人に大きな衝撃を与えた。なぜ、あのときのように誰もはっきりトランプに物申さないのか。


 石原氏が、トランプ大統領誕生をいち早く予言した盟友・亀井静香氏(80)とともに、再びアメリカに「NO」を叩きつけた。


亀井:日本のマスコミや政治家は、「トランプは大統領に就任したら変わる」と希望的観測を口にしていましたが、全然変わっていませんよね。マスコミや政治家が見落としているのは、トランプ発言は世界の潮流と完全にフィットしているということ。イギリスがEUを離脱してエゴイズムを前面に出し、トランプもグローバリズムから保護主義へ転換しようとしている。世界は分裂に向かっている。


石原:世界の潮流が変わりつつあるというのは、私も感じる。


亀井:これは一概に悪い面ばかりとは言えない。アメリカがほかの地域で起きた紛争に軍隊を送って、自国の利益を確保するというようなことはもうやらない、そうトランプは言っている。アメリカが世界を支配するのはやめると。


石原:いいことですよ。変わったらいいんです。近世から近代、現代にかけて、世界の歴史はずっと白人が有色人種を支配する歴史でした。


 しかし、いま、難民問題でイギリスがEUを離脱し、EUは崩壊の危機を迎えている。アメリカも他国に介入しないという。白人の有色人種支配が崩れれば、世界の本質が変わる。世界の歴史の原理が変わるということ。ISのようなものが生まれてきたのも、歴史的な必然性、蓋然性がある。ヨーロッパにとっては自業自得ですよ。トランプは自国優先で、ヨーロッパも見捨てるわけでしょう。


亀井:ただ、自国の利益だけを徹底的に追求しようという姿勢はどうなのか。


石原:それはある。彼は「アメリカ・ファースト」と、アメリカ人の心をくすぐる殺し文句を言うけれど、それが行き過ぎると自らに降りかかってくると思う。TPPから抜けるにしても、一番損をするのはアメリカじゃないかと思いますよ。


亀井:いや、“アメリカも損するからやらないだろう”と考えるのは、希望的観測ですよ。「まさかそんな壁はつくらないだろう」と言っていたら、彼は本当にやります。もし「関税障壁をつくる」というなら、「やるならやってみろ。日本も同じように関税障壁をつくるぞ」と突っぱねないと。私は日米交渉でそれをやって、全部成功したんです。


石原:いろいろやったよな。


亀井:運輸大臣だった1990年代半ばの日米航空交渉の時に、ペーニャ運輸長官が電話で「交渉が決裂したから制裁に入る」と言ってきたので、「ああ、どうぞ。日本もイーブンの制裁をやるから」と返したら、「ちょっと待て。再交渉しよう。こっちまで来てくれ」と。再交渉はいいが、なんでワシントンまで行かなきゃならんのだと思って、「じゃあ、ハワイのパールハーバーでやろう」と言ってやったの。


石原:かましたね(笑)。


亀井:そうしたら、「ロスまで来てください」と言ってきた。当時は野茂(英雄)がドジャースで活躍していたから「じゃあ、行くか」って。会談に行く前に、運輸省と外務省と打ち合わせをしようとしたら、外務省の審議官が来ていない。なぜいないのか聞いたら、運輸省の人間が、「外務省を入れるとアメリカに筒抜けになるから呼ばなかった」と言う。


 それでロスまで行ったら、相変わらず同じ話を繰り返すので、「どんどん制裁やってくれ、こっちもやるから」と。そうしたら「ちょっと休憩を入れさせてくれ」と言って3〜4時間して戻ってきたら、いきなり態度が変わって「これで結構です」となった。大統領と協議したんだろうね。


※週刊ポスト2017年2月17日号

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