ヤクザと副業 「ツムツムやりましょう」と誘いが来ることも

2月6日(水)16時0分 NEWSポストセブン

ジャーナリストの溝口敦氏

写真を拡大

 こんなところに目を付けるとは……。最近になって相次ぐ「暴力団の新たな資金源」に関するニュースに接するたび、驚かされる。いったい彼らはどのようにしてさまざまなサイドビジネスに手を伸ばしているのか。「ヤクザ取材」のエキスパート溝口敦氏(ジャーナリスト)と鈴木智彦氏(フリーライター)が明かす──。


◆カネ稼ぎは「プライベート」


鈴木:恐喝で逮捕された40代の暴力団組員が、LINEスタンプ(LINE上で使える画像アイテム)を作成し販売していたことが発覚し、“新たなシノギ(資金獲得活動)か”と報じられましたね。


溝口:シノギといっても、600円で売っていたという話だから、売りつけたとしてもたかが知れています。そもそも、暴力団関係者しか買わないでしょう。


鈴木:そのスタンプ、短髪の男の頭に「アニキと一緒です」「本部です」「若いのを行かせます」とか書いてあるだけですからね。もしみかじめ料の代わりに一般人に強制的に買わせるにしても、猫や犬のかわいいキャラとか、せめて無関係に見えるように作ればいいのに。


溝口:要するに警察がしらみつぶしにヤクザのシノギを潰していっているんですよ。だからこんな変わった商売に手を出す。私のところに、たまにヤクザから「ツムツム」(LINEのパズルゲーム)をやりましょうよ、って誘いが来る。純粋にゲームをやるわけではなく、恐らくスコアを競って賭け事にしてカネを稼いでいるんでしょう。稼ぎになりそうなネタはなんでも使う。


鈴木:昔、知り合いのヤクザが向こうから来る車のナンバーの番号を足したら偶数か奇数かでずっと賭けてたことがありました(笑い)。


溝口:ヤクザが日本でライセンスを持つネットカジノはいまだに多いですね。建前としてはフィリピンのカジノを中継するだけで、胴元はフィリピンにいる。だからネットカジノは罪にならないというのがヤクザの言い分でした。


鈴木:ところが最近では末端でカネの受け渡しをしていればもうその時点で賭博だということでパクられるようになってますよね。



溝口:あとは野球賭博か。


鈴木:この前、脳梗塞で突然死したヤクザが野球賭博の地域の胴元をやっていて、月に3000万円くらいの儲けがあったと聞きました。ずっと何やってるんだろうなぁ、カネは持ってんだよなぁと思ってて、死んで初めて野球賭博で儲けてたんだと分かりました。


溝口:どうやって食べているか分からないヤクザは多いですからね。


鈴木:ふだんヤクザを取材する時に聞くのは、人事だとか行事だとか抗争だとか、組にまつわることなんですよね。一方、カネを稼ぐ“仕事”のことは彼らにとってはプライベートで、あまり聞くべきことではないとされている。その点が一般の感覚とは違う。


溝口:彼らは基本的に個人事業主です。自らの才覚で勝手に稼いで上納金を納めているから、手段はバラバラなんですよね。だから、よく警察が特定のシノギを「暴力団の資金源になっている」というんだけど、あれは厳密にはおかしい。だいたい組織的にやっているものじゃないんだから。


【PROFILE】

◆鈴木智彦(フリーライター)すずき・ともひこ/1966年北海道札幌生まれ。『実話時代』の編集を経てフリーへ。『サカナとヤクザ』(小学館)が話題に。最新刊は『昭和のヤバいヤクザ』(講談社+α文庫)


◆溝口敦(ジャーナリスト)みぞぐち・あつし/1942年東京浅草生まれ。早稲田大学政経学部卒。『食肉の帝王』で講談社ノンフィクション賞を受賞。『暴力団』『続・暴力団』(ともに新潮社)、『山口組三国志 織田絆誠という男』(講談社+α文庫)など著書多数


※週刊ポスト2019年2月15・22日号

NEWSポストセブン

「副業」をもっと詳しく

「副業」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ